アルフレッド公爵の休日
今回の統括プロデューサー、左京が言った。
「はい、本日のマイルストーンです。王都のメインストリートを歩き、グルメコートで限定スイーツをあ〜んして、最後は噴水前で愛の告白……完璧なロードマップですね」
元ADのアルフレッドがインカムを握りしめて、
「左京……! 貴様、街中に『遠隔投影鏡(大型モニター)』を配置しやがって! これじゃあプライベートもクソもねえだろ!」
と、怒鳴る。ミノンが、公爵の気持ちを知ってか知らずか呑気に言う。
「あ、アルフさん、見てください! 街の人たちがみんなペンライト……じゃなくて、光る魔石を振って応援してくれてますよ……!」
食べ歩きロケという名の真剣勝負が始まる。
二人が屋台の「揚げたてチュロス(魔法でサクサク)」を食べていると、左京から指示が飛びます。
「アルフさん、彼女の口元に砂糖がついています。……わかってますね? リテイク(やり直し)は無しですよ」
アルフレッドが真っ赤になりながら、
「……おい、動くな。……とってやるから」
と、指先でそっとあなたの口元を拭う。
その瞬間、街中の大型モニター越しに見ていた令嬢たちが
「キャーーー!!」
と悲鳴を上げ、王都の地面が揺れます。
アルフレッドが心の中で、
(やべえ、指が震えた……。カメラ位置は完璧だったか!? いや、それより……今のあいつの顔、反則だろ……!)
と、照れていた。
日が落ち、魔法のイルミネーションが輝く噴水前。左京が「感動のBGM(魔法演奏)」を流し始めます。
「さあ、ここでクロージング(告白)です。視聴者……いや、国民全員が待っていますよ」
アルフレッドがカメラ(魔導具)を睨みつけ、バサッと自分のマントであなたと自分を隠す。
ミノンが、
「アルフさん……?」
と、緊張気味にアルフレッドに語りかける。
アルフレッドが、
「……ここからは、『放送禁止』だ。……いいか、左京に言わされてるんじゃない。……俺は、あんたが現場にいると、次の『画』が楽しみになるんだ。……ずっと、俺の隣で『完パケ(完成)』まで付き合ってくれないか?」
と囁いた。
二人がいい雰囲気になったその時、黒いスモークを焚きながら謎の男が乱入してきました。
謎の男が、
「フハハハ! 甘い、甘いぞアルフレッド! そんなコンプラ重視のデート番組、誰が喜ぶか! 俺は隣国の『スキャンダル・ギルド』のディレクター。もっとドロドロの不倫疑惑や修羅場を撮らせてもらうぞ!」
と殴り込んで来た。
アルフレッドがいなした。
「……チッ、現場荒らし(パパラッチ)か。……おい左京! 警備(エドワード王子)を回せ! この『最高のエンディング』を邪魔させるな!」




