エドワード王子乱入
「アルフレッド! 私の婚約者(候補)と何をしている!」
と、剣を抜かんばかりの勢いで扉を蹴破ったエドワード王子。しかし、部屋の中は熱気と「ガーリックと醤油」の香ばしい匂いで充満していました。
その時アルフレッドは、片手にストップウォッチ、片手にレフ板代わりの魔導具を持ち、一心不乱に叫んでいた。
「違う! 違うんだよ! 肉汁が出るタイミングがコンマ5秒遅い! 火力が甘いんだよ! もっと魔力を叩き込め、一気にボーンといけ、ボーンと!」
ミノンはエプロン姿で、必死にフォークでハンバーグを突っついている。
「プロデューサー、これ以上突くと肉汁が枯れます! 次のテイク(試食)で決めましょう!」
「……えっ? プロ……デュー……? 何の話だ? アルフレッド、お前その手にある光る板は何だ? そしてその……その『茶色い塊』は……」
アルフレッドは、王子の存在を完全に無視して
「おい、そこの……あ、王子か。ちょうどいいところに来た。お前、そこ立って。逆光気味にその剣を抜け。刀身の反射でハンバーグの照りを際立たせるんだ。ほら、早くしろ! 尺(夜明け)がねえんだよ!」
「しゃく……? な、何を……(圧倒されて剣を抜く)」
「王子、ナイスライティングです! いま、いま肉汁来ました!! 撮れ……じゃなくて、見てくださいこの黄金の川を!」
アルフレッドはガッツポーズをして、
「キターーー!! これだ、この『シズル感』! これぞ王宮グルメ特番のメインビジュアルだ! ……おい、王子。お前、意外と現場の使い勝手いいな。明日から照明係として現場入りするか?」
「公爵……貴様、いつからそんなに熱い男になったんだ……。というか、その茶色い塊を私にも一口寄越せ。匂いだけで意識が飛びそうだ」
ミノンが笑いながら言う
「ふふ、王子。これは『禁断のガーリック・バター・醤油・ハンバーグ』です。一度食べたら、もう元の宮廷料理には戻れませんよ?」




