カレー外交で国交樹立
新大陸を旅行中、そこを統べる「太陽の王」は、生魚と果実しか口にしない超健康志向の堅物。しかし、アルフレッドは不敵に笑います。
元ADのアルフレッドが言う。
「左京、あそこの王様に伝えろ。……あんたが食べてるのは『素材』だ。俺たちが食わせるのは『結晶(作品)』だってな!」
通訳兼コンサルの左京が、
「承知しました。……王よ、我がプロデューサーが、太陽の輝きを煮込んだ『黄金のスープ』を献上したいと申しております。もしお気に召せば、我が国との包括的経済提携(貿易)を検討いただけますか?」
と申し出た。
アルフレッドが、ミノンに言う。
「よし、あんた! 玉ねぎをあめ色……いや、『夕焼け色』になるまで炒めろ! それがベースのライティング(味の深み)になる!」
監修のミノンが、
「任せてください! 新大陸で見つけた『火吹きトウガラシ』と『痺れの実』、これを調合して……隠し味に『すりおろしリンゴとハチミツ』を投下します!」
と、応じた。
薪割り担当のエドワード王子が、
「アルフレッド! 目が……目が痛いぞ! このスパイスの煙、煙幕の魔法か!?」
と、涙ぐむ。そんな王子に、アルフレッドが返す。
「我慢しろ王子! これが『シズル』の代償だ! 最後に……最高級の魔獣のバラ肉を、赤ワイン(魔導酒)でフランベしろ!!」
食事が出来上がり、大きな皿に盛られたツヤツヤの白米と、ドロリと濃厚なカレールー。王は怪訝そうに一口スプーン(魔法で急造)を運びます。
太陽の王が、
「……!? …………ぬ、ぬおおおお!? 口の中で……太陽が爆発したような刺激! なんだこの『深み』は!? 飲み込んだ後にくる、この多幸感は……!!」
と、驚愕する。
アルフレッドは、腕を組みドヤ顔で、
「……それが『カレー』だ。前世の日本の現場じゃ、これがあれば24時間徹夜も余裕だった伝説のメニューだぞ」
と、悦に入る。
太陽の王は、
「素晴らしい……! 我が国にあるスパイスをすべて貴殿らに預けよう! その代わり、この『黄金のルー』の製法を教えてくれ! 我が民に、この『脳が震える旨さ』を広めたいのだ!」
と、頼んできた。
こうして、血を流すことなく「一皿のカレー」によって、新大陸との国交が樹立された。
そこへ左京が、
「……完璧なベネフィットですね。これでスパイスの独占輸入権を確保。王国の経済は、この一皿で10年は安泰です。……アルフさん、あなたの『現場判断』、今回ばかりは数字(利益)を超えました」
と、アルフレッドを褒め称えた。
アルフレッドはと言うと、
「フン、当たり前だろ。……おい、あんた。……このカレー、実はあんたが『ハチミツ入れた方がいい』って言ったおかげで、王様の口に合ったんだ。……サンキューな。……この国交樹立の功労者は、あんただよ」
と、ミノンを労った。




