深夜の試作ロケ
エプロン姿のアルフレッド公爵が、
「左京の奴、披露宴のメニューに『ドラゴンのフカヒレ』だの『黄金のキャビア』だの並べやがって……。あんな気取った画、俺たちの現場には似合わねえだろ?」
と嫌そうに言う。
監修のミノンが
「そうですよ! 私たちが本当に食べたいのは、もっとこう……ソースの香りがガツンとくる、あの『お祭り』の味です!」
と同意する。そこへ、アルフレッドがわが意を得たりとばかりに、
「……それだ。……よし、この『スライム粉』の粘り気と、魔獣のバラ肉。そして、俺が錬金術で24時間煮詰めた……『超濃厚・ウスター風魔導ソース』! これでいくぞ!」
と意気込む。
ギミックとしては、魔力式・高速回転鉄板で作る。
風魔法で1秒間に10回転し、外はカリッカリ、中はトロットロの黄金比を実現。
アルフのこだわりは、
「たこ焼きの完成は、中から溢れ出す湯気の『滞留時間』で決まるんだよ!」
との事だった。
演出はこうだ。踊る!カツオ節(風)魔獣節。削りたての節が、熱気でまるで生きているかのように激しく舞い踊る。
ミノンのこだわりは、こうだった。
「この『踊るビジュアル』こそ、異世界の住人が見たことのないエンターテインメントです!」
と楽しげだ。
隠し味は、マヨネーズという名の聖水
それは、卵と油を魔力で超高速乳化した、禁断の白いソースだった。
そうこうしていると、左京がいつの間にか背後にいて、
「……ほう。この『背徳の白い液体』……。中毒性指標(KPI)がカンストしていますね。これ、1パック500ゴールドで売れますよ」
と分析していた。
披露宴の当日。最高級料理が並ぶ中、アルフレッドが
「現場の意地だ!」
と叫んで、巨大な屋台を会場中央に召喚します。
エドワード王子が一口食べて、
「な、なんだこれは!? 熱い! 弾ける! そしてこの黒いソースの暴力……! 昨日のブートキャンプの努力が、一瞬で溶けていく……だが、止まらん!!」
と、泣きながら食べている。
アルフレッドは、
「(ミノンと肩を組み、焼きゴテを掲げて)……見たか左京! これが現場の『底力』だ! どんな高級食材よりも、この『ハフハフ言いながら食う笑顔』が、最高の視聴率なんだよ!」
と得意げに言う。
ミノンは、
「アルフさん、ソースが顔についてますよ」
と、笑った。
アルフレッドが、
「……あんたがつければ、それも隠し味(最高の演出)だろ」
と、ニヤリと笑った。




