完全ノーカットプライベート
アルフレッドが、私服の黒いパーカー風の魔法衣を着て、裏路地でミノンを待っていた。
「……おい、こっちだ。左京の『監視魔法』は、エドワード王子の『夜食テロ』で注意を逸らしておいた。……今だけは、ただのアルフと、あんただけだ」
ミノンが、
「ふふ、アルフさん、なんだか悪いことしてるみたいでワクワクしますね」
と、いたずらっぽく言うと、アルフレッドが少し赤くなって、
「……現場のADが、勝手にロケ車(馬車)を出す時の気分だよ。……さあ、行くぞ。誰もいない、俺たちだけの『隠れ家』にな」
彼が連れてきてくれたのは、王都で一番高い時計塔のてっぺん。眼下には、さっきまでの喧騒が嘘のように静まり返った、星空のような街の灯りが広がっています。
アルフレッドが、
「……ここなら、誰も来ねえ。……はい、これ。ラーメンでもピザでもねえけど、俺が前世で一番好きだった『差し入れ』を再現してみた」
と言いながら差し出したのは、魔力でキンキンに冷やされたイチゴのショートケーキと、温かいほうじ茶だった。
ミノンが、
「……っ! 自由が丘のあの味に、そっくり……!」
と、驚きと懐かしさの混ざった声をあげる。アルフレッドが、ミノンの隣に座り、夜景を見ながら、
「……俺さ、前世ではいつも『誰かに見せるための画』ばかり追いかけてた。でも今は……あんたが隣で『美味しい』って笑ってる、この1フレームがあれば、もう十分だって思うんだ」
と、静かに話す。
静寂の中、アルフレッドがミノンの手の上に、自分の大きな手をそっと重ねます。
アルフレッドが、
「……左京には『ビジネス・パートナー』だなんて言わせてるけどさ。……俺にとってのあんたは、もう『キャスト(出演者)』じゃない。……俺の人生っていう、終わらない長回し(ワンカット)の隣にいてほしい、唯一の相棒だ」
と、真剣に言う。それを聞いたミノンが、
「アルフさん……。それ、台本にはない言葉ですよね?」
と、確認すると、アルフレッドが耳まで赤くして、
「……当たり前だろ! ……生放送、一発勝負の……俺のガチの本音だよ」
と、照れながら告白した。




