第48話 「ゴブリンの襲撃⑬―洞窟の閉鎖②精霊剣―」
王国騎士団団長のクラウスだ。結構頻繁にここに登場しているが、今回ほど、驚き疲れたことはなかったと思う。
回復魔石のこととか、神鳥や神獣とか、ルウィージェス様からの情報は驚くことばかりだが、今回のは、ちょっと今までとは系統の違う驚きだった。
シューバート侯爵家には、時たまに魔力量に恵まれた者が生まれてくる。それは知っていた。俺も長兄のオルトールドも、歴史的に魔力量が多い人物に入っているしな。
過去に飛び抜けて魔力量が多かったと言われているのが、ベルンハルトとエンゲルハイトだ。
ベルンハルトとエンゲルハイトは親子で、エンゲルハイトが父でベルンハルトが息子、そして、二人とも騎士団団長に選ばれている。ただ、ベルンハルトは、父エンゲルハイトから騎士団長に任命されてから8年後に病死したと記録されていて、息子の死後、エンゲルハイトが再度騎士団長になって、騎士団を立て直した、と記録されている。
記録によれば、エンゲルハイトも、ベルンハルトも、騎士団長になりシューバート侯爵家当主となった時に使っていたのが、侯爵家に代々伝わる「聖剣でも魔剣でも、普通でもない剣」だった。ベルンハルトは騎士団長に就任後、その剣を継いだと書かれており、ベルンハルトは、その剣を使いこなした、と書かれている。
エンゲルハイトは、剣を使っていた、という記録はあるが、使いこなした、という記録はない。
ただ、その剣は、相性が良くないと使えない剣であったらしい。
何と相性が良くないと使えなかったのかは、不思議なことに、どこにも記録が残っていない。
あぁ、そうそう。あの剣には、不思議な話がいくつも残っている。
記録には、保有魔力が多い者が、その剣を持っているときに困難に陥ると、「剣が助けてくれる」と書かれているのだが、あれを読んだ時の俺の感想は、正直言って、ちょっと怖い剣だな、と思ったね。はっきり言って、持ちたいとは思わなかったな。まぁ、兄貴の部屋にある物だから、近付く機会もなかったけど。
記録によれば、剣が助けてくれた方法もバラバラで、ある者が強い魔物に不意を突かれた時には、鞘から取り出した剣が火を噴いた、とか、別な者は、軍事侵攻中に怪我を負い、水筒の水で傷口を洗おうとしたら、既に水がなくなっていたのだが、剣から水が勢いよく水が流れ出し、傷口を全て綺麗にすることが出来たとか、読んだだけでは意味が分からない現象が起こったらしく、しかも、保持魔力量が多ければ多いほど、その「意味が分からない現象」が強く現れた、らしい。
この、水の件は結構詳細に書かれていて、部下に水が出ている状態の剣を持ってもらったら水が止まってしまい、自分で剣を持ちながら洗うしかなかった、とか。
あの剣は、持ち主であるシューバート侯爵家の者以外が持つと普通の剣になり、兄弟でも保持魔力量が少ない者が持つと、魔力欠乏に陥る、とも書いてあったな、確か。
あと、ある代の者が川の中に入り、汗を流している時に、川岸に置いておいた剣を誰かが盗もうとして剣を握った途端、その盗人が突然死した、という記述を読んだの、覚えているわ。
そういう逸話が結構残っているから、「普通でもない剣」として伝わったのだろうな。
その剣は代々当主が継ぐことになっているから、今は兄のオルトールドが持っているが、内勤の宰相になっているから、普段はその剣は佩かずに、当主の執務室に大切に保管されているし、内勤だから危機に陥ることもないから、剣の、その不思議な力は、俺も長兄も見たことはない。
帰ったら、兄貴に教えてやらないとな。あの剣の正体を。
<エルンストとカリン>
どうやら、トイレ側の結界内の温度が落ち着いたようだ。
入り口側と異なり、今回は有機物が多いエリアだった為、回転性の風魔法で【灼熱火焔地獄】の温度を上げたのもあり、燃焼物が無くなり鎮火した後に、魔法で急速冷却を行ってはみたが、温度が落ち着くまでに、結構時間がかかった。
カリンは、魔法杖を使わずに冷却を試みるエルンストを見ていたが、何故杖を使わないのだろう、と不思議に思っていた。何か、理由でもあるのだろうか、そう思いながら、指摘せずに待つことにした。
試しに、【水魔法:水球】をトイレ側の結界内に落としてみたが、蒸発することも、沸騰することもなく、普通に地面を濡らしただけだった。安全に歩ける温度にまで下がっている。
二人でゆっくりと結界内を歩く。
土が業火と急速低温に晒され、ガラス化している。場所によっては陶器の様に、綺麗な模様が出来ている。自然が織りなすまだら模様は、心を落ち着かせる不思議な力がある。
とても、元大規模営巣地で、危険な場所だったとは思えない程に、目にも優しい空間となっている。
この洞窟は銅が豊富なのか、緑色に変化している所が多い。逆に、側路内は無酸素状態で高温になったと思われ、赤色に変化している所が多く見られる。
凹凸によって温度が異なったのだろう。凸部は磁器の様に白くなっている所が多いが、凹部は、陶器の様に、土の構成物質によって、様々な色に変化している。
本当に、ゴブリンの大規模営巣地だったとは思えない程綺麗だ。
エルンストは、磁器の様に白くなった部分をアイテムボックスから取り出したナイフで叩いてみた。驚くほど、打音が高い。
「【灼熱火焔地獄】に風魔法を追加しただけで、ここまで高温になるのですね。これでレンガを作ったら、水による劣化が防げそうです。」
「その前に、王国内に【灼熱火焔地獄】が使える人、どれだけいるのでしょうか?」
「…風魔法をうまく使えば、【灼熱火焔地獄】より低い火魔法で、代用、出来ませんか?」
流石、この応用力は職業軍人の魔術師だ。カリンにはそういう発想はなかった。
「確かに。火魔法は何とかなるかもしれませんが、…装置は、どうするのですか?それだけの高温に耐えられる物質となると、そうそうないと思いますが。」
「王都近辺では無理そうですが、ヴァイマル州領とハインライテル州領との間にある、あの広大な森には、洞窟が複数存在しているので、そこを使えば。」
「なるほど。確かに、あそこには洞窟が多数存在していますね。」
宮廷魔術師団の団長としてのエルンストと接する事が多いカリンは、エルンストがヴァイマル州領の州領主でもあることを思い出し、州領主らしい考えに、思わず笑みが漏れる。
「特殊レンガとして、新たなヴァイマル州領の特産品に出来そうですね。」
「一考するに値するかと。」
「硬すぎる物は、意外と強い打撃に弱い物ですが、防火もしくは防水対策を目的にした物であれば、かなり需要が望めるのではないでしょうか。」
「えぇ、かなり。これは、思わぬ副産物です。」
見本にするためだろう。エルンストは、風魔法で異なる色の場所を風魔法で切り裂き、剥がし、集めながら歩いている。
――――領主という立場も、色々と大変そうですね~。
ガラス化し、様々な色に変化した硬質物を見て、綺麗だな、とは思ったが、それを新たな収入源にしようとまでは考えなかったカリンは、側路内の赤色に変化した物までも採取しているエルンストを、感慨深げに見ていた。
通路が終わり、エルンストたちが休憩した場所を含む、突き当りの壁が見える場所まで来た。結界は通路の終わりまで張ってあった。
「この壁の向こうには、ゴブリンはいなかったのですか?」
カリンは、エルンストだけでなく、クラウスからも、壁向こう側での戦闘の話が出なかったのに気付いた。
「そうですね。私が見つけた空間にはいませんでした。クラウス殿からも、そういう話は出なかったので、同じような状態だったかと思います。壁向こう側は、ここよりも明るかったので、雨水の浸水が酷かったのではないか、と考えていました。様々な物を積み上げて壁のようにして、巣への浸水を防いでいたのかもしれません。」
「そうだったのですか。それでしたら、ここは、この壁にしている物だけ、というわけですね。そうだと仮定すると、この荷物の下の方、結構な水分を含んでいる可能性もありますね。」
「あ~、そうですね。今思い返せば、奥の空間に入る為に移動させた荷物、結構な重量がありました。水分を多く含んでいる可能性が高いかと。」
温度の維持は難しいかもしれないが、側路や遮蔽物がない、という点では、通過して来た通路より広めに結界を展開しても支障は少なそうだ。
「ここは、ここの通路と隣の通路に続く空間を全て一区間として結界を張ります。」
「お願いします。」
ここの空間は、左側と右側、横長く広がった空間になる。奥行もそれなりになるが、通路のように、前方奥深くまで届ける必要はない。
今までは炎を前方に、床と天井に満遍なく炎が届くように放っていたが、ここでは、左右に炎が走るようにする必要がある。
炎が時計回りにぐるりと回るように放つ。側路はないから、炎の威力が削られる事はない。水分が多いと思われる物が多く積み重なっている場所だから、温度が低くなる方が問題だ。
温度が低くなると、どうしても煙が増える。結界内にいる限りは煙による害はないが、外に出した煙が、他のゴブリンを刺激しかねない。なるべく必要最低限に抑えておきたい。
水と火の相性は悪すぎる。今までと同じ方法では、高温を維持できないだろう。
「焼く前に、一度高く積み重ねられた荷物を、後ろ側の空間に倒して、水分を飛ばします。私たちが休憩を取った空間の間にあった壁を崩したので、炎は遮られませんが、他の場所は、もしかしたら壁で区切られている可能性があります。荷物を倒せば、そこに引火させる事で、内部を焼くことが出来ると思います。」
「仕切り壁があったのですか。でしたら、荷物を倒して引火させるというのはいい案だと思います。壁の後ろ側に生命反応を多数認めます。我々の気配を察して逃げているのかもしれませんから、行動を遮るのにも丁度良いかと。」
エルンストは少し後ろに下がり、風魔法の勢いが削られにくい角度を探す。一度で全ての壁を崩すのは難しそうだ。2回に分けて行う事にした。
クラウス班が討伐した通路側から始めることにした。クラウスが休憩と取るのに適した空間を見つけた時は、目が激臭でやられて、痛みで涙が止まらず、よく見ていなかった、と話していた。
状態が分からない為、エルンストは風魔法で探査を行っているが、荷物がぎっしりと積み重なっており、奥に流れて行く小さな空間すらもなさそうだ。あっても、直ぐに何かにぶつかる感触がある。
後ろに空間があるかどうか分からない状態であるなら、荷物を破壊して荷崩れを起こすしかない。積み荷の後ろが壁なら、そのまま風が戻って来るだけだ。
エルンストは、通路ギリギリまで右側に寄り、左奥が見える位置を確保し、足場を整える。
「【風魔法:風刃乱舞】」
声に出して詠唱し、魔法杖の魔石の周りに纏わせる。
「【風魔法:竜巻】」
同じく声を出して、【風刃乱舞】に【竜巻】を乗せると同時に、上下に手首を振り、風を上下に流すようにして、前方へ勢いを付けて放った。
今、エルンストが立っている場所は、結界の境目から少し後ろに下がっている。カリンの結界を、今立っている側の結界と積み荷側の結界と、2回通過させる必要がある。
もしかしたら、かなり勢いが削られてしまうかもしれないが、この2つの魔法なら、それ程負荷はない。必要なら繰り返せばよい。
ドォーーーーン、と大きな音が響き、ドドドドォーーーーと、地面が揺れる程の振動が伝わって来た。
竜巻によって勢いを増して進み、風刃がぶつかった場所では激しく荷が破裂し、勢いそのままに風は上から下に伝って移動し、勢いがそれ程削られなかった分の風が、床にぶつかり上に跳ね上げられ、前方に飛んだ荷の中身を破壊し、破裂した荷も勢いよく四方に飛び散り、更に荷を削っていく。床にぶつかった風も、そのまま上方に飛びあがり、天井などにぶつかり、ぶつかった時の角度に逆らわず、そのまま飛んでいき、飛散している荷の中身を破壊していく。
前方に進んで行き、壁にぶつかった風は手前に跳ね返り、後ろに空間があった場所にぶつかった風は、荷を破壊しながら、そのまま進んで行き、荷を後ろの空間の方へ倒した。そして、後方の空間を進んだ風は壁にぶつかると、前方に跳ね返り、真っすぐ跳ね返った風は、そのままカリンの結界にぶつかり、少し角度が付いて跳ね返った風は、跳ね返った先にある荷を爆破させ、そのまま崩して、消えた。
土煙が立ち込め、全く前が見えない状態になり、風がぶつかる音と、荷が破壊される音だけが響いている。
「もう少し、勢い削られるかと思っていたのですが、…すみません。」
あまりの音に、エルンストは詫びた。
「いえ、大丈夫ですよ。エルンスト殿は、風の神鳥ヴェズルフェルニルの加護も受けてらっしゃいますからね。ヴェズルフェルニルの加護によって、計算していたよりも、風魔法の威力が削られなかったのかと思います。」
カリンはそう答えたものの、
――――ラン殿の【応援歌】なしで、この勢い?
ヴェズルフェルニルの加護はあくまでも風魔法に対してだ。火魔法への影響はない。藍のスキル【応援歌】は、光魔法と比べると攻撃魔法への影響は少ないとはいえ、威力は増強される。
だが、ここには『魔道神鳥』藍はいない。それなのに、カリンが張った神術結界を2つも通過して尚もこの勢い。正直、カリンも驚いていた。
何となくだが、魔法杖を使い始めて以降、カリンには、エルンストの魔法の勢いが増しているように見える。
普通はそんなことはあり得ない。
――――あり得るとしたら、エルンスト殿は術の魂の持ち主…。
惑星で生まれる生命の最大数は決まっている。何故なら、惑星を誕生させた後に、創造神が『生命の種』を蒔いているから。
だが、それから外れた魂がある。それが、創造神が創った『始祖の魂』だ。
この惑星エムラの創造神エムラカディアによれば、エムラカディアが創った始祖の魂は、剣の魂、術の魂、盾の魂、そして知の魂の4つ。
盾の魂は役割を果した後、全てを放棄し、普通の輪廻に乗る事を希望したと聞いている。
知の魂は、息子である剣の魂を守る能力だけは維持し、常に剣の魂を守る立場を希望している、と聞いている。
剣の魂と術の魂は、能力を維持する事を望み、本来なら自由に転生人生を謳歌する権利を持ちながら、今でもエムラカディアの手伝いをしてくれている、と聞いている。
もし創造神が惑星の発展の為に作った始祖の魂なら、転生時に使わないと決めた能力が、魔導王が作った魔法杖によって、漏れ出てしまった可能性は大いに考え得る。
創造神は中級神、そして魔導王ルウィージェスは上級神。しかも、世界創造神の神力で造られた特別な魂を持つ、次期世界創造神候補。その力の差は歴然たるもの。
中級神が封じ込めた能力を引き出してしまう可能性は大いにある。
だが、とカリンは思い直す。エルンストには守護神が付いていない。術の魂なら守護神が付いている筈なのだ。
しかし、エルンストが術の魂の持ち主であるなら、全てが納得できる。守護神が付いていない、これ以外は、術の魂である根拠が揃っている。
――――何故守護神が付いていないのかは分かりませんが、エルンスト殿は術の魂の持ち主であると考えた方がしっくりくる。そう考えておいた方が良さそうですね。
左側の荷崩しによる土埃をエルンストは風魔法で吹き飛ばし、状況を確認している。
本人的には満足いったようだ。今度は右側を崩しにかかった。
方法は左側と同じだ。
予めエルンストはカリンに音が響くことを詫びて、魔法を放った。
「乾燥は、【水魔法:広域放水】の逆流魔法【逆流水魔法:広域乾燥】でやってみます。慣れているので、加減がしやすいので。」
カリンは、エルンストの『慣れている』という言葉に、少し驚く。
「逆流魔法の存在を知った後、色々と試してみたのですが、【放水】の【逆流水魔法:乾燥】は凄く便利で、今では、天気が悪く、洗濯物が乾ききらなかった時に、使っているのですよ。」
カリンの反応に対し、その理由をハハハと苦笑しながらエルンストは説明したが、フォーゲル伯爵家は古参伯爵家。一般的には筆頭伯爵家と呼ばれる貴族家だ。カリンからすると、筆頭伯爵当主らしからぬ家庭的な話に、かなり驚いていた。
元々、クラウスと比べると、エルンストは家庭的な面が強い。珍しい調味料を見つけては、屋敷の料理長と一緒になって料理しているし、最近は香り紅茶に合うフルーツや花びらなどの研究にかなりの時間を費やしている。没頭している、と言って良いほどの熱の入れようだ。
本人的には実験気分なのだが、妻エミリアと娘エヴァリンには、「食が豊かになるのは良いことだ」と、このエルンストの趣味はかなり好意的に受け止められている。
【逆流火魔法:乾燥】が慣れるまで施行することになったのには、勿論切っ掛けがある。
逆流魔法の存在を知って間もなくの頃、メイドが、洗濯物が乾ききらずに困っているのを見かけた。効果のほどを見てみたいと思っていた矢先だったこともあり、【逆流火魔法:乾燥】を試してみたところ、瞬時にいい感じに洗濯物が乾いた。それを見ていた妻エリザベートは、それ以降、非番の日と重なった時には、エルンストに洗濯物を乾かすのを手伝って貰うようになった。
エルンストも、生乾きのシーツで寝たくないし、風呂でさっぱりした後に生乾きの寝巻ローブを羽織りたくない。手伝わないという選択肢は彼の中にもなかった。
今では、娘のエヴァリンもこの【逆流火魔法:乾燥】を使えるようになり、エルンストの代わりを担えるまでになっている。ただ、まだまだ魔力制御が甘く、広域にかけることは出来ずにいるが。
エルンストは、【水魔法:広域放水】の逆流魔法【逆流水魔法:広域乾燥】をあっさりと放った。
カリンからみても、確かに慣れている、と思える程、発動させるまでが速かった。魔法陣を描いていないのでは?と思うほどの超高速発動。
「本当に、慣れてらっしゃいますね。」
「この【逆流火魔法:乾燥】と【逆流火魔法:熱吸収】は、妻から依頼された回数が飛び抜けて多いですからね。妻は『便利魔法』と呼んでいます。」
カリンも、【逆流火魔法:熱吸収】は便利だと思っている。神術にも≪火属性:火球≫があり、カリンも、≪火属性:火球≫を逆流させてみたところ、【逆流火魔法:熱吸収】と同じように、熱吸収量次第で、果物をいい感じに冷やすことが出来、果実の搾り汁を薄めずに冷やすことが出来た。今では、≪逆流火属性:熱吸収≫を重宝しており、かなりの頻度で使っている。
エルンストが【風魔法:風弾】を5発放ち、異なる5か所に着弾させた。すると、完全に乾いた時に見られる土煙が舞い上がった。
「いい感じに乾いたようです。」
そう言うと、今度は今立っている結界のギリギリの所に移動し、足場を固めた。
今度は、初めから魔法杖の魔石の部分を、荷側の結界内に突き出している。
初めは、2回に分けて行おうとしたが、先程の風魔法の威力を見て、一度で終わらせる方法を取ることにした。
「【火魔法:灼熱火焔地獄】、【風魔法:狂風】」
と、二つの大型魔法を連続して唱えた。
そして、魔法杖を左側に振り、同時二重魔法を放った直後に、
「【風魔法:竜巻】五重発動」
左手で魔法杖を持ち、右手を左から右に動かしながらエルンストが唱えると、【竜巻】の魔法陣が5つ現れた。現れた5つの魔法陣は全て異なった方向を向いている。
「【風魔法:竜巻】斉射」
その途端、各魔方陣から【竜巻】が放たれた。
【風魔法:狂風】で勢いを増した【火魔法:灼熱火焔地獄】に【竜巻】がぶつかると、【灼熱火焔地獄】の炎を纏った状態で【竜巻】が弾かれ、暴れまわった。
「炎を纏った【竜巻】がより勢いのある【狂風】に弾かれることを逆に利用して、延焼面積を一気に広げたのですね。」
「はい。これだけ燃焼物がある所に【火魔法:灼熱火焔地獄】を2回放ったら、逆に危ないと思いまして。熱はカリン様の結界内に収まっても、壁にぶつかる振動は、どうしても伝わってしまいますからね。2度目を放つタイミングを計るのも、これだけ風魔法の威力があると、難しいかも、と思ったのも、大きな理由でもありますが。」
「ここの洞窟は硬いですが、流石に風魔法で勢いを付けた【火魔法:灼熱火焔地獄】に、単体とはいえ【灼熱火焔地獄】がぶつかったら、下手したら崩れてしまうかもしれませんね。」
カリンは、炎に焼かれる天井を見ながら言った。
ここ、テューゲンリン王国には火山が複数ある。今でこそ、この近辺に活火山や休火山はないが、休火山を抱えるリリーエムラ公爵が治めるハインライテル州領の温泉は豊富な湯量と豊かな泉質に恵まれている。その両隣のヴァイマル州領とヴェッティン州領にも複数の源泉があり、大きな温泉観光地となっている。
ヴァイマル州領はフォーゲル伯爵家が州領主として治めており、ヴェッティン州領はシューバート侯爵家が州領主として治めている。
火山から流出する溶岩が高温で溶けて、低温で固まるのは、土に含まれるケイ酸塩鉱物の性質によるものだ。そしてこの洞窟は、大昔の名残で、その成分を多く含んでいた。ケイ酸を含む岩は硬いが、角が欠けやすい性質も、洞窟を掘り、営巣地として使うのにうってつけだったのだろう。
風魔法で増強された【灼熱火焔地獄】の温度は非常に高く、外気温との差が激しい。
上記の理由により、ここの土壌は、土をガラス化させる成分が豊富なため、業火に焼かれた土は、外気温という天然の急速冷却によりガラス化して硬くなってしまう。硬くなり過ぎて、力を吸収し、受け止める力を失った洞窟壁に、エルンストの【灼熱火焔地獄】2つ分の衝撃は、確かに強すぎるかもしれない。
結界内が赤い炎に包まれている。『紅蓮の炎』という単語が二人の頭の中に浮かんだ。
風魔法に煽られた炎が音を立てながら右へ左へと移動している。
あちらこちらで壁にぶつかる音が聞こえてくる。まだ、【灼熱火焔地獄】の威力に飲み込まれず、残っている【竜巻】があるようだ。
だが、それも数分後には聞こえなくなった。
そして、燃える物がなくなり、【灼熱火焔地獄】も鎮火した。
鎮火を確認したエルンストが【火魔法:火球】の逆流魔法【火魔法:熱吸収】を大量に結界内に打ち込んでいる。魔法杖は左手で持ったままだ。
先ほどは、何か理由があるのかも、と思ったが、どうやら、単純に魔法杖を使う習慣がないだけだったようだ。
「エルンスト殿、魔法杖を使った方が、結界内の温度を一気に下げることが出来ますよ。」
「あ、」
カリンのその言葉に、左手に魔法杖を持ったままになっていることに気づくエルンスト。魔法杖を使う習慣のないエルンストらしいドジっぷりだ。
改めて、結界内に魔石が入る角度で魔法杖を右手に持ち直す。
「逆流魔法【火魔法:熱吸収】」
先ほどより少しだけ多めに魔力を込め、声に出して唱えた。
一面氷結した。採光に反射して、キラキラと輝いている。
「…力加減、難しいです。」
ボソっとエルンストが呟いた。
「使い方が適切か悩みますが、…エルンスト殿、どんまいです。」
「ありがとうございます。」
騎士団、魔術師団に出入りし始めてから知った言葉を使ってみたが、どうやら使い方は間違っていなかったようだ。
いつか使ってみたいと思っていた単語が適切に使えたカリンは、ちょっと気分良かった。
「魔導王レベルの魔法杖ですからね。微妙な力加減が一番難しいかもしれませんね。」
魔法杖をうまく使いこなせず困るエルンストの姿を見て、カリンは少し安心していた。
魔導王レベルの魔法杖を、初めから完璧に使いこなす方が恐ろしい。
「どうしますか?正直、このまま放置して、自然解凍を待っても全く問題ないと思います。もう少し、見本の採取、されますか?」
「そうですね。先ほど、結構な数を集めたので、ここはこのままで先に進もうかと思います。余りゆっくりし過ぎて、ルウィージェス様とクラウス殿を待たせる訳にはいきませんし。」
「それでは、隣の通路に行きましょう。」
カリンは、凍結しているエリアを避け、結界を張り直した。
帰りは、来た時と同じ方法で全く問題ない。来るときよりも、側路の入り口が、進行方向にあるので、熱が側路の奥まで届きやすい。
帰りも通路を2画に分け、進んだ。
<クラウスとルウィージェス>
エルンストとカリンと分かれた二人は、通路内に入った。
声こそは聞こえないが、気配を感じる。数は多くないが、生き残りがいるようだ。
クラウスの強者の気配を感じているのか、身を潜めているようで、物音も殆どしない。時々、更に奥に逃げようとしているような気配を感じる。
「この通路は、実際にぼくも通ったから知っているけれど、凹凸が多いから、側路程ではないけれど、熱効率が悪いと言えば悪いと思う。」
「アダルベルト殿たちも言っていましたが、本当に壁がボコボコしていますね。しかも、こっち側に対して死角になるような凹凸に見えます。」
この通路は洞窟から戻る時に通った通路だが、あの時はゆっくりと見ていなかった。改めて、両壁と天井を確認する。
「こっちの通路の方が、明らかに左側の通路よりも天井が高いですね。あっちは、ここまでの高さはかなり奥の方まで行かないとありませんでしたよ。」
「こっちは、将軍もいたからね。多分、元の住人、オーガ辺りだと思うけれど、自分たちが棲みやすいように、かなり頑張って掘り進めた通路なんだと思う。」
ルウィージェスも、改めてじっくりと天井の方を見る。よく目を凝らして見れば、上の方にも、何かで擦った跡が見える。自然に出来た通路でないのは確実だ。
「クラウス団長、今腰に差しているのが、使い慣れている剣?」
「はい、そうです。」
「ちょっと見せて貰ってもいい?」
「?…はい、構いませんが、」
そう言いながら、クラウスは鞘ごと腰から外し、ルウィージェスに渡した。
ルウィージェスは、クラウスが腰から剣を外している間に、アイテムボックス内で『大地と地下鉱物の権限』を発動させ、ミスリル、鉄と鋼を作り出した。
それらを取り出すと、【精霊魔術:精霊鉄】を鉄に、【精霊魔術:精霊鋼】を鋼に掛けた。
精霊鉄と精霊鋼の塊は地面に置き、そして、ミスリルを左手に掴みながら、クラウスの剣の柄を見る。すると、ミスリルがウニョウニョと変形していき、クラウスの柄と同じ形になり、柄の形はそのままに伸びていき、クラウスの剣の半分くらいの長さまで伸びると止まった。
ルウィージェスは、変形したミスリルをクラウスに持つように言うと、今度は地面に置いておいた精霊鉄と精霊鋼の塊を手に取った。
「この二つは鉄と鋼だった物で、ぼくの精霊魔術で、精霊鉄と精霊鋼に変えた精霊鉱石。」
ルウィージェスはクラウスから変形させたミスリルを受け取ると、クラウスに精霊鉄と精霊鋼を渡した。
「これを使って、クラウス団長の精霊剣を作ろうと思ってね。」
「…精霊剣、ですか?」
実際には見たことはないが、クラウスは聖剣と魔剣が存在することは知っている。だが、精霊剣は初めて聞く。
「姉さまのこの惑星では、精霊の影響は最低限に抑えてあるから、多分、聞いたことないと思う。」
「そうなのですか?何故、最低限に抑えているのですか?」
精霊の存在はクラウスも知っている。精霊がいると、緑の生育が良くなり、野菜が美味くなり、花の色が鮮やかになる、というのは子ども用の絵本にも描かれている。
「精霊ってさ、物凄く自由気ままなんだ。我が儘とも言えるかな。とにかく、気まぐれなの。だから、精霊の影響が大きく出てしまうと、精霊のご機嫌次第で文明が繁栄したり滅んだりしてしまって、管理が難しくなるんだ。だから、姉さまは、豊かな自然を守る為程度には許しているけれど、それ以上、精霊が力を持つ事を許可していないんだ。でも、全くいなくさせることは出来ないんだ。精霊がいないと、大地が死んでしまうし、惑星の寿命が短くなっちゃうから。」
「惑星の寿命?!」
そこまでは子どもの絵本には描かれていなかった。
「火山活動が一番分かりやすいかな。一定周期で火山が噴火するのは、地脈と水脈を安定させる為と、鉱物を地面に補給させる為。その周期は強い妖精が自分の眷属の精霊を動かす事によって、安定させているんだ。妖精だけで周期を守ろうとすると、今度は妖精の力が強くなり過ぎて、これも、文明が不安定になるから、創造神的に困る。」
これには驚きしかない。シューバート侯爵家は、創造神から眷属認定される者を多く輩出してきた歴史から、創造神にまつわる絵本などを子どもに多く読み聞かせをしている。四男であるクラウスも、当然、創造神に関する多くの物語を親や長兄に読んで貰った記憶があるし、自分でも読んできた。当然、自分の息子たちにも読み聞かせてきた。
その中に、今ルウィージェスが話した内容に関することは一切書かれていなかった。
「不思議に思ったこと、ないかな?シューバート侯爵家って、剣の家系なのに、魔力量が極端に多い人が現れるでしょう?今代はクラウス団長だけど。」
――――確かに、言われてみればそうだ。
歴代強い剣士が生まれる貴族家は複数あるが、攻撃魔術が使える剣士が生まれるのはシューバート侯爵家のみだ。
子どもの頃、同じクラスになった、同じ剣士の貴族家の子に、攻撃魔法が使えることを物凄く羨ましく思われたことを思い出す。
その子の屋敷に遊びに行った時に、その子の祖父が、攻撃魔法が使えるからシューバート侯爵家は筆頭侯爵家なのだよ、とその子に説明していたのを覚えている。
「魔法が使えることを不思議に思ったことはありませんが、真ん中の異母兄二人は魔法が殆ど使えず、何故だろう、と思ったことはあります。何故、兄弟なのに、これ程違いが出るのだろう、と思っていましたね、小さい頃。」
クラウスにとってはいい思い出ではない。下手に魔法が使えた為に、魔法が殆ど使えない真ん中の異母兄二人がクラウスに嫉妬し、散々虐められた。
「それは、クラウス団長の異母兄の母上が、王家縁の者ではないからだよ。シューバート侯爵家とフォーゲル伯爵家に王家から降嫁が多いのは、姉さまがその力を維持させる為に意図して行っているからなんだって。姉さまが言ってた。」
「え?!」
「クラウス団長の母方のおじい様って、元第三王子のローデンブルグ公爵でしょう?姉さまから聞いた話しでは、当時第三王子だったローデンブルグ公爵は、当時王太子だった第一王子よりも剣に優れていたけれど、魔法が弱かったんだって。だから、ローデンブルグ公爵の第一婦人はフォーゲル伯爵家から嫁がせて、魔術の能力を維持させたらしいよ。」
クラウスは驚きの余り声も出ない。恐らく、兄のオルトールドでさえ知らない事実だ。
「で、何故、シューバート侯爵家において魔法が使える者を維持する必要があるか、というと、シューバート侯爵家のご先祖様は、精霊剣の使い手だったから、なんだって。」
「は?」
フォーゲル伯爵家に代々伝わる魔法杖があるように、シューバート侯爵家にも、代々伝わる剣がある。当主となった者が代々受け継いでいるが、その剣は、聖剣でも魔剣でもないが、普通の剣でもない、と伝えられている物だ。
「エルンスト団長が持っている魔法杖がもう寿命だったから、もしかして、と思って、姉さまにカードリーっていう連絡用神鳥を飛ばして聞いてみたんだ。そうしたら、同じく、もう寿命だって。だから、今、新しい精霊剣を作ろうと思って。」
「え?でも、自分は、シューバート侯爵家の当主ではありませんよ?」
代々伝わっていた、あの剣が精霊剣だったのなら、兄オルトールドが継ぐ物だ。
「ううん、あれはクラウス団長が継ぐ物だよ。オルトールドさんが本来継ぐべきだったのは別な物。多分、今は王家に秘蔵されていると思う。でも、もう寿命だと思うけどね。皆、同じ時に姉さまが作った物だから。」
クラウスは混乱していた。何故、シューバート侯爵家当主が王家の秘蔵を継ぐ者になっているのか。
――――昔、何らかの手違いで、王家に献上してしまったのだろうか?
クラウスの混乱ぶりはそのままに、精霊王でもあるルウィージェスは話を続けた。
「精霊剣が最大限の力を発揮するには、精霊の力が必要でね。精霊剣の継承者は、継承した時点で、精霊が見えるようになるし、意思疎通が出来るようになる。だけど、その能力の為には魔力が不可欠でね。だから、精霊剣の正当継承者は、剣士でありながら、並外れた魔力を持っている必要があるというわけ。で、今代は、オルトールドさんでない理由は、クラウス団長の方があるかに保有魔力が上で、精霊との相性がいいから。ニックスがクラウス団長に直ぐに懐いたのも、クラウス団長が精霊剣の継承者であると判断した根拠でもあるんだけどね。」
クラウスはルウィージェスから受け取り、両手に収まる精霊鉄と精霊鋼を目の前に持ってきた。
よく見ると、両方共表面が波打っている。鉱石なのに動いている。
「精霊が宿った鉄と鋼だからね。精霊のいたずらだよ。」
クラウスは思考を放棄し、素直に、そうなんだ、と全てを受け入れることにした。
「クラウス団長の魔力に合わせて作るから、そのミスリルの柄を持ちながら、微量でいいから、魔力を流し続けてくれる?」
「承知した。」
クラウスは精霊鉄と精霊鋼をルウィージェスに渡すと、両手でしっかりと柄を握りしめ、微量の魔力を流し始めた。
ルウィージェスは、精霊鉄を中途半端に長くしたミスリルに当てると、『錬金の権限』を発動させた。すると、精霊鉄がスルスルと上下に伸び、下は鍔の根元で止まり、上はクラウスがいつも使っている剣の長さにまで伸びた。
その状態のまま、今度は精霊鋼をその上に乗せた。すると、同じように上下に伸びたが、精霊鋼は鍔から少し離れた所で止まり、上に伸びた精霊鋼は、精霊鉄を完全に覆いつくした。
少しだけ前かがみになり、作成途中の剣の出来具合を確認するルウィージェス。
納得がいく状態だったようだ。ルウィージェスは小さく頷くと、
「【精霊王魔術:精霊剣】」
と声を出して唱えた。
すると、剣全体が青白く輝いた。少しずつ輝きが落ち着いていき、完全に輝きが落ち着いた時には、普段クラウスが使っている剣と同じ長さの剣が出来ていた。
握りはそのままに、鍔が少し大きめで、真ん中にシューバート侯爵家の紋章が入っている。
剣の表面が少し青みを帯びている。よく見ると、フラーと呼ばれる樋、剣の中心を走る細長い溝で、血走りをよくするためのもの、が少し青白く光っているように見える。更によく見ると、樋の周囲に細かい模様があり、動いている…ように見える。
「今は、クラウス団長専用の精霊が居ないから、ミスリルの色が強く出ているけれど、懐いた精霊によって、色、変わるから。」
「…何故、シューバート侯爵家の紋章が?」
クラウスは独立して子爵家の当主となっており、子爵家の紋章もある。
「シューバート侯爵家の紋章自体が、『武術の要』の神道具だからだよ。」
――――そう言えばそうだった。
クラウスは以前、ルウィージェスから聞いた紋章の説明を思い出す。
「グリップには世界樹を使おう。」
そう言うと、ルウィージェスは『全妖精術・全精霊術の権能』を発動させ、世界樹の枝を呼んだ。
グリップに世界樹の枝を当て、『全妖精術・全精霊術の権能』で形を変形させ、クラウスが掴みやすいようにした。後は、その時の調子に合わせて、テープなどで調節すれば良い。
「クラウス団長、今度は少し剣を振ってみてくれる?重心とかの微調整をしたい。」
「あ、ありがとうございます。」
柄の形はクラウスが満足いく形になった。今度は両手でしっかりと握り、素振りを数回行った。
少し、慣れた剣と重心が異なっていた。クラウスより指摘された部分を『錬金の権限』で微調整していく。
数回微調整しただけで、クラウスが納得いく剣となった。
「さてと、それじゃ、精霊さん、呼ぼうか。誰がクラウス団長と契約かわしてくれるかな。」
クラウスも、ちょっとドキドキしてきた。
第37話から続いた洞窟討伐戦も漸く終わり、残すは、洞窟内に残る全てを焼き尽くし、ダンジョン化リスクを、徹底して無くす事のみです。
ルウィージェスから、エルンストには新しい魔法杖が、クラウスにも新しい剣が渡されました。
今回初めて、というか、ようやく、クラウスの保持魔力量が多い理由が明らかになりました。
クラウスに新しい剣を渡す機会をいつにするか、結構悩みましたが、自分的には、納得できる流れとなりました。
洞窟の討伐戦そのものは終わりましたが、事後処理はまだまだ続きます。
次は、来週7月4日(土)20:00公開予定です。
第49話 「ゴブリンの襲撃⑭―洞窟の閉鎖③精霊の活躍―」
来週もよろしくお願いいたします。
また、お会いできるのを楽しみにしております。
月 千颯 拝




