第二十二話 ぜくすからのおさそい
「長い雨ですね」
「そうですね。ところでソニヤ姫は今日はお暇ですか? お暇ならば、僕がお連れしたい場所があるのですが」
長雨が降るこの季節。
王立大学校(国で一番偉い学校)の新庁舎が落成したのを記念して、こうして、落成式の来賓としてきている俺だが、来賓の中にゼクスがいた。
肩書きはいつもと違い、なんちゃら担当官みたいな役職を名乗っていたので、とりあえず、お忍びかな? と思い、それに合わせてやった。
「まぁ、この後は特に用事はないので、空いているといえば空いているのですが」
こいつの魂胆が読めないので、慎重に回答する。
魔王のように裏がないのもあれだが、こいつみたいに、何も読めないのも困る。
「そんなに警戒をしなくても大丈夫ですよ、ソニヤ姫。今日は単にディナーのお誘いだけですよ。ただし・・・」
「ただし?」
「仮面舞踏会ですね。条件は男女のペアで参加すること。これだけです」
あぁ、ダンスパーティーか。
俺もあれから、稽古でダンスをみっちりと練習したので、それなりに踊れるようにはなっている。
ふふ。
俺の実力を見せてやるぜ!
「まぁ、それでしたら、大丈夫ですが、どなたとの会合ですか?」
一応、参加者を聞いておく。
こいつからの誘いだから滅多なことはないと思うが、念には念を入れて、だ。
「そうですね。僕主催の秘密の会合というやつですね。表向きはギルド主催のパーティーとして、開催していますが、僕個人の知り合いの方々に来てもらっています」
一応、どんな連中が来るのかと細かく聞いてみたが、色々な方たちですよ、とはぐらかされた。
まぁ、俺としても様々な人間に会って情報収集をするのは、悪い話ではない。
交遊関係の広さは、そのまま、情報収集の広さになるので、俺のような非力な人間にとって、このリスキーな世界で生き残るのに必須のスキルだ。
「最後の質問なんですが、別にその・・・。あの・・・、いやらしい会合とかではないですよね? サバト的な?」
男女ペアの密会というと俺のエロゲー脳だと、どうしても乱○パーティーを連想してしまうので、一応の確認をする。
大丈夫だよな?
「そんなものではありませんよ。ただ、若い方々は結構参加されますので、一部、羽目を外されてしまう困ったお客人はいますがね」
ふふっ、とゼクスが例の感情が読めない笑い声をあげる。
少しだけ身震いをしてしまうが、ゼクスの秘密の会合という怪しげなキーワードに対する好奇心に負けた。
「では、本日はエスコートよろしくお願いしますね」
「はい。お姫様」
ゼクスは恭しく、お辞儀をした。




