第二十一話 こころとからだをあらいながす
「ふー、生き返るー」
俺は、銭湯の浴槽のなかでのびをする。
さすがに、午前中に、銭湯に入りに来ている客は少ない。
俺以外には、薄紫色の髪の毛をした少女が一人だけだ。
そういえば、あの子、時々見かけるな。
このあたりの子なのか?
今は、俺達は、魔王の紹介で、白鷺亭の近くの銭湯に来ている。
なんとなく、外観が日本の銭湯に似ているような気がしないでもない。
んー、湯屋という感じか?
魔王は、ちょくちょく、ここの風呂を利用しているらしい。
俺たちが到着したときは、もう少しで、清掃のために閉じるところだったので、ギリギリセーフだった。
なお、やっぱり、男女が分かれて入浴するシステムになっていた。
現代日本のシステムを丸パクリしすぎだろ、この世界。
石鹸で、身体中を念入りに洗う。
もう、ぬるぬるな、たこの体液はついていない。
というか、あのぬるぬるした、白い体液は、保湿効果とか、美肌効果なんかがあるのか、洗い終わった後の肌がすべすべになった気がする。
商品化すると売れるかもしれない。
そんなことを考えながら急いで風呂からでる。
さっさと準備をしないと、午後からの公務に遅れる。
あれ? そういえばあの子、いつの間にかいなくなっているな。
俺が出てきたときに、魔王は、長椅子でくつろいでいた。
しかし、魔王。そんな風に服を着崩していても様になっている。
イケメンは何をしても絵になるな、なんて思う。
そういえば魔王はストローを突き刺した小瓶を手に何かを飲んでいる。
「マオールさま。それはなんですか?」
好奇心から聞いてみた。
「ん? これか? 牛乳だな。お前も飲むか?」
「あ、では、少しだけ」
自分でも買おうか悩んだが、時間がもったいないので、もらった。
結構冷えている。
火照った身体には気持ちがいい。
そういや、この世界って冷蔵庫とかあるのか、謎だ。
「アインスよ。その服似合っているぞ」
「あ、ありがとうございます・・・」
お前が俺に買ってくれた服だけどな、これ。
まぁ、個人的に魔王が気に入った服を俺に買ってくれた、というところか。
しかし、それでも他人から誉められるのは悪い気はしない。
「そういえば、これを食べていけ」
そういって魔王は、小袋から、白色の団子のようなものをくれた。
一口食べると、中に蜂蜜が入った、小さめのパンだった。
おいしい!
「今日は付き合わせてすまなかったな」
まぁ、いろいろと大変だったけど、まぁ、楽しかったかな?
俺はにっこりと笑うと、上目使いで、つい言ってしまった。
「また、誘ってくださいね」
俺もまだまだ修行が足りない。




