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おかしなおかしな教師近藤とチョコレート  作者: 柿井優嬉


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チョコ魂

 それからというもの、真由美は近藤とチョコメイトの存在を心の拠り所にして、非常に忙しくて大変な毎日を乗り越えていきました。

 近藤さん。私、頑張っていますよ——。

 私は、私は、チョコメイト。ウフフフフ——。

 だいぶお疲れのようです。くり返しますが、彼女は本当は常識人なのです……多分。

 値段を見て思わずため息が漏れても、もう迷わず、定期的にチョコレートを買って帰るのをやめませんでした。

 ところがです。ある時期を境に、例のスーパーマーケットで近藤を見かけることがなくなったのです。それまで多忙で時間に追われているがゆえに、目にしても笑顔で会釈するだけで終わることも少なくなかったのですけれども、まったく逢えないのは大切なお守りを失くしてしまったようで堪えました。

 どうしたのかしら? いったい。

 真由美は近藤の詳しい素性など知りません。よほど仕事などで忙しくてスーパーに行けないのか、あるいは、体調を崩したのかもしれないし、離れた地域へ引っ越してしまったのでは? と、いろいろ推測しましたが、正解が判明することはありません。

 それでも、彼女の心には微笑む近藤が光を放って居続けており、チョコメイトのプライドは捨てず、チョコレートを変わらず購入して自宅で味わったのでした。


 実は、近藤は、チョコレート価格高騰の原因が気候変動にあると知り、ある行動に出ていました。

 その原因について簡単に説明しますと、チョコレートを生産している国々が、気候変動による異常な高温に見舞われたことで、チョコの原料であるカカオ豆が大不作に陥ったのです。

 しかし、そもそもチョコレートの生産国は暑い地帯にあります。なのになぜ気温の上昇が良くないのかと申しますと、カカオは繊細で高温すぎても育たないのです。

 それを耳にして、近藤は考えたのでした。

 ならば、同じく気温が上がっているのだから、現在の日本がカカオを作る適した環境なのでは?

 だとするなら、私が自らチョコレートを生産してやろうではないか——と。

 そうして準備を始め、このようにつぶやきました。

「待っていてください、根本さん。あなたに、私の作る最高のチョコを届けてみせますので」

 そんな努力を陰で行うなんて、とても粋で、近藤も捨てたものではないではありませんか。しかも、教員で働き続けながらです。

 彼は二つの仕事による重労働で大層疲れる日々にも、充実感も同時に覚えて、着々と自身によるチョコレート作りへと歩を進めていったのでした。



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