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『リードの先に、君がいた。』 ―犬がつないだ、はじめての恋―  作者: 月乃しおり


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また会えた朝

第2話です。

少しずつ物語が動き始めます。


朝六時。


目覚まし時計の音と共に目覚める。


美咲はゆっくりと目を開けた。


ふと、湊とノアのことを思い出す。


とても感じの良い人だったな。


そう思うと、なぜか少しだけ胸の奥が温かくなる。


「モカ、お散歩に行こうか」


その言葉を聞くと、モカは嬉しそうにしっぽを振り、くるくるとその場を回った。


「今日も元気だね、モカ」


美咲は笑いながらリードをつける。


モカは「わんっ」と嬉しそうに鳴き、玄関へと駆け出した。


外へ出ると、朝の澄んだ空気が頬を優しくなでた。


いつもの道を歩きながら、公園へ向かう。


色とりどりの木々が朝日に照らされ、昨日と変わらない穏やかな景色が広がっていた。


そのときだった。


「あ、おはようございます」


聞き覚えのある優しい声に、ハッとして美咲は顔を上げた。


「あっ……おはようございます」


思わず少しだけ声が上ずる。


そこには、ノアを連れた湊が立っていた。


モカは嬉しそうに駆け寄り、ノアもすぐに気づいてしっぽを振る。


自然と二匹は寄り添い、遊び始めた。


「昨日も仲良しでしたけど、今日もすぐですね」


湊が笑う。


その笑顔に、美咲は一瞬だけ視線を外した。


「本当ですね。すっかり仲良しです」


そう言いながらも、心臓が少しだけ忙しくなる。


「毎朝のこの時間に散歩してるんです」


美咲がそう答えると、湊は少しうなずいて言った。


「そうなんですね。僕もだいたいこの時間なんですよ」


穏やかな空気が流れる。


特別なことは何もない朝のはずなのに、昨日よりも少しだけ長くこの時間が続いてほしいと思ってしまう。


「それじゃあ、そろそろ仕事なので」


湊がそう言うと、美咲は小さくうなずいた。


「はい。今日も一日、頑張ってください」


「ありがとうございます。美咲さんも」


二人は軽く会釈を交わし、それぞれの道へ歩き出す。


モカは何度も振り返り、そのたびにノアも応えるようにしっぽを振った。


その様子を見ながら、美咲は小さく息をつく。


「また会えるかな」

お読みいただきありがとうございました。

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