卑怯じゃね?
「なぁ、召喚士。
たしかに、僕は支援特化だとは言ったけどさ、
けれども、戦えないわけじゃないし、
戦闘スキルが皆無というわけでもない。
心配してくれるのはありがたいんだけど、
勘違いはしないで欲しいな。」
おっしゃる通りで。
「もっとも、わざとそういう自己紹介をしたんだけどね。」
「わざとかよ!!」
「だって、その方が戦闘に参加しなくていいから
僕が楽できるじゃないか。」
「しかも、理由が意外に腹黒い!?」
破壊僧と編集者以外は全員マトモだと思ってたが、
調律師も評価を見直さなきゃならんようだ。
悪い方に。
「だって、戦闘すると疲れるじゃないか?
それに、僕のスキルは強力だけど
戦闘スキルに限定するなら、燃費が異常に悪すぎるんだよ。
支援スキルは並以下の燃費で済むんだけどね。」
疲れるのは疲れるんだろうけど、
戦闘スキルと支援スキルで
燃費がそこまで極端に変わるとは思ってもなかった。
「だいたい、”戦わない” と ”戦えない” は根底から別物だよ。
ただ、支援スキルが多いのも本当。
だから、僕は戦闘は破壊僧達に任せて支援に回ってる。
適材適所というやつさ。
その破壊僧も決着がつくようだ。」
見ると破壊僧がウッドゴーレムに鯖折りを極め、
そのままへし折った。
オッサン、アンタ何者だよ?
『いやはや。
連戦で負けるとは思わんかったぞ。
次は、”2”を左へ移動させる。』
「わしゃ、まだまだイケルぞ!!」
破壊僧に連戦が続く。
『そして、さらに”8”を右へ移動じゃ。』
「なんだよ、そりゃぁ!?」
叫んだのは、大親分。
2体のウッドゴーレムが、破壊僧の居るマスに入る。
「慌てるな、大親分。
2体になったところで、ワシが遅れをとるわけがなかろう?」
ノッポの”2”と、チビだけど腕が太い”8”。
破戒僧は、どっちを先に相手するのが楽か
値踏みするように観察している。
「!!」
決まったようだ。
向かう先に居るのは、”2”。
銃弾の様に走り、そのまま勢いを殺さず
”2”の目前に迫ると、ローリングソバットを叩き込んだ。
”2”がよろける。
その隙を逃すまいと、アッパーにつなげようとしたが
横から”8”がタックルを仕掛けた。
「爺さん、2対1がありってんなら、
俺らがやっても良いわけだよな?」
『勿論じゃとも。
じゃが、わしのターンは終わっとらん。』
爺さんは残り2マス分の権利がある。
『わしは、”1”を左に動かすぞ。』
残り1マス。
『そうそう。
言い忘れておったが、1マスに入れる最大人数は4体までじゃ。
わしは、”1”を後退させる。』
「てめっ、爺!!
ふざけんn「大丈夫よ。」」
俺の怒声を遮ったのは
「大丈夫だから落ち着きなさい、召喚士。
破壊僧は負けないから。」
予言者?
「私に見えた映像では、
破壊僧の敗北はなかった。
だから、破壊僧は3体が相手になったとしても
絶対に負けない。」
とは言われたものの、流石に3体は分が悪いのか
破戒僧は押され気味だ。
しかし、3体のゴーレムが繰り出す波状攻撃を
なんとか避けたことで、”8”がバランスを崩した。
「【一鬼凍貫】!!」
それを破戒僧が蹴り上げ、
宙に浮いた”8”を追って飛び上がる。
あの体勢から繰り出されるスキルと言えば、
破戒僧の十八番、重力崩し!!
「【マッスルバスター】!!」
「なんでだよ!?」
俺のツッコミとは無関係に
肩の上に”8”を乗せ、両脚を掴んで破壊僧が落下する。
落下地点に居た”2”も巻き込んで、
2体のゴーレムを同時に破壊した。
これで、タイマンだ。
「!?
お爺ちゃん。
1つ聞きたいことができたんだけど、いいかしら?」
『何じゃ、お嬢ちゃん?』
「私たち以外の誰かが乱入してきた場合、
このゲームはどうなるのかしら?」
その質問は答えられることなく・・・




