金銭を巡る攻防
翌日、集めた蜜を持って、妖精達と会った森に行った。
戦闘できると聞いて、破壊僧はウハウハだ。
昨日の錠前屋の話を聞く限り、しなくていい戦闘もやってくれるそうだし
過剰戦力にしかならんだろうが。
なんつうか、某ドラゴンRPGで、最初の町を出たところに居るスライム1匹倒すのに
勇者の最強雷撃呪文を使うようなもんじゃね?
案の定、出てきた魔物は破壊僧が殴り、蹴り、
時にはショルダータックルで倒して行っている。
100%、俺と錠前屋は要らない子だ。
「はい、これでいいのよね?」
妖精達と出会い、編集者が言われた3つの蜜を渡す。
『助かったの~』
『ありがとうなの~』
『お礼をしたいんだな~』
「それじゃあ、【妖精の花束】が欲しいんだけど
良いかしら?」
『わかったの~』
『任せてなの~』
『お安い御用なんだな~』
妖精達が集まり、輪になってクルクルと回って踊りだす。
『『『はいっ!!』』』
踊りを止めた時、中心に花束が1つ落ちていた。
『あげるの~』
『どうぞなの~』
『持っていくんだな~』
「ありがとね。」
編集者が花束を拾うのを見届けると、
今度は俺の方に妖精達が飛んできた。
『精霊様の気配がするって言ったら、
これも渡すように言われたの~』
『命令なの~』
『受け取って欲しいんだな~』
樹の召喚獣は取ってないし、水もまだとなると
妖精たちの場合、候補は風か?
『女王様の祝福がたくさん込められてるの~』
『満載なの~』
『一杯なんだな~』
3人の妖精達から【妖精の花束】とは
別の花束を渡された。
受け取って確認すると、
【妖精女王の花束】
風の加護持つ樹の眷属
妖精族の女王が直々に作った花束。
分類:短杖
風属性魔法攻撃時 ダメージ+8% 消費MP-11%
樹属性魔法攻撃時 ダメージ+10% 消費MP-17%
販売・破棄不可/譲渡可能
・・・う~ん、
見た感じはコボルトのメダルと似たような説明文だ。
違うところといえば、こっちは一応武器扱いっぽいな。
編集者との約束だし、これは編集者に渡すとしよう。
そうと決まれば、
「編集者、メダルじゃないが似たようなアイテムが手に入った。
一応聞くけど、要る?」
帰る道すがら、聞くだけ聞いてみる。
確認するまでもないだろうけど。
「え?どんなの?
見せて見せて。」
変に握り心地のいい花束を取引で編集者に渡す。
「妖精女王の花束・・・か。
なんか凄そうね。
あら?」
「ん?」
中を覗き込んでいた編集者が
何かを見つけたようだ。
「これは・・・
想像以上に凄い物ね。」
「女王直々に作った、って説明に書いてあったし
それなりには凄いもんじゃね?
2つの属性に限定されてっけど、
魔法ダメージの追加点はともかく、MPの消費が1割以上カットとか
普通に反則気味だと思うんだが。」
「いいえ、かなり凄いわよ。
だって、ほら。」
編集者が花束をかき分けて見せたのは
「花で巧妙に隠蔽されてるけど、
こんな所に釘バットが入ってるんですもの。
凶器としても十分ね。
これなら、武器に分類されるのも納得よ。」
一体、何を仕込んでんだ妖精女王とやらは・・・
絶対、祝福じゃなくて怨念とか恨みとか
そういう負の感情が満載だろ。
こんなもんを結婚式のブーケトスで投げたら
軽く惨事じゃねぇか。
やけに握り心地が良かったのは
釘バットの柄かよ。
ちなみに、花束に釣られて出てきたクエスト専用であろう牛っぽい魔物は
破壊僧が2,3発殴ってブッ飛ばし、編集者は無事に依頼達成。
悪戯小人の呪いも解除できた。
「・・・というのが、あのNPCに関係したクエの内容だ。
俺ら絡みか、そうじゃないのか分からんが
緑に行くんなら、PT組んだ方が賢明だろう。」
「そうか、情報提供感謝する。
こいつは礼だ。」
一応、達成まで見届けたので
粗ましだけジーマに伝えると、何かを寄越してきた。
「これは?」
「言っただろう?
情報提供の礼だ。
情報代と言い換えてもいい。」
「いや、別にいい。」
寄越した袋を、そのまま投げ返す。
「そう言うなよ。」
投げ返される。
「礼が欲しくて報告したわけじゃねぇよ。」
投げ返す。
「俺の気が済まん。」
パシッ
「俺の気は済む。」
パシッ
「受け取れ。」
パシッ
「謝礼目当てじゃねぇって言ってるだろ。」
パシッ
パシッ
パシッ
最終的に、俺の友人から編集者への見舞金、
編集者が受け取らなければ、俺経由でジーマに返却ということで落ち着いた。
知らん人からいきなり見舞金渡されたって、
普通は受け取らんと思うぞ・・・




