合流
ちょっと短いです。
召喚士と編集者が目的のアイテムを探していた頃、
もう1組、PTを組んだ者達がいた。
「おう、錠前屋ではないか。
オヌシも狩りか?」
「せや。
そういう破壊僧はどしたん?
大親分も一緒のようやけど。」
「おう、ワシはだな、」
「どちらかといえば、俺の護衛の ”ついでに狩り”
じゃなくて、狩りのついでに ”俺の護衛”
っていうのが正しいんじゃないか、破壊僧。」
「・・・何となく分かったわ。」
「今のだけで分かるとは、賢いのぅ。
ガ~ハッハッハッハ。」
3人の男女の内、1人は
単純な火力だけなら、この世界一とも言える破壊僧。
単純な戦闘においては彼の右に並べる者は
モンスターも含めて少ない。
総合的な戦闘力となればランクダウンするが、
それでも10指に入るのは間違いない。
この世界において、肉体的な意味で最強のプレイヤーである。
2人いる男の内、もう1人は大親分。
商人の派生ジョブと自称しているだけあって、
様々なアイテムを駆使し、
更にはPT全体に効果を及ぼす補助スキルを得意とする。
前線に出ることはなく、
どちらかといえば後衛とか司令塔をすることが多い。
最後の1人、唯一の女は錠前屋。
罠を得意とする、自称鍵の申し子。
肉弾戦もそれなりにはできるし、
罠に嵌めることもできる。
罠であれ、扉であれ、開閉自在の万能型。
所属するギルドを同じくする3人は
ホームから遠く離れた地で偶然出会った。
「で、大親分の護衛っちゅうのは何や?
さよみたいに、素材でも取りに行くんか?
それとも、何ぞのクエストかえ?」
「素材といえば素材だね。
良い機会だから、俺も自分が使うアイテムの材料を取りに来ただけ。
でも、俺は殆ど戦えないから破壊僧に護衛を頼んだんだけど
・・・今は激しく後悔してる。」
「苦労しとるんやなぁ、アンタも。」
男2人旅の道中、
戦闘が苦手なことも有り、先を急ぎたいのが大親分の考えなのだが、
厄介なことに、わざわざ見敵必殺を
素でやってくれているのが破壊僧という漢なのだ。
敵の姿は見えなくても、森の中から音が聞こえれば、
道がなくても突き進み、敵を見つけだしては戦闘している。
事実、錠前屋と出会うまでも何度か交戦しているが、
大親分も破壊僧も、全くのノーダメージだ。
しかし、大親分の想像以上に進んでもいない。
むしろ、大親分1人の方がスピーディーだったとも言える。
「ちなみに、何を採りに来たん?」
「”陽陰樹の葉” と ”月光華の花弁” だね。
両方とも俺が知ってる限りじゃ、この森の奥にある
カゼン湖の手前くらいにしかなくてね。」
「したら、あしも手伝おか?
ちょうど、あっこの方のマッピングしよ思て行く途中やったし。」
「・・・そうしてくれると、非常に助かる。」
こうして、3人でPTを組んだのだが、
その程度で破壊僧が止まるわけがなく
当然のように見敵必殺を繰り返したため、
10分程度で着くであろう目的地に辿り着いたのは約40分後のことである。
「よぅ。
お前らも来たのか。」
「姐さんに召喚士も居ったんか。
何しとるんや、こんな所で?」
編集者とアイテム探しをしていたら
錠前屋、大親分、破壊僧が現れた。
丁度いい、手伝ってもらおう。
「編集者はクエストでアイテム探し。
俺はその手伝い。」
「さよか、頑張りや。」
3人は見事な連携で踵を返す。
「待て待て待て、手伝ってくれ。
かれこれ小1時間ほど探してるんだが、見つからねぇんだ。」
「ちゅうてもなぁ、今のあしは大親分の護衛やしなぁ。
大親分、こっち手伝うてもえいかえ?」
一応、依頼人の大親分に確認することで筋を通すらしい。
「ん~・・・ま、いっか。
こっちは場所が分かってるし。
なんなら、破壊僧も付けようか?」
腕を組んで暫く考えてから、
こっちの方が大変だと判断してくれたのだろう。
大親分がOKしてくれた。
「ありがとな、大親分。」
「ありがとう、大親分。」
「話の流れからすると、
ワシも編集者を手伝えば良いのじゃな?」
「まぁね。
ここまで来れば後は1人でも大丈夫だし。
破壊僧も錠前屋も、お疲れ様。
編集者、頑張ってね。」
大親分だけ単独行動になり、錠前屋と破壊僧がこっちに参加する。
「ほんで、姐さんは何を探しとるんや?」
「花束になるのかしら。
アイテムの名前は【妖精の花束】。
あっちから来たのよね。
何か、それっぽいのは見なかったかしら?」
俺達が探していた場所とは反対方向から来た2人に
手がかりを求めて編集者が尋ねた。
「あしは見とらんね。」
「ワシも花束は見とらんのぉ。
・・・ドロップしとる花は見かけたが。」
「関係あるのかしら・・・
どこで見たの?」
花束は見てないが、花なら見たという破壊僧の言葉で
アテのないアイテム探しに一筋の光明が差した気がした。




