得意分野って話だすと止まらないよね
言わんで良い事を言って
顔面に蹴りくらったシュートは
自業自得だから置いとくとしてもだ。
「錠前屋よぉ・・・
お前なんでミニスカ履いてんだよ?
さっきまでズボン履いてたよな。」
「あん?
あしゃ装備変えたらあかんのか。」
ドス効きすぎだ。
「いや、そうじゃないけど、
ズボンだったらのぞ・・・
いや俺が悪かった。
謝るから足を下ろせ、見える。」
黙って足を下ろしてくれたおかげで
普通に会話ができる。
謝罪することは大切だ。
特に、生命の危機を感じる時はな。
「んで、まぁ話を戻すけどよ。
お前、俺が帰る前までズボンだったのに
なんでまたミニスカなんか履いてんだ?」
「さよに新しい防具作ってもろうとったんや。
それぇ試着しとる時に、表ん五月蝿い思うて
出て行ったらあんたら居って、
ムサい男が息を荒げとったのに、さよがビビってもうたんや。」
つまり、こういう事か。
「お邪魔しました。」
「おぅ、分かればええんや。
って逃すかいアホゥ。」
シュートを見捨てて逃げようとしたが、
ガッシリと肩を掴まれて逃げ損なった。
「あしの格好見て何も思わんのか?」
「じゃあ、1つだけ。」
「お、おぅ・・・」
「いいか、怒るなよ。
俺は事実を述べるだけだ。
絶対に怒るなよ。」
「怒らへんから言うてみぃ。」
「絶対だぞ。」
「しつこい奴っちゃな。
怒らへんからとっとと言えや。」
「俺の気のせいじゃなければ、なんだが・・・
尻尾でスカートが捲れてると思っ、
ゴフゥッ!!」
ゴスン!!
言い終わる前に鳩尾に爪先がメリ込んだ。
怒らないって言ったくせに・・・
「あぁ痛かった。」
腹をさすりながら独りごちる。
鳩尾付近がまだ痛い。
「堪忍堪忍。
ありゃ、条件反射や。」
「条件反射で蹴り殺されそうになってたまるか!!」
「謝ってるやん。
許してぇな。」
「棒読みで謝られて許す奴が何処に居んだよ?」
「えぇ~、女が謝っとるんやで?
笑って許すのが男っちゅうもんやろ。」
もう何か馬鹿馬鹿しくなってきた。
「あぁ、んじゃ許すよ。
許す、許す、許します。
これ以上は蒸し返さない、OK?」
「オッケー、オッケー。」
「で、新しい防具を作ってもらってたのはいいとして
なんでまたミニスカにしたんだ?」
「あ~、それな。
なんか仕立屋の得意先からの要望らしいで。」
ミニスカを要望してくるって、どんな得意先だよ。
「クラスメイトが何人かこのゲームやってるんですけど、
うっかり、生産職だって言ったら
布系装備で、防御力があって、動きやすくて、可愛らしい服。
を注文されたんですよ。
それで、ミニスカを作って渡したら我も我もと注文が届いて・・・」
「いや、そんな簡単に変えれるようなもんなの?
布の服だったらこう、金属鎧だったらこんな形みたいに
同じ物しか作れるイメージないんだけど。」
「大体はそうですけど、細かい部分を変えることで
効果を付けたり変えられたりしますよ。
例えば、そうですね。」
自分が着ている服を摘む。
「この服は布の服ですけど、
蜘蛛の黒糸で刺繍することで毒・麻痺に耐性を持たせてますし
染岩料で青く染めて敏捷にも多少の補正をかけてます。
同じく染める場合でも、黒く染めればMP上昇が見込めますし、赤く染めるなら腕力上昇ですね。
それ以外でも・・・」
自分の得意分野を説明できるのが余程嬉しいのだろう。
嬉々として語りだし、止まる気配がない。
「・・・という訳ですので、やはり銅よりは鉄の方が
耐久性に分があるんですよね。
でも、もともとの素材を銀で作るんでしたら
混ぜるには銅の方が都合が良いですし、コストも少なめになりますね。
召喚士さん、聞いてますか。」
すまん、途中から全く聞いてなかった
とは言えず、
「難しすぎて、理解できなかった。」
という事にして誤魔化す。
難しかったのと、理解できなかったのは事実だが。
「今の説明で分からなかったんですか?
だったら、そうだと言ってくれないとダメじゃないですか。」
言ってよかったの?
「もっと優しく、具体的に、
わかりやすく説明してあげますから。」
言わなくてよかった。
「すまん、そろそろ落ちなきゃヤバいんだ。
説明はまた今度で。
あぁ、それと錠前屋。
悪いが、そこの馬鹿が起きたら
後で電話掛けてこいって伝えといて。」
「了解や。
あしが落ちる前までに起きたら伝えとく。」
俺は今日は馬鹿は見なかった。
何も見なかった。
錠前屋が蹴りくらわせた瞬間も、
足を上げて蹴ろうとした時も
スカートの中なんて見てない。
よ~っし、OK。
安心してログアウトできる。
3月19日
キャラ名間違ってたのに気づいて、人名だけ修正。




