ゲーム内での再会
昨晩は馬鹿から電話がなかったあたり、
狩りの手伝いとは言っても
楽したかっただけなんだろうなぁ、きっと・・・
いや間違いなく。
調律師不在3日目。
仕立屋は報酬用の鎧制作で忙しく、
他のメンバーもインしてないか、
個人で狩りに出かけているようなので
仕立屋に留守番を頼んで、俺も出かけることにした。
思えば、俺が1人なのって
ある意味初めてじゃないだろうか。
錠前屋でも居りゃ、レブジードのトコでも行って
雑談して暇潰せたんだろうけど。
「おい、そこの。」
以前、山賊団の連中と闘り合ったから
それなりに金はあると思うけど
正直、何を買ったら良いか分かんないんだよなぁ。
「そこの、待てと言っている。」
誰かに肩を掴まれた。
振り向くと、黒い全身鎧が立っていた。
「貴様、昨日ユウと呼ばれていたな。
貴様が召喚士のユウか?」
「人違いです。
用事がないなら、俺はこれで。」
あまり良い予感はしないし、
初対面で貴様とか言われて気分は台無しだ。
元々、台無しになるほど良い気分でもないが。
ここは顔を合わせず、さっさとどっかに行くのが得策だろう。
「ふむ、人違いか。
済まなかった。
俺はギルド黒装騎士団のマスターをやっているジーマという。
いずれ、貴様にはこの侘びをしたいと思う。」
「人違いなら謝ってもらったし、侘びとか全然要らないんで・・・
って、なんか聞き覚えがある声だな。」
どっかに行こうと思ったが
初めて見る顔というか、フルフェイスの兜でもあるんだが、
声には聞き覚えがある。
黒い全身鎧・・・
よく見りゃ腰から2本の剣がぶら下がってる。
「中嶋かっ!?」
「なぜ、俺のリアルを!?」
「俺だよ、俺。
山本。同じゼミの。」
やってたのは聞いてたけど、会うとは思わなかった。
「山本か、久しぶりだなオイ。」
本当に久しぶりだな。
お前が講義に出てこないから。
「今の俺はユウな。」
「ユウか。
偶然にも俺の探し人と同じ名前だっただけか。」
正確には、偶然にも探し人と同じ人物だったわけだよ。
「まぁいいや。
なんでまた召喚士を探してるんだ?」
「ん?
単純に興味。
何して転生条件を解除したのか知りたいだけ。」
「そか。
ところでさ、積もる話もあるし
どっか2人でゆっくり話せる所はあるか?」
2人だけでな。
「あ~、だったらうちのハウスに来るか?
それなりにデカイし、俺の個室もあるぞ。」
個室があるのは助かる。
黒装騎士団のギルドハウスまで2人で行く。
「ここだ。
うちはギルメン以外も入れる仕様だから
出入りは自由だ。」
「邪魔するよ。」
ギルマスに直々に案内され
中嶋、じゃなかったジーマの個室に入る。
「ゲームじゃなけりゃ、
茶の1つも出すのが礼儀というものなんだろうが
生憎とそこまでは出来んからな。」
「いや、気にしてないから別に良い。」
「で?」
「で?とは?」
「積もる話があるのは嘘じゃないんだろうが、
本題がそっちというわけでもないんだろう?」
「いや、久しぶりに会った友人の近況を聞きたかったんだが・・・
それに。」
「それに?」
「お前、どう考えても休みすぎだろ。
一応聞くけど、泉谷教授の試験内容変わったの知ってたか?
今年はレポート提出すりゃ試験合格できるんだぞ?
最初の提出期限は明後日の18時までだ。」
「嘘っ!?」
「嘘じゃねぇよ。
ゲームすんなとは言わねぇけどよ、大学には来い。
明日大学に来るんなら、俺のレポート貸してやるから。
丸写しは兎も角、ちょいちょい変えるだけなら
ギリ間に合うだろ?」
「マジ?助かった。
いや、助かる。
親が死んでも大学行くわ。」
「いや、親が死んだら流石にそれどころじゃないだろ・・・」
「じゃあ・・・そうだな。
お前、うちのギルドに入らないか?
アイテムとか、PTとか、色々融通効くぞ。」
「ありがたいが、ギルドにゃもう入ってる。」
「そうか。」
「ま、そっちはついでみたいなもんだ。
本題だがな。」
「おう。」
リアルの事情がついでと言われて
ジーマが身構える。
「お前の探し人は俺で合ってるよ。
俺が召喚士のユウだ。」
「やっぱりな。」
おりょ?
以前から名前だけは出ていた 中嶋 が登場。




