風なら空気を読め
おかしい。
風の魔将が倒れたのに【戒めの風】が解けない。
「ライプロッド、お前を倒したんだから
これを解いてくれ。」
『・・・』
返事がない。
ついでに解けない。
「ふむ。
そうか、なるほど。」
ドクターが独言を言い始めたと思ったら
「今のこの身は破医者。
いかなる状態異常をも破る医者である。」
ドクターだけ解放された。
え、ドクターも人外!?
「え、なにそれ?
ドクターも人外の仲間入り!?」
「失礼なことを言うでない。
”行動不能”という状態異常を回復させただけである。
【囚虫治療】。」
ドクターのスキルで1人ずつ解放されていく。
最後に俺が解放されたところで
恒例にように影から風霊が抜け出る。
「召喚士、かまわんのなら
少しだけ待ってくれんか。」
「風霊、ちょいストッ。
ストップ、ストップ、ストォォップ!」
破壊僧が起き上がり、魔将を庇うようにして止めようとしたので
ふよふよ魔将に近づく風霊に止まるよう指示する。
勝手に出てくるし、止まると思わなかったけど、
一応は止めれるんだ。
「ライプロッドよ、良き勝負であった。
ヌシの名は誰が忘れようと、
ワシだけは覚えておこう。」
倒した魔将の手を握り、健闘を称え
破壊僧が誓う。
『はんっ。
余裕で勝てると思った虫螻に
タイマン張って負けた最低な気分のまま、
怨みながら封印されてやろうと思ったが
そんな事を言われると、
気分が台無しじゃねぇか。』
意識が戻った魔将が
破壊僧に応える。
『一柱とは言え九魔将を1人で倒した男なんざ、
テメェが最初で最後だろうよ。
我を倒した事を誇れ、蟲人のセトよ。
あぁ、最高で最低な気分だ。
叶うなら、もうちょいテメェと殴り合いがしたかったぜ。
最初で最後の我が強敵よ・・・』
そのセリフを最後に、ライプロッドと風霊が消える。
「ライプロッドォォォッ!!」
そんな葬式のようにしんみりした雰囲気の中
破壊僧の声だけが響く空間に
一羽の雀が俺の頭上に舞い降りた。
『ぬし、ぬし。
よろしく、よろしく。
あたし、あたし。
風霊獣、風霊獣。』
雀は俺の頭上で自己紹介しながら踊り始めた。
「(よろしくな。
後で名前付けてやるから
とりあえず、今は暫く黙っててくれ。)」
『名前、名前。
付けて、付けて。
了解、了解。
あたし、あたし。
しばらく、しばらく。
黙る、黙る。』
頼むから今は空気読んで黙っててくれ。
あと、頭の上で踊るのも止めてくれ。
物理的な意味で頭痛がしてきた。




