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こうして名前が広がった

霊獣になった雷霊は、帯電する黄色いハリネズミだった。

黄色い電気ネズミだったら、色々とマズいんだろうが

黄色い電気ハリネズミだったから、ギリギリセーフかな?


「召喚士、覚えとき。

ギリギリセーフは8割アウトや。」


「なぜ、考えてることにツッコめる!?」


「口からダダ漏れや。」


「また漏れてたのか・・・

まぁ、いい。」


「いや、良くないやろ・・・」


「お前の名は、これからライカだ。

雷の様に一瞬だけ咲く鮮烈な華。

いいか?」


『よかろう。

妾の名はこれよりライカ。

しかと承ったぞ。』


「言うてて恥ずかしないんか、その説明。

ちゅうか、無視りなや。」


雷霊獣に名を付けた途端、大きな音が響き渡った。

例えるなら、デパートに響く迷子のお知らせ。


ピンポンパンポ~ン!!


『運営よりプレイヤーの皆様に通達いたします。

召喚士”ユウ” の働きにより、条件が解除されました。

これより、Lv100以上のプレイヤーに限り

一部の方々を除いて、他種族に転生できるようになります。

詳しくは、お近くの冒険者協会内のNPC ”転生係員” にお聞きください。

以上、運営よりプレイヤーの皆様へ通達でした。』


ピンポンパンポ~ン!!


運営からのアナウンスの中に、俺の名前が聞こえた気もするが

これも幻聴だろう。

たぶん、いや

きっとそうに違いない。


「・・・召喚士、君は一体何をしたのかね?」


「幻聴じゃなかったぁぁぁぁっ!!」


ドクターからの問で、幻聴じゃなかったことが判明した。

うぅ、明日からログインできない・・・


「あしにゃ、召喚士がこの子に

名前をつけただけに見えたんやけどなぁ。」


錠前屋がハリネズミ・・・じゃなかった。

ライカを赤子のように抱きかかえて援護してくれた。

そう。

俺は名前を付けただけ。

今までの例から、霊獣になったら名前を欲しがるのが

目に見えていたので。


「名前を付けただけでは、納得できんがのぅ。」


「とは言っても、それ以外に

何かをしたように思えないのも事実。」


「ひょっとしたら、あの子達に名前を付けるところまでが

魔将の封印とか、召喚獣のパワーアップとか

そういうのに関係してるんじゃないかしら?」


「あぁ、ありえますねぇ。

たしか、アーシィ殿も名前を付けてもらえば

パワーアップすると申しておりましたし。」


皆、自分が名前をアナウンスされなかったからって好き勝手に言ってくれる。

結構恥ずいんだぞ。


「予言者。

未来の我輩の日記には、この事は書かれていたのかね?」


「書かれていない。

前回は起きなかったのか、

それとも敢えて書かなかったのか、

貴方ではない私には判断できない。」


「ふむ。

(吾輩の性格を考えると、書いておいても良さそうなものだが

書いていないとなると、起きなかった可能性の方が高いな。)」


預言者の答えで何か思うところがあったのか

一人で思考の海へダイブして、ドクターは考え込んだ。


「そういえば、今日はこれからどうしますか?

余力があれば他にも挑戦する予定でしたよね。」


「できればパスしたい。

今日は表を歩きたくない・・・」


仕立屋がそんな事を呑気に聞いてくるが

俺はそんな気になれない。

シュウとゴート山賊団と、他少数くらいしか

俺を特定できるメンバーは居ないけど

シュウの性格上、面白がって絡んできそうだし

ゴート山賊団も勝手に盛り上がってそうな気がする。

そこに俺が出ていけば、火に油どころか

ガソリンをぶちまけた挙句、ニトロを放り込む様なもんだろうし。


「しゃあないなぁ。」


レブジードには悪いが、

本気で75日位インするの止めてやろうか。


「ほんだら、ほとぼりが冷めるまでは、

あしが召喚士を目的地まで送り迎えしちゃろうかね。」


「へ?」


「あしゃ、この錠前屋っちゅうジョブをシーフ系ジョブの最高峰の1つやと思うとる。

何も、罠を仕掛けたり外したりするだけがシーフやないわ。」


「どういう意味かね?」


「目立たず移動するのもシーフの専売特許や、っちゅうことや。」


赤い鍵をいつものように短剣のように突き出し

何もない空間に出来た扉を開けた。


「あしのスキル、【記憶扉エブリウェア】。

あしがいっぺんでも行ったことがある所へ

あしが扉を閉めるまで誰でも移動できるスキルや。

まぁ、移動できる場所には制限があるけどな。

これを使つこうたら、次のダンジョンの前まで一直線や。

ついでに今開いとるのは、ギルドホーム用や。」


「便利ですねぇ。

なんで、今まで使わなかったんですか?」


鍵に着いたリングに指をかけて、人差し指でクルクル回しながら

仕立屋の疑問に錠前屋がめんどくさそうに答える。


「言うたやろ。

このスキルには制限があるんや。

ギルドホームも、ついこないだ条件を満たしたばっかやしな。

あしが行ったことがある場所であることが絶対条件やけど

移動先に登録できる場所は9ヶ所までとか、

登録した場所に最低3時間は居らなあかんとか、

登録した場所やないと鍵が作れんとか、

ダンジョン前はOKやけど、ダンジョン内はNGやとかな。

移動するのに楽になるかと思うて、最初の亀ぇシバいた後に他所の国もまわって

封印されてた所を探してみたんやけど、

1人じゃ探せんかったわ。

あれぇ、探し出すにゃ唯一職が何人か必要なんちゃうか。」


たしかに3時間はめんどくさいな。

今度、どっかに登録しに行くんなら

誰か霊獣を貸してやろうかな。

ま、今貸せるのはアーシィかライカのどっちかだけど。


「ところで、お前が思うシーフの最高峰って

他にどんなのがあるんだ?」


「決まっとるやろ。

暗殺特化の”仕事人”と

罠特化の”仕掛人”や。」


「アウトォッ!!」

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