こうして愚痴を零された
「せっかく予言者に教えてもらったのに、
うっかり失敗した挙句
入院からリアル廃人コースってのは流石に避けたいし、
やれるんなら安全にイージーモードでやるか。」
ということで、次の攻略対象は
紫の国イテシに封印されている ”雷” に決まった。
幸いというか、ドクターの喫茶店は定休日だし、
俺も錠前屋も明日は講義がない。
他のメンバーも時間に融通が効くというので、決行は明日の午後1時。
可能ならその足で ”赤の国の火” か ”緑の国の風” も攻略する。
”雷” が終わった段階での体力、気力、MP、あと根性等、
本当に可能なら、だけど。
一通りの方針は決まったので、一度ログアウトし
攻略サイトでイテシについて調べてみる。
† 紫の国イテシ。
キャラクターメイキングでの質問で ”紫” を選んだプレイヤーの
殆どが最初に転送される国で首都はプラパ。
(一部例外があるため検証中)
紫を選んだプレイヤーがドラグノイドとなること、
NPCもドラグノイドが多いことから竜人の国とされるが
MAP的な意味で規模が小さすぎるため『竜人の里』、
あるいは単に『紫』などと呼ばれる。
プラパも他の首都と同じく、隣接MAPはLv1桁のモンスターの巣窟だが
その次の隣接MAPは竜の棲むイタルダ山であり、
ここを突破するにはLv300相当の腕とPTが要求される。
イタルダ山は竜系しか沸かず、此処に住むモンスターは
プレイヤーには容赦なく襲いかかるのに、他の竜が侵入しても対決することはなく、
集団でプレイヤーに襲いかかった後、何事もなかったかの様に
自分達が来た方向に帰っていく。
縄張り意識が強いのか弱いのか、はっきり言って謎である。
『竜騎士』、『竜騎兵』、『竜装者』
の転職クエストを受けたプレイヤーが居ることが多いので
クエストの邪魔にならないよう心がけたほうがよい。
(ソロで戦士職っぽかったら、大体そう)
未実装だが、竜系の調教師ジョブが実装されたら、多分混み出す狩場。
へぇ・・・
他の国はどんなんだろ?
† 赤の国ギキセ。
キャラクターメイキングでの質問で ”赤” を選んだプレイヤーの
殆どが最初に転送される国で首都はトレッカース。
(一部例外があるため検証中)
赤を選んだプレイヤーがヒューマンとなること、
NPCもヒューマンが多いことから人の国とされ、
冒険者協会本部が置かれる。
通称『赤』。
ヒューマンが割合として多い、というだけで
実際は他の種族も店を構えているため
混合都市のようなもの。
トレッカースは、隣接MAPはLv1桁のモンスターが多く
その隣接MAPも高くてLv30代なので、初心者が集まりやすい。
普通にプレイして、徐々に強くしていきたい場合、間違いなくお世話になる街。
そうじゃなくても、集まる人数が桁違いに多いので、PT組む場合にもお世話になる街。
トレッカース近所のモスノ山脈周辺はモンスターだけではなく
公認PKギルド『ゴート山賊団』のギルメンが出現するので要注意。
† 橙の国レダイ。
キャラクターメイキングでの質問で ”橙” を選んだプレイヤーの
殆どが最初に転送される国で首都はジレオン。
(一部例外があるため検証中)
橙を選んだプレイヤーがビースターとなること、
NPCもビースターが多いことから獣人の国とされる。
通称『オレンジ』。
ジレオンもトレッカースと同じく、隣接MAPはLv1桁のモンスターが多いが、
こっちは獣中心。
Lv1~5はトレッカース周辺で、比較的慣れ始めたLv5~10でジレオン周辺がセオリー。
(ジレオン周辺の方が、トレッカース周辺より、やや素早い。)
† 黄の国チウコ。
キャラクターメイキングでの質問で ”黄” を選んだプレイヤーの
殆どが最初に転送される国で首都はサロイエン。
(一部例外があるため検証中)
黄を選んだプレイヤーがバードマンとなること、
NPCもバードマンが多いことから鳥人の国とされる。
通称『黄』、もしくは『木』。
バードマンが多いので、鳥と掛けているのか
店や民家が巨木の枝先にあったりする。
だいたい3階~7階位の高さにあったりする上、
移動手段は ”飛ぶ” か ”ハシゴ” だけなので、
高所恐怖症の気があるプレイヤーは要注意。
サロイエンも隣接MAPはLv1桁のモンスターが多く
ここは鳥系メイン。
速いだけの紙装甲なので、当てられれば初心者でも何とかできるレベル。
最初から此処で狩るより、トレッカースやジレオン周辺で慣れてからの方がベター。
† 緑の国クリョンシ。
キャラクターメイキングでの質問で ”緑” を選んだプレイヤーの
殆どが最初に転送される国で首都はメルドラエ。
(一部例外があるため検証中)
緑を選んだプレイヤーがフォレスターとなること、
NPCもフォレスターが多いことからエルフの国とされ、
通称『緑』。
サロイエン同様、木と共に生活しているようだが
こっちは家や店が木の中。
移動手段は ”ハシゴ” だけなので、これまた高所恐怖症なら行かない方が良い。
メルドラエの隣接MAPもLv1桁のモンスターが多く
ここの場合は葉獣がメイン。
状態異常(低下系)にしてくる。
† 青の国レダイ。
キャラクターメイキングでの質問で ”青” を選んだプレイヤーの
殆どが最初に転送される国で首都はウラブ。
(一部例外があるため検証中)
青を選んだプレイヤーがアイアナーとなること、
NPCもアイアナーが多いことからドワーフの国とされる。
通称『青』。
やはり隣接MAPはLv1桁のゴブリンが多い。
対人戦気分を味わいたければここで頑張れ。
青の国かぁ。
レブジードは今頃何してるんだろ?
封印されてりゃ、やっぱ暇なんだろうなぁ。
今度、機会があれば遊びに行こうかな・・・
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その青の国に封印されている魔将は
愚痴を零されていた。
「っとに、あの国の奴らは~!!」
『いつでも歓迎する、とは言いましたが、
愚痴に来られるのは迷惑なのですが・・・』
青の国に隠されているダンジョン。
その最奥には1組の男女が居た。
男の肩書きは魔将。
ハルゼルトに於けるボス級モンスターの1体。
どっかりと胡座をかいて座り込んでいる女の肩書きは錠前屋。
ハルゼルトに1人しか居ない、錠の申し子。
『そもそも、小生には
”あの国” が意味するものが分からないのですよ。
ビースター同士でも ”あの国” などと言って嫌い合う。
インセクターやヘリアーズなどの様に、違う種族どうしで嫌い合うのなら
理解できるのですが。』
「まぁ、アンタに言うてもしゃあないことやろうけど
アシらは基本的に日本語っちゅう言語で話しとる。
”あの国” の奴らは、片言で話すから
判別できんこたないんやけど
約束を平気で反故にしよるから、腹が立つんや!!
”あの国” の奴らが全員が全員、そうやとは言わんけど・・・」
『それは何度も聞きましたし、貴女の言い分も飽きるほど聞きました。
払う、払わないという契約は口約束で交わすべきではないでしょう?』
「例え口約束でも、払うっちゅうたら払うんが仁義っちゅうもんや。」
『小生らも口約束であれ、守るだけの仁義はもちわせてはおりますが
相手はその仁義というものがないのでしょう。
まぁ、知らないのかもしれませんが。』
男は淡々と女に返答をする。
「んなわけあらへんわ。
二千年以上も前に、あの国のお偉い学者先生が説いとるし。」
『ならば、その国の住人は忘れているのでしょう。
忘れていることならば、大して重要ではない。
そういうことではありませんか。』
「孔子先生も、頑張って学問にしたのに
無駄やったっちゅうわけやなぁ・・・」
高校時代の漢文の授業を思い出しつつも、
世界史で習った内容を思いだし
呆れて出た声がそれだった。
『子牛先生ですか。
一体、その先生はどのような学問にしたのでしょうか?』
魔将は頭の中で小柄な牛獣人が
教鞭を振るうシーンを思い浮かべながら尋ねた。
「まぁ、平たく言や道徳やな。」
『道徳というと、倫理やモラルのことですかな?』
「せや。
人として、当たり前にもっとる・・・
言うてまえば心や。」
右拳で自分の左胸をドンと叩く。
『そのような学問があったとは・・・
実に興味深い!!』
「何がや?」
今までのやり取りで疑問に思う事があったのだろうか?
錠前屋は本気でそう思った。
『人として当たり前の心。
それを態々(わざわざ)、学習しなければならない種族がいたのですぞ。
我々悪魔ですら、思いやりの心を持つというのに。』
「そうなん?」
悪魔と言えば、冷酷非道であり、
思いやりと言えば、どちらかというと天使のイメージだというのが
錠前屋の持つイメージだ。
錠前屋じゃなくとも、10人に聞けば10人がそう答えるだろうし
たとえ、1万人に聞いたとしても結果は同じだろう。
聞いた中に悪魔崇拝主義者でも居れば話は別だが、
そうでもなければ、悪魔と思いやりという言葉は結びつかない。
そう思って、「そうなのか?」と問うて返ってきた返答は
どこか納得出来るような、それでいて納得できないような
釈然としない微妙なモノだった。
『小生ら、悪魔と呼ばれる存在は
人間が大好きなのですよ。
人間が好き過ぎて、余計な世話まで焼き
人間はそれに甘んじて、やる気をなくしてしまう。
それが人間の言う堕落というものです。
悪魔が契約を交わすのは、堕落させるためではなく
堕落させないように制限をかけているのです。
本当は契約を交わした者に成長して欲しいのですよ。
あぁ、これだから人間観察は止められない!!』
レブジードは天啓を得たと言わんばかりに大きく天井を見上げた。
「まぁ、獣は道徳なんぞ勉強せんわな。」
『いい暇つぶしになりそうです。
感謝しますぞ、錠前屋殿。』
一方、感謝された錠前屋はと言うと、
「アンタに感謝される筋合いはないけど
愚痴っとったらアシも気ぃ晴れたし、今日は帰るわ。」
気は晴れたが、複雑な心境で錠前屋はレブジードと別れた。
私個人としては、”あの国”と ”キリスト教” は同じくらい嫌いです。
もっとも、私は ”キリスト教” が宗教として嫌いというだけで
旧約聖書=おとぎ話、神話
新約聖書=詩集 なので、文学として読むのなら楽しめますが。
”あの国” に関しても、文学、思想、学問としては好きな方ですが
道徳観念が嫌いなだけです。
本当に、他に無いと思いますよ。
道徳を学問にしなきゃならない程、モラルが無かった国って。
しかも、その学問を学んでるのか忘れてるのか
他国に良い土地があれば自国の領土だと言い張る厚顔無恥っぷり。
最近、機会があって十数年振りに世界史の教科書読んで、
戦争以外で”あの国”の名前が出なかった気もしましたが
気のせいじゃなかったと再確認。
昔のヤクザ屋さんだって、「お天道様の目は欺けぬ」って言って
道理は弁えてらっしゃいましたし。
本当に、なんで”あの国”が国連で常任理事国やってるんだろ・・・?




