こうして禿げると予言された
亀野郎に続いて王様スライムを倒した翌日。
いつもより早い時間にインし、
犀と甲虫を呼び出す。
「お前らって、魔将とか呼ばれる奴らを倒したらパワーアップしただろ?
他の召喚獣が、どの魔将を倒せばいいか分かるか?」
『・・・』
『ご主人、残念ながらあっしは知りやせん。
鋼の御仁も知らないと言っておりやす。
お力になれず、申し訳ありやせん。
あっしなんて、所詮はちょっと頑丈なだけの役立たず。
使い捨ての盾になるのがお似合いってもんでさぁ・・・』
う~ん、アーシィは礼儀正しいと思うんだけど
かなりネガティブなのが欠点だな。
「いや、知らないなら知らないでも問題ない。
知ってたらラッキーくらいだったし。」
じゃあ、もう一つ。
「お前らが融合した時って、どっちの人格が主体なんだ?」
『どっちが主体ってのはありやせん。
強いて言うなら、どちらも違うですかね。
融合ってのはあっしらとは別の召喚獣を呼び出すんでさぁ。
複数の召喚獣を基に召喚獣を作り直す、と言った方が正しいと思いやす。』
つまり、某王様決闘者やどこぞの覇王が使う『融合』と同じ感覚なのか・・・
『だもんで、火の旦那と水のお嬢では
組成自体に相性が悪いんで融合できないんでさぁ。
例えば、あっしだったら地中で育つ鋼の御仁とは相性が良いんですが、
あっしの力を取り込んでしまう樹のお嬢、あっしが力を吸っちまう雷のお嬢とは
相性が良いとは言えません。』
『・・・』
『鋼の御仁だったら、鋼で傷つけちまう樹のお嬢、鋼を侵す水のお嬢とは相性が悪く
熱や電気みたいなエネルギーを貯められる火の旦那、雷のお嬢とは相性が良い。
そう言っておりやす。』
お前ら、ポ○モンかよ・・・
弱点が、ちょい違うけど。
「じゃ、光精と闇精は?
あいつら、正反対だろ?
相性悪くね?」
『光と闇のお嬢は双子だから、あっしらの中では例外なんでさぁ。
光があるから闇が存在し、闇があるからこそ光が目立つ。
ですんで、あのお嬢たちは、お嬢たちでしか融合できやせん。
光と闇のお嬢は、あっしらとは融合できやせん。』
「最後の質問だ。
お前らは次にどの召喚獣をパワーアップさせるべきだと考える?」
『そいつは難しい質問ですぜ。
あっしらを強化するのを目的とするか、
あっしらが苦手とする分野をカバーするか、
そこで違ってきまさぁ。
あっしは兎も角、鋼の御仁を強化するなら火か雷。
弱点をカバーするなら、あっしらは水に弱いので樹か雷でしょうな。
両方に共通するのは雷ですが、
オールマイティな光や闇のお嬢を先にするのも1つですぜ。』
「OK。大体わかった。」
『参考になったかどうか分かりやせんが、
お役に立てたなら何よりです。』
『・・・チャオ』
2体と別れ、もとい召喚解除し
ギルドホームに入る。
目当ての人物は・・・
居た。
「錠前屋、悪いがちょい付き合ってくれないか?」
「えぇけど、どこに行くがぜ?
あんまし無茶なトコは行くがも嫌ぜ?」
「たぶん、無茶な所じゃない・・・よな?
レブジードの所。」
「は?」
「知りたいことが出来てな。
召喚獣に聞ければ良かったんだが、どうやら知らないらしい。
知ってるヤツがレブジードしか思いつかん。」
「いや、やけん言うてレブジードのトコって・・・
あんたが何ぃ知りたいと思うたのか知らんけど
あのエセリーマンは自分のミスの代金を情報で払うただけなわけやんか。
あんたがノコノコ質問しに行った所で、答えてくれるとは思えんし
むしろ答えんどころか聞いてもらえんて考える方が自然やろ。
なんぼデスゲームやない言うても、わざわざ死にに行くようなもんや。
やけん、あしは反対や。」
錠前屋には反対されたが、
援護射撃は思いかけないところから来た。
「お姉さんは召喚士ちゃんに賛成よ。
あの人、自分が知りたいからって言ってたけど
自分だけが知ってたら満足っていうタイプじゃなくて、
相手が知らないから自分に聞きに来たってトコロに優越感を覚えるタイプよ。
言い換えると、誰かに教えたいから知りたい。
そういうタイプの人よ。
そうじゃなければ、教える必要もないもの。」
「あしには分からんがやけど、そういうもんながかねぇ。」
「お姉さんのこういう勘はよく当たるのよ。
それにね、多少無理なお願いを聞いてあげるのも、いい女の条件よ。
本当に無理なら聞いてあげなくてもいいけどね。」
「むぅ・・・ゆかりん姉さんが
そう言うがやったら、行こかね。
召喚士、準備しぃや。」
「召喚士ちゃんのお願いを聞いてあげるユカリちゃん。
健気ねぇ。
召喚士ちゃんも、きっとユカリちゃんにメロメロよぉ。」
「姉さん、からかうがやったら流石に怒るぜ?」
「あら、からかってなんかいないわよ。
むしろ応援したいくらい。
同じ学校に通ってるクラスメートが、
この世界に1人しかいないオンリージョブ仲間。
しかも、異性。
萌えるわぁ。」
初見では面倒見の良い明るい姐御かと思ってたが、
編集者も破壊僧とは違う意味で価値観を改める必要があるかもしれん。
とりあえず、同じ大学で同学年までは認めるが
同じ講義を受講してるのは、果たしてクラスメートというのだろうか?
同じゼミっていうんなら、まだ分かるが・・・
「姉さん、大概にしてや?
あしゃ、あんまし怒りとうないがね。」
「はいはい。
それじゃ、お姉さんも行くとしましょうか。」
「何処へ?」
「折角だし2人の付き添いよ?
会話の成り立つボスなんて珍しいんですもの。
色々聞いてみたいわぁ。」
「いや、折角って。
そういう問題じゃない気がするんだが?」
「あらぁ、だって取材旅行に行かない代わりに
ここの課金料金を経費で落とせるようにしてるんですもの。
滅多にないチャンスは見逃さないようにしないと。
それに、昔から言うじゃない?
チャンスの神様の後頭部は、
髪どころか皮膚までズル剥けて骨が見えてて血が止まらないって。
掴めたら、正に出血大サービスよね。」
「どんなスプラッタだよ、それ!?
つか、怖くて掴めんわ!!」
出血大サービスでも、掴みたくない物は掴みたくない。
呪われそうだし。
とりあえず、そんな神様を見た日にゃ
泣く子は号泣確定だろうし、
泣いてない子には心理障害モンだ。
恐怖で。
「召喚士ちゃん、興奮しないの。
そんなに興奮すると近いうちに
室内で脱がなくても失礼にならない素敵な毛帽子のお世話になるわよ。」
「アンタのせいでしょうが!!
っていうか、それって遠まわしに禿げるっていってるんだよね!?」
「あら、分かった?」
「分からいでか!!」
「召喚士、姉さん。
漫才はそこまでにして
行くんやったら早ぅ行こうや。」




