こうして名前をつけた
俺たち10人を背に乗せ、ノッシノッシと土霊獣が入口まで戻る。
走るよりは遅いが、歩くよりは速い程度のスピードだし
乗り心地も、土霊獣が言うほど悪くはない。
『ここが出口のようです。』
「お疲れ。」
「ありがとな。」
ギルメンにも、概ね好評だ。
『ところで、ご主人。
つきましては、アッシから1つだけお願いがあるんですが。』
「どうした?」
『へい、名前を賜りたいんでさぁ。
いや、名前が無くてもいいんでやすが、
名前があると、少しだけですが強くなれるらしいでんさぁ。』
「え?そうなの?」
『飽くまでも、風や光のお嬢から聞きかじっただけの
”らしい”ってだけの話しなんですがね。
すいやせん、勉強不足で。』
「いや、全然OK。
俺も気づかなくてスマン。」
「どうしたがぜ?」
「土霊獣が名前欲しいって。」
あと、風霊と光霊は女性らしい。
そもそも、性別があるとも思ってなかった。
「名前なぁ。
あって困るもんちゃうし、えぇ名前付けたらなあかんぜ。」
『ご主人に付けていただく以上、
どんな名前でも、いいですが
流石に”ピー野郎”とか、”ドキュゥン”はやめてくだせぇ。』
心配するな。
ネーミングセンスは無い方だが、
放送禁止用語を名前にするほどのチャレンジャー精神は
持ち合わせ自体が無い。
それにしても、土なぁ・・・
ノームとはイメージが違うし、
どうせなら、その巨体に相応しい
もっと雄々しい名前にしてやりたい。
大地とかグランドは直球すぎるしな。
おぉ、そうだ。
「アーシィ。お前の名はアーシィだ。」
『アーシィ・・・
まさか、アッシが自分のことをアッシと言ってるからじゃあないでしょうね?』
「いや、違うって。」
手を振って否定する。
変に念押しするな。
まぁ、半分は当たってるけど。
「本来の俺たちが住む惑星をアースって言うんだ。
そこから取って、アーシィ。
不満か?」
『滅相もない。
良き名を賜りやした。では、ご主人。
アッシは今日のところは、これで失礼させていただきやす。』
そう言うと、土霊獣がノソノソと俺の影に溶け込み姿を消す。
自分の意思で勝手に消えることも出来るのか。
便利なのか、不便なのか、よく分からんな。
意思疎通が出来るようになったのは、便利な方だろう。
「地球から取って、アーシィかえ。
まぁ、あんたにしちゃえぇ名前付けちゃったな。」
「俺にしちゃ、で悪かったな。
いっつもいっつも、口を開けば馬鹿にして。」
大学でばったり知り合って以来
こういう軽口をたたけるようになってる気がする。
ま、恋愛感情は無いが。
関係としては修と大して差はない。
「阿呆、褒めとんのや。
だいたい、あしゃ阿呆にはしちょるが馬鹿にはしちょらん。
阿呆の方が馬鹿よりマシじゃ。
馬鹿は死なにゃ治らんが、阿呆は死なんでも治る。
ホントにあんたは、いっつもかっつも。」
「痴話喧嘩はそこまでにしておけ、2人とも。」
「「痴話喧嘩って言うな!!」」
「夫婦並の呼吸の合い方じゃな。
仲良きことは良き事ぞ。
ガハハハハハ!!」
ドクターストップが掛かって
2人で同時に同じことを口走り、
破戒僧にからかわれた。
「ゴホン。
では、次の行き先だが
次はアイアナーの国チュイセウか
ドラグノイドの国イシテのどちらかに行こうと思っておる。」
ドクターの声に、否が応でも全員の緊張感が高まる。
「ただ、残った悪魔が今回の悪魔と同様の強さであれば
苦戦を強いられるであろう。
したがって、次のクエストは1週間後とする。
その間、できるだけレベルを上げて欲しい。」
皆、一様に頷く。
「何、そう固くなるな。
もっと気楽にやれば良い。
あぁ、召喚士はそうもいかんかも知れぬな。」
なんで、俺だけ名指しなんだよ!?
「今回のように、
召喚獣に名を付けてほしいと頼まれるやもしれぬ。
良き名を考えてやるとよい。
では、本日は解散。」
パンとドクターが両手を叩き、今日は解散となった。
確かに、言われてみれば土霊獣だけ
名前を付けてやるのは不公平だな。
出産前に名前を決める親ってのは、こんな気分なんだろう。
男女どちらでもイイように、両方の名前を考えとくか。
関西人が、軽口で馬鹿とは言わず阿呆と言うのは
馬鹿=死なないと治らない。間接的に死ねと言っているのと同じなので失礼になる。
阿呆=死ななくてもOK。失礼にはならない。
だからだそうです。




