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こうしてクエストを受けた

ドクターにインして欲しいと頼まれた翌日。

修を置いて講義が終わると直帰して

ハルゼルトにインした。


行き先はギルドホーム。

浮かれすぎて忘れていたのだろうが、

何処に来い、とは言われなかったので

とりあえず、ホームに行けば分かるだろう。

そんな軽い気持ちだった。


「ちゃ~っす。」


「おぉ、召喚士。

待っておったぞ。」


ホームに入ると、既に何人かのメンバーが待機していた。


「では紹介するとしよう。

彼女が・・・」


「ちょぉ、待ってやドクター。

あしゃぁ、自己紹介ばあ自分でやりたいがよ。」


関西弁に近い謎の方言で

ドクターの言葉を遮ったのは

俺が知らないビースターの少女。

きっと、この娘が錠前屋だ。


「あんた、召喚士いうがかえ?

あしゃぁ、錠前屋をやりようユカリ。

あんたとは歳も近そうやし、よろしゅうな。」


当たり前だが、錠前屋だった。

どこの方言だろう?


「俺は召喚士のユウ。

こっちこそよろしく。」


とりあえず、軽く挨拶する。


「これで、残りは破壊僧と調律師だけだ。

2人が入り次第、メルドラエへと向かう。

先にパーティに入ってくれたまえ。」


言われるがままに、ドクターのパーティに入るが

パーティ招待をみてマジにビビった。


【パーティ申請/アス(898)  Yes  No】


目をこすって見直すが、そこに書かれた数値は変わっていない。

Lv898?


Yesでパーティに入ったあと、

思わず聞いてしまった。


「えっと、アスって誰?」


「なんであんたが知らんの?

アスいうたら予言者ちゃんやん。」


予言者?

あのお嬢ちゃん?

マジで?


「マジや。」


「知らなかったのか、召喚士。

彼女はピンクボムで最強だぞ。」


呆れたようにドクターも言ってくる。

知るわけないだろ。

俺がギルド入って何日目だと思ってやがる。

いや、このゲームを始めて何日目だと思ってやがる。

つか、最強はアンタかオッサンだと思ってたよ。


「ふむ、そういえば前回のギルドハンティングでは

編集者がリーダーを務めておったのだったな。

吾輩としたことが失念しておった。」


単に最初にインした、というだけで

パーティリーダーをしたのが編集者。

もっとも、寝落ちしてそのままインしっぱなしだったらしい。

ギルド内でパーティを作る場合、

最初にギルドホームに入ったメンバーが

リーダーをするのが

ピンクボムに於ける暗黙の掟その2らしい。


程なくして、調律師、破壊僧がホームに現れ

オンリージョブだけのパーティが結成された。


「では、メルドラエへと向かうとしよう。

皆、こちらへ。」


ドクターが仕切る。

ギルマスは伊達じゃない。

入口とは反対にある扉に集まる。


「この扉をくぐるとメルドラエである。

くぐったら待機しておいてくれ。」


まるで遠足か修学旅行の引率だな。

そう思うと、笑いが零れた。


「何が可笑しいがぜ?」


「いや、まるで遠足か修学旅行みたいだなって思って。」


「あ~、たしかに。」


「そこの2人、何を笑っておるのか知らんが

出発したまえ。

他の者が待っておる。」


そのドクターの言い方が面白くなって


「「は~い。くすくすくす。」」


俺とユカリは2人で笑いながら扉をくぐって

最後にくぐるであろうドクターを待った。


「では行くとしよう。

件のNPCはこちらだ。」


ドクターが引率する。


メルドラエはフォレスター、いわゆるエルフの国の首都だけあって

木に囲まれている。

むしろ、木が住宅になっている。


立てられたハシゴを昇り、木に空いた穴の1つに入る。


『おや、客人かい?』


フォレスターの老婆が話しかけてきた。


『お前さん達は普通の人じゃないね。

私みたいな老人には分かるもんさ。』


『お前さん達を見てると、昔話を思い出すねぇ。

折角だから聞いておゆき。』


『この婆の婆のそのまた婆の時代さね。

その頃は国なんてモンは無かったのさ。

フォレスターもインセクターもドラグノイドも。

もちろん、ビースター、アイアナー、バードマン、

スカイヤー、ヘリアーズはおろかヒューマンだって

国が無かった。

今みたいにモンスターなんてモノは

らなんだから、皆好き勝手に暮らしてたのさ。』


『そんな平和な時代に

魔皇の手先と名乗る9人の悪魔がやってきたのさ。』


『9人の悪魔はモンスターを産み出し、

この世を地獄に変えたのさ。』


『最初は皆びっくりしたさ。

戦いなんてしたこともない。

したって生きるための狩りだけ。

それが、いつの間にやらモンスターとの生存競争。』


『ところがねぇ。

ある日、天から1人の少年が降りてきて言ったのさ。

「心ある者よ、我とともに立つべし。」ってね。

その言葉に各種族から1人ずつ勇者が立ち上がったのさ。』


『天から降りてきた少年と、9人の勇者は

長い時間をかけて9人の悪魔と戦った。

そして、9人の悪魔を封印した。』


『悪魔を封印した後、封印が解かれることを恐れた少年が言ったのさ。

「何人も封印解くこと能わず。故にこれを守るべし。」ってね。

少年と共に戦った勇者はそれぞれが封印した悪魔が眠る地に赴き

その上に国を作ったのさ。』


『悪魔は封印されただけ。

だから、悪魔が封印された土地からモンスターは増える。

故に戦わねばならない。』


『婆の話はこれでお終い。

長話を聞くのは退屈じゃったろ?

フォッフォッフォ。』


老婆が話し終えると、


グラグラグラグラグラッ


グランドワームが起こしたものとは比べ物にならない

大きな地震が起きた。


そして、俺の目の前にウィンドウが開かれる。


【グランドクエスト:9人の悪魔】

9人の悪魔の封印が長き時を経て解かれてしまった。

仲間と共に悪魔を再び封印せよ。

(キャンセル不可能)


なんてこった。

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