事件3-4 目撃者
咄嗟に机に手をつき、身体を支える。頭が割れるような頭痛にを止めるため、デスクの引き出しを乱暴に開けると、瓶に詰められた錠剤を飲み込んだ。
「ちょっと!どうしたのよあんた!」
「栂野さん!もしかして…」
城ヶ崎は机から立ち上がり、黒澤は座ったまま目を見開いて驚いている。心配そうに俺を見つめ、水を差し出す星野に、俺はかろうじて首を縦に振る。
「どうされたんですか…?」
黒澤が弱々しく声を上げる。心配してくれているのだろうか。
「お化けの正体が分かった」
「「え!?」」
星野と城ヶ崎の声が重なる。黒澤も声は上げなくとも、目に見えて驚いている。
「じゃあ、やり直して…」
私はゆっくりと頷く。
「待って!ホントにどういうこと?やり直し?」
城ケ崎が頭を抱えている。もう、隠しても言い訳をしても無駄だろう。
頭痛が引いてくると、ゆっくりと顔を上げた。
「私には、セーブ能力がある」
静寂。刹那的に感じられるその空間で、城ケ崎と黒澤は頭上にハテナを浮かべている。
「座れ。ちゃんと説明する」
「つまり…、あんたはセーブ能力があって、さっきまで未来にいて、そこでお化けの正体を特定した…?」
「未来と言うと語弊が…。私が今こうしてお化けの正体を知った状態でやり直すと、今現時点の未来と先ほどまでの未来は異なってくる。だから、別世界線、それが一番しっくりくるな」
「ま、まあ、その程度で驚く私じゃないわ」
手に持った湯飲みからお茶が溢れんばかりに震えているが、それには触れないでやろう。
「ただ、今回の事件はかなり危ないものになる。警察に通報する前に、いろいろ証拠は掴みたいのだが…」
「待って!警察?何で警察沙汰になんのよ!」
「私も当初の想定よりスケールがデカくて混乱してるんだよ」
掃除用具入れから銃の整備用具が出てきたところからだいぶおかしくなってたが、巻き戻す直前のあの光景。ああなることは容易く想定できたはず。なのに、あんなことに…。私は探偵失格だ。
「なにしょぼんとしてんのよ。気持ち悪い」
「てめぇ!本気で悩んでんだぞ!?」
と、言いつつも、そんな軽口に救われている自分がいることを認めたくない。
「ここからは俺で何とかする」
「なんとかって、なにするのよ」
「夜の学校に忍び込む」
露骨に3人の表情が歪んだ。やめろ、変態ではない。
「栂野さん、少しくらい教えてくださいよ。何があったか」
星野の真剣な表情に背中を押される。
「…、わかった話す」
「…、ということだ。ついてくるとか言うなよ」
「わかった。私は唯と外から情報を仕入れる」
「ああ、頼む。星野は2人のサポートをしてやれ」
「え…、でも…」
私は事務所を飛び出した。




