事件2-2 爆弾
重いまぶたを開くと、眩しいと感じる光りが目を刺す。
「栂野さん、起きましたか?」
「ああ、ここは…」
私は辺りを見回す。私の直ぐ側には依頼者の男が体育座りをして頭を抱えている。名前は確か坂下だったか。その坂下の横にはまた別の男がうつぶせで寝ている。そして、どうやらここは私の事務所ではないらしい。打ちっぱなしコンクリートの壁と床。広さは8畳ほどであろうか。正方形の部屋の真ん中にはテーブルがあり、壁には扉とモニターが付いている。そして部屋の中央にある机の上には、なにやら箱型のタイマーか…?
「目覚めましたか」
モニターに光が灯り、液晶に画面をつけた男が現れる。
「坂下くん、いい仲間を持ったね。君の横に倒れてるのだよ」
坂下はハッとしたように顔を上げると、うつ伏せで寝ていた男を、仰向けに倒す。
「じゃ、Jack…」
「そいつが?」
私は仰向けになっているJackに駆け寄り、脈を測る。
「だめだ。死んでる」
私がそう言うと、画面の向こうのあいつが高笑いを始める。
「私に楯突いたからだよ。坂下くんが辞めるって逃げ出したの隠してたんだけどね。Jackくんは嘘が下手だったな〜。さて、坂下くん。まさか君が探偵なんかを頼るとは思っていなかったよ。だがちょうどいい。頭の良さそうな探偵と…、金髪の君は商婦かな…?」
「助手です!!!」
星野がモニターを睨見つける。
「では、探偵とその助手さん。そして坂下くん。ゲームをしようか。机を見て?タイマーが作動してるでしょう。アレは爆弾。Jackくんに爆弾部屋に入ったら爆弾を設置して、タイマーを作動させるように指示したんだ。で、設置してもらった後は用済みだから処分したってわけ。残り時間は30分かな?タイマーはもともと120分で設定してたんだけど、君たち起きるのが遅すぎだよ。爆弾を止めるタイマーと扉を開ける暗証番号は一緒だよ」
私は懐中時計でロードしようとしたが、ボタンを押す直前で思いとどまった。なぜなら、ここでロードしても坂下と坂下の妻は助からないからだ。いや、そもそもこんな面倒事に巻き込まれた事自体辟易するし、私を巻き込まないで欲しい。だが、一度話してしまった人間があまりにもひどい最期を送るのは、夢見が悪いだろ。死ぬならせめて俺が知らないところで死んでほしいが、もうこいつの死に方を知ってしまったら、放っておけない。私は、懐中時計のセーブボタンをゆっくりと押し込んだ。




