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第91話 彼女の読者 第2話 捜索

1.SNSの反応

その投稿は、瞬く間に拡散された。「続・彼女の計画」という煽り文句から、ネットでは「続彼女問題」などと呼ばれ始める。


《これ、やばくない? リアルすぎて怖い》

《モデルがいるって噂だけど、誰か特定した人いる?》

《非常階段の描写、あのビルじゃない?》

《これ、ただの暴露じゃん。小説の形してない》


特定班が動き始めた。非常階段の写真が投稿され、ビルの形状が一致すると騒がれる。会社名が特定されそうになる。コメント欄は、加速度的に過熱していく。


《投稿者、絶対に内部の人間だよ》

《でも、こんなに詳細に書けるの、全員の視点を覗ける立場の人しかいなくない?》

《合作なんじゃない?》


2. 登場人物たちの動揺


拓は、自分のアカウントが特定されることを恐れた。もし、この投稿のせいで、過去の裏アカウントがバレたら――今の仕事も、人間関係も、すべてを失うかもしれない。それ以上に、瞳がどう思うかが気になった。


瞳は、光莉との関係が壊れることを恐れた。娘はもう大人だ。でも、まだ知らなくていいこともある。それに、拓は何も言わない。ただ、時々、遠くを見るような目をするだけだ。その目が、何を考えているのか、瞳にはわからなかった。


康介は、自分の「監視行為」が露見することを恐れた。すべて知っていたのに何もしない選択をしたことを。――離婚した今では、言い訳のしようもない。


純は、自分が「観察者」だったことが、いつか誰かに知られるのではないかと恐れた。でも、それ以上に、この投稿を書いたのは自分ではないか、という疑念が頭をよぎる。いや、違う。自分はこんな書き方はしない。でも――


Eは、ただ怯えるだけだった。自分がメモを置いたことが、こんな形で暴かれるなんて。でも、あの時、メモを置かなければよかったのか? それとも、直接言うべきだったのか? 今さら、答えは出ない。


光莉は、AIに問い続けた。


「この投稿を書いたのは、誰?」

「情報不足です」

「この投稿は、事実か?」

「事実を基にしている確率は98.7%です。ただし、複数の視点が統合されているため、単一の真実を再構成することは不可能です。」


3. 読者たちの交錯


やがて、拓、瞳、康介、純、E、光莉は、それぞれのルートでこの投稿の存在を知り、それぞれの恐怖と疑念を抱えながらも、誰にも言えずにいた。


拓は瞳に言えなかった。この投稿を読んだことを伝えたら、あの頃のことがまた蘇る気がしたから。


瞳は拓に言えなかった。自分の心の内が暴かれることが、何より怖かったから。


康介は誰にも言えなかった。離婚した元妻と、その新しいパートナーに、今さら何を言えるというのか。


純は、ただ一人、この状況を俯瞰していた。彼女はすべてを知っている。拓と瞳の今の関係も、康介の孤独も、光莉の不安も。でも、それを誰かに伝えることはできなかった。


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