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第79話 核の窓 ―拓の内側― 第3話 核の成長

1. 演劇サークルという実験


・大学生


拓は演劇サークルに入った。


舞台に立つと、自分以外の誰かになれた。それは大きな解放だった。演じている間、拓は「比較」から完全に自由だった。誰かと比べられているわけではない。ただ、その役を生きているだけだ。


(核があれば、どんな自分にもなれる。それは自分を消すことではない。自分を保ったまま、別の何かになることだ)


脚本を書く時も同じだった。自分が言いたいことを、登場人物に言わせる。それで自分を守ってきた。でも、それでいいのか? いつか自分の言葉で、自分のことを書けるようになりたい――そう思った。


演劇サークルでの経験は、拓の「核」を大きく成長させた。核があればどんな自分にもなれる。それは自分を守ることだけじゃない。自分を広げることでもある。


この時、拓の「核」は、自分を守るための固い殻から、自分を広げるための柔らかい膜へと変容しつつあった。まだ完全ではない。でも、確かに成長していた。

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