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第65話 彼女の傍観者―もう一つの視線― 第11話 決断
すべてが終わった後、康介はある決断をした。
瞳に、真実を伝えよう。
「何を」の真実ではない。
「誰が」の真実でもない。
ただ、一つだけ。
「自分は見ていた」という、それだけの事実を。
彼はスマホを手に取った。
古い番号が、まだ残っている。
メッセージを打ち始める。
「すべて、見ていましたよ。」
「でも、私は何もしていません。ただ見ていただけです。」
「あなたの人生を、ずっと見ていました。何もできなかったけれど、見ていました。」
「それが、私にできる唯一のことだったから。」
「さようなら、瞳。永遠に、あなたを見ている。」
送信ボタンを押す。
メッセージは、闇の中に消えていった。




