64/113
第64話 彼女の傍観者―もう一つの視線― 第10話 自意識の檻
康介は、自分の部屋にこもりがちになった。
窓の外の景色を見ながら、彼は考える。
「俺は、全ての元凶なのか?」
答えは出ない。
でも、彼はその「わからなさ」に耐えられなかった。
人は、無力でいることに耐えられない。
何もできなかったと認めるより、自分が原因だったと思いたい。
それが、歪んだ自己救済だった。
「そうだ、俺が悪いんだ。俺が見ていたから、こんなことになったんだ。」
そう思うことで、彼は救われた。
無力な自分ではなく、原因を作った自分でいられる。その歪んだ自己救済が、彼をさらに深い闇へと導いていた。
「ただの元夫」ではなく、「全てを見ていた男」になることができる。
それは、彼自身を守るための、最後の砦だった。




