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第56話 彼女の傍観者―もう一つの視線― 第2話 もう一人の影
数週間が過ぎた頃、康介はある異変に気づいた。
そのアカウントには、決まって「いいね」を押す別のアカウントがあった。公開アカウントだから、「いいね」は誰の目にも見える。
アカウント名は 「observer_m」。アイコンは風景写真。投稿はほとんどない。でも、その「いいね」のタイミングが、あまりに規則的だった。
特に、匿名の主が「弱音」を綴った投稿には、必ずといっていいほど反応していた。
「これは……誰だ? この人に執着している?」
康介はそのアカウントをしばらく観察した。
プロフィールにはこう書かれていた。
「観察すること。それが私の生き方です。」
康介の背筋に、冷たいものが走った。
「観察者……」
彼はその言葉に、強く惹かれた。同時に、恐ろしくもあった。
なぜなら、自分もまた——この匿名の主を「観察」しているからだ。




