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第50話 彼女の均衡 ―抗う者たち― 第2話 蠢き
前回のお話、お読みいただきありがとうございます。まだまだ、話は展開していきます。
拓が裏アカウントを始めたのは、社会人三年目のことだった。
最初はただの性癖の発散。
誰にも見られない場所で、自分の好きなことを書く。それだけだった。
でも、ある日気づいた。
「いいね」がついている。
誰かが見ている。
誰かが、俺の言葉を読んでいる。
その「誰か」が誰なのか、拓にはわからない。
でも、その事実だけで、自分がここにいることを確認できた。
表の世界では、みんな仮面をかぶっている。
本音を隠し、建前で会話し、傷つかないように距離を取る。
でも、裏アカには、蠢く人々がいた。
剥き出しの欲望。
飾らない本音。
制御できない感情。
拓は、そこからエネルギーをもらった。
表の世界で踏ん張るための、エネルギーを。
※『彼女の計画_外伝』影たちの物語をお読み頂くとより作品の深みを味わうことができます。




