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第48話 彼女の選択 第5話 エピローグ ― 視線の先に

前回のお話、お読みいただきありがとうございます。まだまだ、話は展開していきます。

それから、さらに半年が過ぎた。


拓の二作目は、予想以上の反響を呼んだ。今度は完全なフィクションとして。でも、読者はどこかに「真実」を探そうとする。それが人間というものだ。


瞳は、新しい仕事にも慣れ、毎日を忙しく過ごしている。拓との生活も、穏やかだ。喧嘩もする。でも、それが日常というものだ。


ある日、瞳は久しぶりに一冊のノートを開いた。


そこには、自分だけの言葉で綴られた文章があった。

書いていて、気づいたことがある。


この物語は、誰にも読まれない。読まれることを前提としていない。ただ、自分の中にあったものを、自分の中にしまうために書いた。


それが、純の小説との違いだった。彼女は「外に出す」ために書いた。私は「内にしまう」ために書く。


どちらが正しいわけじゃない。ただ、違うだけだ。


それが、私の「彼女の計画」だったのだから。


ノートを閉じ、机の引き出しの一番奥にしまう。


でも、ふと思った。


――もし、私が死んだら、このノートは誰かに読まれるのだろうか。拓は、これを読んで、初めて本当の私を知るのだろうか。


それは、怖いような、でも、少しだけ嬉しいような気がした。


窓の外では、夕日が街を染めている。


拓が、まだ仕事をしている。その背中を見ながら、瞳は思う。


――私たちは、それぞれの「真実」を抱えて生きている。それが交わることもあれば、交わらないこともある。それでも、一緒にいることを選んだ。


それが、私の選択だ。


夜が、静かに訪れる。


新しい朝が、また来る。


その朝を、二人で迎えられることに、瞳は感謝していた。


窓の外に、誰かの視線を感じる。


でも、もう怖くない。


それは、純かもしれない。あるいは、読者かもしれない。それとも、自分自身の過去の目かもしれない。それとも——もう一人の、ずっと見ていた誰か。




でも、それでいい。


見られることと、見つめること。その両方を抱えて、私たちは生きていく。


瞳は、机の引き出しをそっと撫でた。そこには、誰も知らないもう一つの物語が、静かに眠っている。


その引き出しを開けるかどうかは、まだ決めていない。


でも、いつか開ける時が来るかもしれない。その時は、きっと、二人で向き合う時だ。


表紙には、こう書かれていた。


『彼女の選択』


※『彼女の計画_外伝』影たちの物語をお読み頂くとより作品の深みを味わうことができます。

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