第46話 彼女の選択 第3話 受容とざわつき
前回のお話、お読みいただきありがとうございます。まだまだ、話は展開していきます。
拓が「スマホ、見たのか」と静かに言った。
瞳は頷く。
「ごめん。でも、気になって」
拓は、しばらく黙っていた。
そして、ゆっくりと話し始めた。
あのアカウントが自分にとって何だったのか。
なぜ消せないのか。
パンストフェチという性癖を、ずっと隠してきたこと。
瞳は、黙って聞いていた。
彼の言葉の一つ一つが、胸に刺さる。
「他に知ってる人いるの?」
「いや、君だけだ」
「そうなんだ」
拓の話が終わった後、瞳は言った。
「……私、それでもいいよ」
「え?」
「あなたの全部を受け入れるって、決めたから。私しか知らないってこと。それが、あなたとの絆だから」
そう言った瞬間、頭の片隅で何かがざわついた。
――本当に、これでいいのか?
でも、そのざわつきの正体は、言葉にできなかった。ただ、本能の奥深くで、何かが微かに揺れている。それが何なのか、自分でもわからない。
拓の目が、潤んだように見えた。
彼が「ありがとう」と言いかけて、でも言葉にならなかった。
その夜、瞳は一人で起きていた。
窓の外の夜景を、ただ眺めていた。
昼間のざわつきが、まだ少し残っている。
でも、それが何なのかは、わからない。
(……気のせいだろうか)
そう思って、目を閉じた。
――彼を受け入れると決めた。それだけで、いいはずなのに。
翌日、拓に会うと瞳は何気なく言った。
「ねえ、純って子、仕事どう?」
「さあ……まだ、うちの部署にきて間もないからなあ」
「そう」
それ以上は聞かなかった。
――なんで、こんな言葉が出てくるのか。
それも分からなかった。
拓に真意を追及されたくなくて、彼女はその場を離れた。
その夜、瞳は日記に書いた。誰にも見せない、自分だけのノートに。
「今日、彼の全部を受け入れると決めた。私しか知らない。それが、私にとっての真実だ。」
「でも、心のどこかで何かがざわついている。それが何なのか、まだわからない。もしかしたら、気のせいかもしれない。そうでありますように。」
ペンが止まる。
窓の外で、星がまたたいていた。
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※『彼女の計画_外伝』影たちの物語をお読み頂くとより作品の深みを味わうことができます。




