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第41話 彼女の視線 第15話 純と二人の背中

前回のお話、お読みいただきありがとうございます。まだまだ、話は展開していきます。

イベントが終わり、三人は裏口で落ち合った。


瞳が、純に言った。


「すごかったね。あの答え方」


「ありがとうございます。でも、あれは本心です」


拓が、尋ねた。


「これから、どうするんだ?」


純は、少し考えてから答えた。


「次の作品を書きます。今度は、もっと別の物語を。でも、あなたたちのことは、ずっと心の中に残る。私の一部として」


瞳が、純の手を握った。


「私たちもよ。あなたのことは、ずっと忘れない。……でも、約束して。次は、私たちを傷つけない物語を書いて。そして、沙織さんともちゃんと話して」


「……でも、もし書くとしたら、また誰かを傷つけるかもしれません」


純の言葉に、瞳は一瞬、固まった。


「その時は、ちゃんと向き合います。傷つけた人と。逃げないで」


「約束します」


拓が、言った。


「俺たち、会社辞めることにした」


純は、驚いた顔をした。


「え……?」


瞳が、静かに言った。


「あの空気に耐えるより、自分たちで新しい道を選びたかった。拓はフリーランスに、私は別の会社に転職する。最初は怖かったけど、決めたら楽になった」


「そう、ですか……」


「君のおかげだよ」


拓が、少し笑った。


「おかげ?」


「あの小説がなかったら、俺たちはずっと隠したまま、腐っていったかもしれない。曝される恐怖におびえながら、それでも会社にしがみついて。でも、決断できた。晒されるなら、自分たちの言葉で晒そうって」


純は、何も言えなかった。涙が、こぼれ落ちた。


「ごめんなさい……本当に、ごめんなさい」


瞳が、優しく言った。


「謝らなくていいよ。私たちは、私たちの道を選んだ。あなたは、あなたの道を進んで。でも、一つだけ覚えておいて」


「何ですか?」


「私たちは、あなたにとっての『観察対象』じゃない。生きた人間だってこと。これからも、どこかで生きてる。そのことを、書くときに忘れないで」


三人は、静かに別れた。


純は、二人の背中を見送りながら思った。


――この背中は、もう私のものじゃない。でも、ずっと私の中に残る。これから書くすべての物語に、この背中が重なるだろう。


それは、呪いかもしれない。でも、同時に、祝福でもあった。


※『彼女の計画_外伝』影たちの物語をお読み頂くとより作品の深みを味わうことができます。

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