豪華☆ゴミ♥廃人
何で稼ぐっていうのよ?
「もう一回ロト当てる?」
そんな簡単なわけないでしょ。
あんたも真面目に考えなさいよ!ソファでゴロゴロしながらスマホでドラマ見てないでさ!
「10日間も真面目に考えたけど何も思いつかなかったんだもん。今日は週末!週末はゴロゴロしてドラマ見るものなの!これが人生哲学!」
10日……?
ってことは、来週模試じゃない!
この数日、頭の中が『どうやって稼ぐか』でいっぱいだったわ。
勉強しなきゃ!今すぐ、今、直ちに!
「勉強して稼げるの?いつになったら働いて稼げるようになるわけ?」
おバカねぇ。この社会じゃ学歴がすべてなのよ。私みたいな一般家庭の人間が人生逆転するには、勉強しかないの!知識こそが力なのよ!
「うちら貧乏じゃないじゃん。2億とタワマンの最上階があるし~」
あんたが言わなきゃ忘れていられたのに!思い出しちゃったじゃない!あんたはもう4000万使った上に、毎月50万・20年ローンの借金を背負ってんのよ!
正直にローン払っていったら、手元には4000万しか残らないのよ!
「しか?あと4000万もあるでしょ!」
どういう思考回路してんのよ!?コップの水が10分の2になっても『まだ残ってる』なんて言えるのは楽観主義者でも限界があるわよ!
「どうせ棚からぼた餅の不労所得なんだから、クヨクヨするよりパーッと使って社会貢献したほうがマシじゃん~」
妹よ!ちゃんと分かってんの!?あんたが一生私に養われるとして、二人で4000万を山分けしたら一人2000万よ!?毎月の生活費で削られていったら、老後まで持つわけないでしょ!
「じゃあ稼げばいいじゃん!」
だから考えてるんでしょうが!
「お姉ちゃんのガリ勉頭じゃ、頭がハゲるまで考えても良い案なんて出ないって~」
カチンときたわ。
いいわよ、今から投資と金融を極めてやるわ!
本を買い込んで四十九時間猛勉強した結果、私が導き出した結論は――恐ろしい。
株式投資?損するリスクがあるわ。
「台湾株なんて簡単じゃん」
ダメよ!ちょっと下がっただけでお金が蒸発するのよ!?
ビットコインを買う?自分で勝手に発行して『価値があります』なんて言ってる代物、誰が信用するのよ!
「なんか『黒皮書』とか『集金チェーン』とか一ページも意味分かんなかったし。金持ちのゲームでしょ?」
妹よ、それを言うなら『ホワイトペーパー』と『ブロックチェーン』よ!……私だってサッパリ分からなかったけどね!台湾大学(※模試判定)を狙える私の頭脳をもってしても理解できないなんて、どういうこと!?
こんなことがあってたまるか!
一般人が理解できるように書いてないあいつらが悪いわ!専門用語を並べて気取ってるだけの詐欺よ、詐欺!
「私、最近マンガ『XP戦士ニラ六美』読んだんだけど、FXってめっちゃ儲かるらしいよ!」
そのマンガ私にも薦めてきたけど、あんた絶対第一部の結末読んでないでしょ!最後まで読みなさいよ!
「お姉ちゃん、銀行の預金金利なら安全なんじゃない?」
銀行に預ければ安全だと思ってんの?国家が破綻するか銀行が倒産したら、現金なんてただの紙くずよ!
「倒産って何よ!国は会社じゃないんだから!台湾は安泰でしょ~!」
そうとも言い切れないわ。
「お姉ちゃん、投資はハイリスク・ハイリターンなの!チキンな奴が投資なんて手出すんじゃないよ~」
私は1ミリのリスクも許さないの!
これも全部あんたを守るため、資産を守るためなのよ!
「私、お姉ちゃんが隣にいてくれればそれだけで幸せだよ」
私だってそうよ……。
あんたのためなら、私たち姉妹を引き裂く可能性のある芽は、すべて芽生えた段階で摘み取らなきゃいけないの。
ノーリスク・ハイリターンな都合のいい話はないかしら……?
「お姉ちゃん!私、天啓が降りてきた!」
何よ?
期待はしてないけど、話を聞くだけならタダだしね。
「うちら、相声(お笑いコンビ)やろうよ!」
はあ?
「これぞノーリスク・ハイリターンのビジネスでしょ!私がボケ(捧哏)で、お姉ちゃんが引き立て役(逗哏)ね!」
相声(伝統演芸)はよく分からないけど、字面から察するに、あんたが捧哏て私が逗哏の方が自然じゃない?
それに今台湾で流行ってるのはピン芸か漫才よ。まあ、やってみる価値はあるかもね。
「じゃあ私がツッコミで、お姉ちゃんがボケね!」
おバカね、逆でしょ!
「あ、本当だ!お姉ちゃんはボケまでもなく素でバカだった~」
あんたの方がバカでしょ!私だけ勉強してきたんだからバカなわけないでしょ!私は緊張して寝過ごさなければ台湾大学に受かる黄金の頭脳なんだから!
「じゃあトリオ漫才にしよう!私が1号、お姉ちゃんが2号、あとツッコミを1人入れれば完璧じゃん!」
誰がリアルバカよ!あんたが本物のバカでしょ!
まったく……姉たるもの妹に譲ってあげなきゃね。言い争うのはやめましょう。
で、どこから3人目をつれてくるわけ?
「街に行けば絶対見つかるって!」
街に行くなら飯を探す方が先でしょ!
今何時だと思ってるのよ?
もう午後2時よ。
「ドラマ見てたらお腹空いたけど、ドラマも観たいんだもん!」
分かってるわよ。だからこうやってリビングであんたのドラマ鑑賞に付き合いながら、私が知恵を絞ってたんじゃない。
正直、とっくにお腹空いてたわよ。普通の昼食時間は12時でしょ!
「限界までお腹空かせてから食べるご飯が一番美味しいんだよ~」
私はあんたに限界を感じてるわよ。
「お姉ちゃんは私に甘いから、いつだって私の言うこと聞いてくれるじゃん?」
で、今ご飯にするの?ドラマ見るの?
「見ながら食べる!お姉ちゃん、ご飯買ってきて~!」
ダメ。あんたも一緒に下に行くの。
「もお~お姉ちゃんってば私から離れられないんだから」
マンションの玄関を一歩出た瞬間に、富豪ハンターに拉致されて身代金要求されるのが怖いからよ!
「じゃあ私、ドラマ見ながらご飯買いに付き合うから、お姉ちゃん前見て歩いてね」
分かったわよ。
コンビニでレンジで温めるお弁当を買って帰って食べ終えると、私が一番直視したくない現実がやってきた。
未洗いの空弁当箱が山積みになった、キッチンシンクである。
すでに異臭を放ち始めていたので、この数日は臭いを嗅ぐたびに消臭スプレーを吹きかけて誤魔化していた。
だが、臭いは場所を取らないが、空き箱はスペースを取る。
私と妹が手に持っているこの空弁当箱を、一体どこに置けばいいというの?
何これ?テトリスでもやってるわけ!?
テトリスなら横一列揃えば消えてくれるけど、空の弁当箱は放置しても消えてくれないのよ!
「お姉ちゃん、片付けて~」
嫌よ!あんたがやりなさい!私、汚いの無理!
「私の方がお姉ちゃんより汚いの無理だし!このままだと、新しいお友達が同居しに来ちゃうよ?」
哺乳類も節足動物も、丁寧にお断りしたいわ。
「じゃあお姉ちゃんが片付けてよ」
嫌よ!なんで私なの!?もしもうこのゴミ九龍城にお友達が住み着いてて、私が撤去作業中に抗議デモでも起こしてきたらと思うと無理無理無理!
あんたは戦闘力が高いんだから、虫やらネズミくらい素手で潰せるでしょ!
「キモいから嫌!お姉ちゃんのチキン!妹を助けてくれない冷血!」
そうよ!私はチキンよ!あんたは度胸があるんだから、あんたが片付けなさい!
「めんどくさいもん!じゃんけんで負けた方が片付ける!これが一番フェアでしょ!」
嫌よ!あんたはお母さんの格闘術仕込みで動体視力も目と手の連動性も抜群なんだから、絶対後出しジャンケンしてくるでしょ!勝てるわけないじゃない、どこがフェアなのよ!
「じゃあくじ引きは?」
二人しかいないのに誰がくじを作るのよ?作った奴がズルするに決まってるでしょ!
誰か……この膠着状態を打破してくれる人はいないの!?
「もうウザい!お母さん呼ぼうよ!」
ダメ!!
「なんでよー?」
私たち、お母さんに何も言わずに家を出て二人で暮らし始めたのよ?それなのに家事をさせるためだけに呼び出したりしたら、絶対ブチ切れられるわ!
私たちはもう立派な18歳の大人なんだから、自分の責任は自分で取ることを覚えなきゃ。
誤解しないで、怒られるのが怖いんじゃないわよ。私は怒られるなんて平気なんだから!
「二人で怒られれば怖くないって!苦しみは半分こできるんだから!」
そもそもこの家を買って私を連れ込んだのはあんたでしょ!なんで私も一緒に怒られなきゃいけないのよ!?
「あ~あ!メイドさんが住み込みで毎日掃除してくれたらいいのに。月給30万払ってもいいよ~」
あんたそれどこの中世貴族の思考回路よ!?
「お姉ちゃん、メイド服着たメイドさんが作ってくれた出来立てのご飯なら、コンビニ弁当より絶対おいしいよ」
出来立ての料理……情けないことに口の端から涙が出そうになったわ。
いやいやいや!料理はシェフに頼むべきでしょ!なんでメイドに作らせんのよ!?
「メイド服のバフがかかってるから見た目も最高だし、ご飯も可愛いメイドさんと同じくらい良い匂いがするに決まってるじゃん!」
料理は料理、メイドはメイドでしょ!なんで一緒くたにしてんのよ!?
「メイドさんは家の掃除もしてくれるし、万能なんだよ!」
機能を考えたら、それってほぼお母さんじゃないの。
いやいやいや!お母さんを『機能』扱いするなんて、口に出した瞬間殴り倒されるわね!母親は偉大な存在よ。
実用性で言えば、家事代行サービスの派遣スタッフか個人事業主を雇えば済む話よ。
個人事業主なら会社の仲介料を取られない分、ちょっとは安くなるはずだし。
でも絶対高いに決まってるわ!まだ具体的な金額は調べてないけど!
「メイドさんは萌え萌えキュン♥もしてくれるんだよ!お母さんは怒るだけだし、家事代行業の人は淡々と作業するだけだから、私たちのために心を込めてご奉仕してくれないもん!」
萌え萌えキュン♥に何の意味があるのよ!?
「萌え萌えキュン♥は魔法なの!至高の奇跡なの!」
ダメよ!私たちを心から愛してくれて家事までこなしてくれる人間を雇うのに、どれだけの維持費がかかると思ってんの!
「うわぁぁぁぁぁん!!」
なんで急に大声出すのよ!?
「メイドメイドメイドメイドメイドメイドメイドメイドメイドメイドメイドメイドメイド!!」
やばい、多綵がこのモードに入ったら、ちゃんと宥めないと永遠に駄々をこね続けるのよ!
「お姉ちゃんがメイド服着て萌え萌えキュン♥ お姉ちゃんがメイド服着て萌え萌えキュン♥ お姉ちゃんがメイド服着て萌え萌えキュン♥」
冗談じゃないわよ、恥ずかしすぎるでしょ!!
私はお姉ちゃんであってメイドじゃないの!
どうすればいいの!?一番コスパの良い解決策を考えなきゃ!
そうだ、多綵を本物のメイドに会いに行かせよう!メイドと言えばメイドカフェよ!
「わーい!メイドさん!」
ただのカフェのコスプレなのに、そんなに喜ぶわけ?
食べた後の空容器は床に投げ捨てた。
あとのことは後でどうにかなるわ!
妹の機嫌が最優先!
行くわよ!メイドカフェへレッツゴー!




