寝て起きたら強運!?♥双子姉妹
……うるさい。
せっかく気持ちよく寝てたのに。
静かにしてよ。マジでうざい。
私は目を開けた。
見覚えのない校内を、大勢の受験生が歩いている。みんな何かから解放されたみたいに、そわそわしながら話している。
そうだ!ここは試験会場、私は学測を受けに来たんだった!
昨日の夜から今朝まで緊張で一眠りもできなくて、多綵と一緒に会場に着いて、座って10分だけ仮眠をとるつもりだったんだ。
ちょっと!多綵、なんであんたまで寝てるのよ!
起きなさいってば!
「お姉ちゃん……?」
入場前に私を起こしてって言っておいたでしょ!
「だってぇ、ここ数日ドラマの一気見で徹夜してて超眠かったんだもん。寝れる時に寝とかないと~」
おバカ!なんでアラームセットしておかないのよ!?
「お姉ちゃんこそ大ざっぱだよ。自分だってスマホ持ってるんだから自分でかければよかったじゃん」
ぐぬぬ……言い返せない。
もういい、話題転換!今何時!?
「えっとね~」
多綵がスマホを取り出す。待ちきれずに覗き込む私。
5時!?
午後5時ぃぃぃぃぃ!!!!??
試験、終わってる。
私たちの人生も終わった。
10年間猛勉強して、模試で全国トップ100に入った努力が全部水の泡。
あはははは……。
「あははは!」
なんで笑ってんのよ。
「お姉ちゃんこそなんで笑ってんの?」
分からないわよ、勝手に笑えてくるんだから!笑うしかないでしょうが!
「昨日見たドラマの展開が超ウケたんだよね~。お姉ちゃんも絶対見てよ」
見る時間なんてあるわけないでしょ!勉強しなきゃいけないんだから!
「なんで勉強すんの?」
7月には分科テストがある……そうだ!学測だけが試験じゃない!
人生まだ終わってない!
それよりあんた!ちゃんと勉強して、この半年で成績巻き返しなさいよ!
「やだぁ」
まあね、あんたは昔からそうだもんね……いいわよ、私が死ぬ気で勉強していい大学を出て、良い仕事に就いてあんたを養ってあげるわ。
「お姉ちゃん大好き~!」
くっつかないでよ、子供じゃないんだから。
「お姉ちゃん照れないでよ~、私のこと大好きなクセに」
さあね。
「うう~、外寒いよ~」
よくそんな寒さで寝ていられたわね。
「だってお姉ちゃんにくっついて暖をとってたもん」
馬鹿なこと言ってないで、帰るわよ。
「はーい!」
帰り道、多綵が急に宝くじ売り場を指さした。
「お姉ちゃん、ロト買いたい!」
そんな無駄金使うくらいなら勉強しなさい。
「縁起直しだよ~!そうでもしないと今日がサイアクな1日で終わっちゃうじゃん」
私は買わないわよ。
ロトの当たる確率なんて雷に打たれるより低いんだから。具体的な確率は覚えてないし、計算するのも面倒だけど。
テストじゃあるまいし、暗算で正解を出したって点数になるわけじゃないしね。くだらないわ。
「やばっ!」
何よ!?
「今日財布忘れてきた!受験票しか持ってない!お姉ちゃんとお母さんが朝急かして起こすからだ~!」
あんたが二度寝しなければ済む話でしょ!二度寝するわ、人のせいにするわ、どんだけ図々しいの!?
「お姉ちゃん、お金貸して~」
はぁ……ホントしょうがないやつ。1枚だけだからね!
「わーい!」
多綵は嬉々として「7」のつく数字と、私たちの生年月日を選んでマークシートを塗りつぶした。
そんな思考停止のテキトーな選び方、当てる気すら感じられないんだけど。
「7はラッキーセブンでしょ!今の私たちには運が必要なの!もしテストの選択肢に7があったら、私全部7にするね」
そんな勘で答えたら、1問でも当たれば万々歳ね……まあいいわ、あんたが楽しいなら。
「お姉ちゃん、大変!」
何よ?
「最後の8個目の数字が選べない~」
じゃあ生まれた西暦の数字を足し算しでも足せば?
「本当だ!やっぱりお姉ちゃん頭いい~!」
まあね、私は賢いから。
数日後、私が家で順調に問題を解いていた時、多綵が突然部屋に飛び込んできた。
「お姉ちゃん、当たった!」
末等でしょ?数百元(数千円)くらい?
「1等!2億5000万元!!」
2億5000万!?!?あんた絶対見間違いでしょ!
「番号チェックするくらいで間違えるわけないじゃん!」
信じない、見せなさい!
7, 11, 17, 27, 29, 37, 47、特別番号10。
全部合ってる。
「お姉ちゃん、なんで手が震えてるの?体調悪いの?空気入れ替えるために窓開けるね。真っ昼間からなんでカーテン閉めて電気つけてるのさ、自然光を浴びないと体に――」
窓開けるなーーーー!!1月末のクソ寒い冬に誰が冷風浴びるか!私がくじを落として風で窓の外に飛んでったらどうすんの!?もし宝くじハンターがこの当選くじを狙ってて、望遠鏡で窓から覗いたあと家に強盗に入ってきたらどうすんの!?カーテンは一ミリの隙間も開けるんじゃないわよ!
「宝くじハンターって何だよ!お姉ちゃん妄想激しすぎ」
あ……そうね、大金が当たって頭がおかしくなってたわ。
「お姉ちゃんは元々勉強のしすぎで頭壊れてるけどね」
勉強は人を賢くするの!あんたこそ一度もまともに勉強したことないんだから頭おかしいでしょ!私はリスク管理のために思慮深くなって発言してるの!
換金まであと何日?
「私があんな細かい文字読んで日付探すと思う?」
お姉ちゃんに貸しなさい!どれどれ……正月明け、新学期の前日に換金できる――それならお年玉もお母さんから貰えるわね。
待って、税金引かれるって書いてある。計算すると……まず5000万持っていかれる!こんなに引くなんて強盗じゃない!
「私たちにはまだ2億もあるじゃん!」
私たち?
「そうだよ、半分こ!」
つまり平分して、手元に1億ずつ入るってこと……!?
「お姉ちゃんしっかり立ちなよ、なんで足ガクガク震えてんの」
こんな大金、タダでもらうわけには……。
「ロト買ったのお姉ちゃんのお金だし、特別番号を選んだのもお姉ちゃんでしょ。半分もらうの当然じゃん!」
怖いのよ!
「何が?」
億万長者になったら強盗対策にボディガード雇わなきゃいけないんじゃないの!?
「私が保護してあげる!」
そうだった。妹は小さい頃から猛勉強してきた私と違って、遅刻した日は要人警護教官をやっているお母さんに職場へ連れていかれて格闘術やら武器術やらを仕込まれていたのだ。いつもサボって体力はないものの、大人の男ひとり二人なら楽勝で返り討ちにできるはず。お母さんは戦神だ。相手が銃を持ってさえいなければ、10人来れば10人倒し、100人来れば300人薙ぎ払うレベルだ。
「あははは!」
あははは!
じゃあこのクジは私が保管するわね。
「いいよ~!」
あんたはうっかり屋だし、昔から学校で消しゴム失くしまくってたしね。
「お姉ちゃくだって失くしたことあるじゃん」
私は学習する賢い人間なの!春休みが終わるまであんたと片時も離れないし、このクジも肌身離さず持ち歩くわ!
「やった~!」
口に出した瞬間に後悔した。
2億の価値があるクジを持つプレッシャーが凄すぎて、枕の下にクジを敷いて妹を抱きしめて寝るハメになり、お風呂ではジップロックにクジを密封して妹と一緒に浸かり、トイレに行けばトイレットペーパーと間違えて流さないかヒヤヒヤしながら何度もポケットから取り出して確認する羽目に。
はあ……金持ちって本当に贅沢な悩みね。
換金できる日になり、二人で一緒に出かけた。お金の手続きは問題なく、双子だと話したらあっさりと半分ずつに分けてくれた。明日には通帳を記帳して入金を確認できる。
この期間、勉強はしたけれど全く頭に入らなかった。クジを守るだけで心身ともに疲れ果ててしまったのだ。新学期早々抜き打ちテストでもされたら、絶対に答えられない自信がある。
私ってなんて浅はかなの!お金があると勉強できなくなるなんて。じゃあ私のこの10年間の努力は何だったの!?
ダメダメ、新学期が始まったら気持ちを切り替えて、また真面目にやり直すのよ。今日学校が終わったら銀行に行って通帳を記帳して、入金を確認したら改心するんだから!
なのに始業式が終わった途端、ホームルームの最後に放送で教務主任の部屋に呼び出された。
「田多恵、なぜ呼ばれたか分かりますか?」
「わかりません」……知らないことを尋ねるなんて、超能力でも使えって言うの主任。
「なぜ結果の貼り紙に、あなたたち姉妹が欠席と書かれているのですか?」
「それは……会場で寝過ごして、答案用紙すら書けませんでした」
「私も長く教師をやっていますが、優秀な生徒がハプニングで実力を発揮できなかったケースを何度も見てきました。非常に残念です。あなたは我が校の期待の星ですから、7月の分科テストでは絶対に実力を発揮しなさい」
「はい!」
「それと妹さんですが、良い成績を取れとは言いませんから、せめて登校させなさい!今日は遅刻どころか、丸々サボってまだ来ていませんよ」
おかしいな……多綵が自然に起きるまで眠りこけて目覚ましで起きないのは日常茶飯事だけど、私は普段一人で登校する。いつもの感じなら、多綵も遅れて登校してくるはずなのに。
「もう少し面倒を見てあげなさい!姉妹でしょう?」
「双子でも独立した個体ですから。私は過度な干渉はしない主義なんです」
「よし、教室に戻って勉強しなさい!」
「わかりました」
教室に戻ると、クラスメイトたちが噂話をしているのが耳に入った。
私たち姉妹が寝過ごして二人揃って欠席したのを笑っているのだ。私は10年間の血と汗の結晶が台無しになって死ぬほど落ち込んでるのよ!同情心のないモンスターどもめ!
……まあ、私には友達がいないから、誰もかばってくれないんだけどね。休み時間になれば多綵のところへ行き、昼休みも多綵と一緒にご飯を食べるから。
「これでライバルが一人減ったわね」
誰かがそう言った。あんた名前なんて言うのよ?私は模試の順位表でも自分より上のやつしか見てないから、あんたみたいな有象無象なんて知らないわよ!見てなさい、分科テストで絶対に台湾大学(台湾の東大的大学)に合格してやるんだから!
「麗ちゃんは全国トップなんだから、もう分科テストなんて受けなくていいよね。将来どの学科に行くの?」
モブの奴が林明麗に耳障りな大声で話しかけている。林明麗は私をチラッと見て、それからモブを見た。
「学生の本分は勉強ですから。学科のことは考えていません、家が決めることなので」
はいはい!どこでも好きな学科を選べばいいでしょ!どうせ今回は私に勝てて大満足なんでしょうね?普段学年1位と2位を争ってるくせに、私を無視するわけ?
フン、いいわよ、私には多綵がいるんだから。
休み時間に多綵のクラスへ行くと、彼女は人だかりの中心にいた。
……ちょっと待って、あんたが身につけてるそれ、何!?
「これ、100万の時計なんだよ~!」
100万元(約450万円)!?
どこにそんな金があるのよ!?
私はブチギレて多綵を校舎の隅へ引っ張っていった。
「やだぁお姉ちゃん、学校でそんな乱暴にしないでよ。何をするにも家についてからにしてよ~」
「あんたのその格好は一体何なの!?制服すら着ないで、ワンピース着て学校に来てんじゃないわよ!」
「これ店員さんがお薦めしてくれたの。『とってもお似合いですよ』って言われたから買っちゃった。たったの300万だよ、安いでしょ?」
時計と合わせて――400万(約1800万円)!?この浪費家!借金でもしたの!?
「今日起きたら9時で銀行が開いてたから、記帳しに行ったの。賞金が入金されてるの見たら、百貨店に行ってブランド品買っちゃった!」
そうだった!お金は今日入金されるんだった!でもいくらなんでも浪費しすぎでしょ!
「可愛いじゃん!買ったらすっごく幸せな気分になったよ!可愛いものと可愛い妹の組み合わせって最高じゃない?」
「確かに可愛い……って違う違う違う!あんた他に何買ったのよ!?」
「靴にバッグに下着にネックレス――」
「ストップ!危うく騙されるところだったわ、それでいくらになったの!?」
「安いやつも合わせて、全部で1000万くらいかな!」
「じゃああんたの資産の10分の1がこれだけで蒸発したってこと!?たった数時間で!?今日が終わる頃には全財産使い果たしてるんじゃないの!?」
「可愛いものなんだからいいじゃん!お姉ちゃん怒らないで、お姉ちゃんにもプレゼント買ってきたから!」
「何よ?食べ物?食べ物が一番実用的だけど」
「タワマンの最上階!7LDKバス・トイレ3つ付き!」
な、何だってぇぇぇぇぇぇぇぇ!!????
「不動産屋さんが『すごくお買い得ですよ』って。頭金3000万で、あとは月々50万を20年ローンだって~」
総額1億5000万(約6.7億円)の家ぇぇ!?
「本当はプール付きの大豪宅にしようと思ったんだけど、お姉ちゃん泳げないからやめたんだ~」
「……気の利くことね」
「でしょ?」
「皮肉よ!!」
「お姉ちゃん、何その顔~?」
「このバカ!……ううん、バカなのは私よ。妹が救いようのないアホだってことを忘れてたなんて。私がしっかり手綱を握って管理しなきゃ!」
「もう一銭も使っちゃダメ!」
「でもこれ私のお金だし~」
「あんた自分が買った家がいくらか計算したの!?」
「ローン組めば払えるでしょ?」
「総額1億5000万よ!」
「えっ、私の全財産より多いじゃん!お姉ちゃんどうしよう!?」
「契約書持ってるの!?」
「よく分かんないからお姉ちゃん見て~」
違約金は一括で1億支払うこと。
解約したら私がお金を補填しなきゃいけないじゃないの。ダメよ!
「やばいの?」
視点を変えよう。今の不動産市場は好調らしい。早期投資だと思えば……。
「お姉ちゃん、転売したりしないよね?私がお姉ちゃんに贈ったプレゼントなんだから!それに二人で引っ越して住みたいの。合格発表の貼り紙でお母さん、私たちが欠席したの知って顔色凄かったし、家に居づらいでしょ?」
くっそー!
何が何でもこの家を手に入れるしかないわ。今日中に引っ越すわよ!
お金のことなら、「金が金を呼ぶ」って言うじゃない!あとは多綵が余計なローンを組まないように見張っておけば、どうにかなるはずよ。
あはははは……。
「お姉ちゃんが嬉しだと私も嬉しいな~」
あほ妹め、私は笑うしかないから笑ってるのよ!
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【資産まとめ】
田多恵:約1億台湾ドル
田多綵:約6000万台湾ドル
(※毎月50万台湾ドルの住宅ローン支払い・20年組)
作品タイトルに書いた「無彩」は台湾語では「はずれ、当たってない、勿体無い」という意味
もっとうまく翻訳したいが、結局諦めた
どうかご了承ください




