41話 夏休み初日
夏休み初日の午前7時過ぎ。
「おにぃ!起きて!!夏休みだからって遅くまで寝てたらダメだよ!!!」
美月は一輝の自室に入るなり、ベッドに身を置く彼の身体を揺する。
「うん?美月。どうしたんだ?今日は休みだろ」
一輝は眠たそうに少しだけ目を開く。
「そうだけど・・・。ダメだよ。休みだからってだらしない生活したら」
美月は両腰に手を当てながら、頬を膨らませる。
「ごめん。後、10分だけ寝かして」
一輝は再び目を閉じると、意図的に布団をかぶる。
「あ〜〜。そうやって何時間も寝るつもりでしょ!昨年もそうだったんだから!!」
美月は呆れながらも、布団を引き剥がす。
その結果、パジャマ姿の一輝が布団から露わになった。
「・・・美月。強引だな・・・」
一輝はほとんど寝たような目でぼそっとつぶやく。声の口調から少なからず不満を抱いていることがわかる。
「ほらっ!起きるよっ!」
美月は無視して、部屋の窓を開ける。外からの空気が遠慮なしに入ってくるため温度が上昇する。
「うぅ・・・。外から熱気が来る・・」
一輝は両目を擦りながらゆっくりと上半身を起こす。
「起きた?」
美月は笑顔で尋ねる。
「起きたよ。・・・おかげさまでね・・」
一輝はあくびをしながら答える。
「早く着替えてね。朝ご飯できてるから!」
「わかった。すぐ行動する」
一輝はベッドから立ち上がると、クローゼットを開ける。おそらく、着替えに取り組むのだろう。
「それじゃあ、私はリビングに降りるね」
美月は一輝の行動を視認すると、安心したように部屋から退出した。目的地のリビングへと向かうため階段を降りていく。
一輝は自身のペースで上下白のスウェットに着替えると、窓を閉めて自室を出る。
そのまま1階へと向かい、洗面所にて顔を洗い始める。
濡れた顔をタオルで拭き取り、リビングへと移動する。すると、朝食の準備をする美月の姿があった。
テーブルには既にトーストや目玉焼き、ベーコンなどが並べられている。
「できたよ!おにぃ!食べよ!!」
美月が声を掛ける。
「わかった」
一輝は短い返事をすると、テーブルの席に座る。
一輝と美月は1度目を合わせた後、お互いに軽く笑顔を作り、両手を合わせる。
「「いただきます」」
2人同時に挨拶をし、食事をし始める。
一輝と美月はお互いの近況について話しながら食事を進める。
特に変わったことはなく、いつも通りの会話であった。
そんな中、美月はある疑問を抱いたのか、一輝に対して質問を投げかける。
「そういえば、今日はどこに行くの?昨日、羽矢さんと莉菜さんと一緒にどこかに行くって言ってたよね?」
「あぁ。そうだな。今日は2人と一緒にプールに行くんだ」
一輝は平然と返答する。その言葉を聞いた瞬間、美月の顔色が変わる。
「えぇ!?聞いてないんだけど!!私も行きたい!!」
美月はテーブルに両手を付いて、身を乗り出して言う。
「いや・・・。急には無理だと思うぞ」
「どうして!?」
美月は食い気味に尋ねる。
「増本と莉菜に聞かないといけない上、美月は水着を持っているのか?」
「それは大丈夫!いざというときのために中学生になる前に買っておいたんだよ〜」
美月は自慢げに話す。
「これで後はおにぃが羽矢さんと莉菜さんに聞くだけだよ」
美月は追い詰めるように上目遣いで眺める。
「まあ、聞いてみるけど・・・」
一輝は困った表情で渋々答える。
「やったー!ありがとう!おにぃ!!楽しみだな〜〜〜!」
美月は嬉しそうにガッツポーズをする。
「おいおい。まだ行けると決まったわけじゃないぞ」
そんな様子を一輝は苦笑いを浮かべながら、軽く注意するのだった。
⭐️⭐️⭐️
読んでくださった方、ありがとうございます!




