第陸幕の玖
子どももペットもおもちゃではない、自我があります。
その頃、吉井家では家族会議が行われていた。
「いや、そこまでしなくても……」
「あなたは黙ってて!!」
完全に頭に血が昇っているジョージの母。
「いい、ジョージ。これはあなたのために言っているの。これからあなたは絶対にサッカーをしてはいけません。授業に関しても参加させないでくださいって先生にも話すつもりです。わかりましたね?」
ジョージはただうつむいているだけだったが、心の底には絶望の2文字がずっしりとのしかかっていた。それが、彼にある決断をする決定打となった。
翌日。授業が終わり、放課後。かりんが満開市で着る衣装を選ぶために高校の近くにあるターバンを巻いたカラスのキャラクターが目印のディスカウントストア「シンドバッド(通称シンド)」に向かっていたため、彼女を除く小町部の面々も向かうことにした。先に着いているであろう彼女を待たせてはいけないと思って足を急がせていたその時、さくらのスマホに母からの連絡が入る。
「イナリちゃんが家のどこにもいない、早く帰ってきて」
突然のイナリの失踪に唖然とするさくら。すると、修一と純也が息を切らしてアイリスのもとにやってくる。
「転校生、じゃなかった、ジョージの友達のお姉ちゃんだよね! 大変だ、ジョージが家出した!」
「あいつ、今日初めて俺たちとサッカーやったから俺たちの秘密基地に招待したんだけど、帰らないって聞かないんだ! それにあいつの母ちゃんが公園で倒れてる!」
この事態に、かんなを除く小町部はオリエント・ゾディアックの影を察する。それでも蓮は事情を話してあるあおいにアイコンタクトをして、かりんに連絡してもらう。その間に現在解決しなければならない事態を誰に任せるかを判断し、決定する。
「よし、こうしよう。俺とアイリスはお母さんの所に行ってからジョージ君のところに行く。さくらとあおいはイナリを探す。かんなはシンドに行ってかりんと一緒に俺たちに似合いそうなやつをいくつかピックアップしてほしい」
「OK! あおい、行こう!」
「りょ! あたしとりんりんのセンスに任せて!」
さくらとあおいはさくらの家に、蓮とアイリスは少年たちの案内で秘密基地に、かんなはディスカウントストアへと急ぐ。その上空にはヘリコプターのプロペラ音がこだましており、中に乗っている人物は彼女を眼光鋭く睨みつけていた。そのままヘリコプターは、方向転換して三方向に分かれた小町部のうち一つと同じ方向へと飛んでいった。
脱走者が2名、一体どこに?




