表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第伍幕「始動」
PR
88/373

第伍幕の拾陸

ノーサイドになれた者となれなかった者の違い。

「ところで蓮、箱の中身って何だったの?」

 さくらが蓮に尋ねるが、もったいぶってなかなか答えてはくれず。本当に聞きたいのか尋ね、答えが何であっても後悔しない意思を確認してから答える。

「いいか、あおいには絶対言うなよ? 部長のテストと、エ……」

 耳打ちする形で蓮は答えを言うが、思いもしなかった答えにさくらの顔は紅潮した。

 翌日、登校したさくらたちを待っていたのは、校内の掲示板にたくさんの生徒たちが集まっている光景が。

「なんだろう……? これは!」

 生徒たちの波をかき分けて掲示板に目を向けると、新たに貼られていたラグビー部改めラグビー同好会の会員募集のポスターと、昨日戦ったネガボットがゆっくりと歩いていく様や、顔は映っていなかったが振袖小町ハリケーンを決める前に走る姿などの迫力のある光景が写真に収められ、1面に掲載されていた校内新聞が貼られていた。TVやSNSの次は校内新聞。着々と各種メディアデビューを自分たちに無許可で果たしてしまっていることに、本人たちは羞恥心を感じてしまっていた。

 振袖小町の記事のインパクトに持っていかれて、ほぼ誰も目を通してなかった小さな記事には、百合がここ数日謎の欠勤をしていること、そして学校が襲撃された際に真っ先に逃げようとしていた人物が誰であるかを推測する記事が載っており、蓮はその記事を読んだことと、かりんを追い詰めた人物が誰なのかを知る人物がいないことの不自然さから、この学校で何かが起こり始めている気配を覚えていた。

 その日の放課後、戎が小町部の部室を訪ねてきた。また何かいちゃもんをつけてくるのかと身構えるさくらだったが、部室の占拠を諦めて小町部への譲渡に同意してきたのだ。

「あー……悪かったな。俺はこれからまたラグビー部を復活させるために地道に活動していくよ。ただ、部室を譲ってやったんだから中途半端な活動じゃ済ませるんじゃねえぞ!」

 彼の口から出てきた意外な言葉に驚くさくらだったが、和解と互いの健闘を祈る証として握手を交わす。こちらはノーサイドの決着となった。

 ラグビー同好会はこれから地道に部員の勧誘を続けながら部の再建を目指し、彩羽高校と同じように部員が不足している高校のラグビー部同士で練習を続け、試合にもしばらくは合同チームで出場するつもりとのことだ。

 ラグビー部の部員として2年間過ごした部室を去る前にさくらに言った一言は、きつい言い方ではあったが彼なりの叱咤だったのだろう。その証拠に、わずかではあったが後悔はないと言いたげな笑みが彼の表情から垣間見えたのだった。

「お前は謹慎だ!!」

 ネガボットの無断使用でスキロスはカルネロから大目玉を食らっていた。確信を得ることはできたが本来の目的も果たせず、踏んだり蹴ったりである。怒られる彼を見て、チュイはほくそ笑んでいる。

 同じくその日彩羽高校にいたロンは、姿は見られずとも鼓膜に焼き付いた懐かしい声を偶然にも聞くことができたことに、内心悲喜こもごもであった。

ラガーマンの戎はとっつきにくいけどいい奴でしたね。もっとも、それより気になることが読んでくださった皆さんにはあるでしょうが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ