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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第伍幕「始動」
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第伍幕の拾伍

昔ながらの必殺技を食らえ!

「振袖小町ハリケーン! アタック!」

 振袖小町は一斉に走り出す。

「いくよ、アイリス!」

 爆発が起こらないようにボールを前に回さないことを念頭に置き、かりんはボールを並走しているアイリスに投げる。

「任せて! あおいちゃん!」

 投げられたボールを右足で蹴るアイリス。今度は狙い通りに蹴ることができ、あおいは空中でボールをキャッチし、着地。そのまま縦にしたボールを右手で押さえながら地面に置く。そこに、蓮が走りながら叫ぶ。

「さくら! クラウチングトライ!」

 クラウチングトライが何かはわからないさくらだが、ここは決着をつけるべく自分が思うようにすることにした。

「お、OK!」

 返答をしてから走り出し、空中で1回転してからボールを蹴る。次の瞬間だった。

 蹴り飛ばしたボールが数学の参考書に変わり、ページが開くとともにたくさんの数式がネガボットめがけて飛んでいく。ネガボットに命中した数式は爆発し、ダメージを与えていく。最後に参考書がネガボットの目にかぶさり、ネガボットは倒れ、今までよりも派手な爆発が起こる。それを背にして蓮は走るのをやめる。

 過去の振袖小町にはなかった技の誕生である。だがネガボットを浄化できたことに変わりはなく、戎は意識を取り戻す。校舎も襲われる前の姿に戻っていき、振袖のカケラの回収にも無事成功した。

「ぐぬぬ……覚えていなさい!」

 心底悔しそうな顔をしたスキロスは姿を消す。屋上にいたはずのロンの姿も、その頃にはもうなかった。ラグビーとはいえこちらはノーサイドとはいかなかった。

 これにて一件落着……と思いきや、莉子が振袖小町のもとに走ってくる。彼女たちは、これ以上大事にならないようバラバラに人がいない場所に逃げ込み、姿を隠してから元の姿に戻る。振袖小町を見失った莉子はしょんぼりとしていたが、及第点の成果は得られたと感じていた。

 先にさくらの家に戻るイナリと別れてから、小町部の面々は約束通り部室に集合する。

「あーあ、また振袖小町見逃しちゃった。でも、学校のみんなを守れてよかったー。これも小町部の活動になるのかな? なら最初の活動がこれってテンアゲ!」

 振袖小町とのニアミスが続いたことにがっかりするかんなだったが、生徒たちを守ることができたことに彼女は達成感を抱いていた。灯台下暗しとはよく言ったものだ。

「かんなー、振袖小町といえばさー」

 かりんが自然な形で思い切ったことを切り出す。

「怪物が消えた後に振袖小町に会ったんだけど、決め台詞を今募集してるんだって。かんなも一緒に考えない? これも小町部の活動になると思うんだ」

 自分の希望をまるで他人事のようにそれとなく伝えていることにさくら、あおい、アイリスは大胆なことをしていると心の中で感じていた。

「お、いいじゃんそれ! 俺も考えるよ」

 男子たるもの決め台詞という響きにロマンを感じたのか、蓮もノリノリである。女子から見て男子という生き物は謎が多いものである。決め台詞の話が部室で始まろうとした瞬間、桃香がやってくる。

「みんな、今日は疲れたでしょ。これで解散にしましょ!」

 てんやわんやになった小町部の本格的な最初の活動だったが、これにて解散となった。さくらたちは振袖小町の決め台詞を考えながら家路についたが、かりんを除く当人たちはこれから毎回言わなければならないのかと先が思いやられる思いをしていた。

小町部の船出は戦いから始まりましたとさ。

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