第伍幕の拾参
乱入に至るまでの経緯をご覧ください。
「ロン、なぜ貴様がここに!」
「さあな。だが、見たところこの戦いはフェアな条件ではない。そういうのは、好きではない」
刀を持ったままスキロスに向かって走り出すロン。鎖で縛られ動けなかったはずの彼がなぜ彩羽高校にいるのか。その真相は、スキロスの留守中に起きた事態が原因であった。
廃研究所の中で、鎖で両手両足の自由が奪われたロンがいる部屋の外から声がする。
「たまには使ってない部屋の掃除でもするか」
「ま、いいんじゃない? ……何か聞こえる!」
雑巾がかかったバケツを片手に持った1人の男は耳を澄ませ、はたきを持った少女の言葉が本当だったと気づき、そっと扉を開けて忍び足で部屋に入る。電気をつけようとしたが付かなかったためセルペンテが持っていたライトで照らしながら音の聞こえる場所に近づくと、身動きの取れないロンがいることに気づく。
「その声は、セルペンテとプチッツァか! スキロスに鎖で縛られたんだ、助けてくれ!」
「だってよ。どうする?」
「……さすがにここまでやるのはちょっとどうかと思う。助けてあげる」
「すまない、感謝する」
セルペンテはロンの手にはめられた鎖を外そうとしたが、彼の力ではびくともしないほど固く締められていた。
「こりゃ普通の力じゃ取れねえな。プチッツァ、ハンジールかゴーダ呼んでこい」
「わかってる。命令しないで」
口ではそういうがプチッツァは素直に鎖を外せる怪力の持ち主を探しに行った。その間にセルペンテはなぜこのような事態になったのかロンから聞き出す。数分後、プチッツァが戻ってきたが、連れてきたのは……。
「……ロン、すまなかった! 俺が悪かった!」
やってきたハンジールはロンの顔を見るなりすぐさま頭を下げる。なぜ彼が謝罪するのかわからず一瞬首をかしげるが、スキロスに脅されてやったことを白状したことで納得した。
「俺はお前が悪いとは思っていない。だから、これを外してくれるか?」
「……任せろ」
持ち前の怪力で鎖を破壊するハンジール。晴れて自由の身となったロンは3人に頭を下げて感謝の意を表現し、そのまま立ち去ろうとするが、そこをプチッツァが呼び止める。
「待った。あんた悔しくないの? ボクがあんたならやり返しに行くよ?」
「場所なら教えてやるから行ってこい。ただし、オレ様たちは掃除の続きがあるからこっからはノータッチだ」
「……かたじけない!」
スキロスの行き先がどこにあるかを知ったロンは大急ぎで目的地に駆けていく。その背中を見送ったプチッツァは、自分らしくない発言と行動をしたことにどこか違和感を抱いていた。
正々堂々が信条の敵っていいですよね。卑怯上等と両方いるとお互いが輝く。




