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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第伍幕「始動」
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第伍幕の拾弐

戦いの裏で一悶着……?

「それでは、キックオフです!」

 不慣れな道具を使った対決の幕が切って落とされる。ネガボットが校庭の中心でボールをワンバウンドさせてから振袖小町がいる方向にキックする。ラグビー未経験者たちがあたふたしている間に自分がキックしたボールに追いついたネガボットはラグビーのゴールの代わりとしてサッカーのゴールにそのままトライを決めると同時に、ボールが爆発を起こして校舎に衝撃が走る。その爆風を浴び、振袖小町もダメージを受ける。

「言い忘れてましたが、このボールは爆弾になってます! お気を付けください!」

 爆発が起きたことで、校内のパニックに拍車がかかる。一般の生徒たちは恐怖の中でかんなと教師陣による誘導で避難していく。

「みんな、落ち着いて逃げて!」

「(さくらたち、大丈夫か……? ……あれは!)」

 部室棟内に逃げ遅れた人がいないか見回っていた蓮が校庭の方を見ると、ネガボットとラグビーボールで攻撃しあっている振袖小町の姿があった。ラグビーボールに不慣れな彼女たちにとって、不利な戦いを強いられていたのは明らかだった。

「なんだよあの不平等な戦いは! ……そういや部室にあったあの箱……中身確認してなかったな。どれどれ……これは!!」

 箱の中身を確認した蓮は、ひとつの賭けに出ることにした。

 箱を持ち運び校庭に向かって走り出す彼の背中を見送っていた人物がいた。百合である。彼女は、その背中にある人物を重ね合わせていた。

 思いをはせる彼女の目の前をある1人の人物が通り過ぎようとしていたが、彼女はそれを見逃さず、引き止めた。

「申し訳ありませんが、生徒優先ですので」

 引き止められた人物は顔をしかめ、百合を連れて屋内へと戻っていく。

 ネガボットが蹴ったボールを、アイリスがキャッチする。

「ボールを蹴るのなら……任せて!」

 なんとかキャッチしたアイリスが、サッカーの経験を生かしてボールを蹴ろうと見よう見まねでボールをワンバウンドさせてからキックした。が……。

「あれ!?」

 ボールはアイリスが思った方向には行かず、ネガボットに簡単にキャッチされ、そのままタックルを決められてしまう。

「アイリスちゃん!」

「そうか、サッカーと違ってボールが楕円形だから蹴ったときに飛ぶ方向が不規則なんだ!」

 駆けつけたイナリはボールの違いに苦しむアイリスを見て、自分も助け船を出せずもどかしい思いをしていた。

 不規則に弾むラグビーのボールに手間取る振袖小町だったが、彼女たちに立ちはだかった存在はまだあった。

「よし、キャッチできた! あおい!」

 ボールをキャッチしたさくらが前方にいるあおいに向かってボールを投げた。その刹那、ボールが爆発する。

「スローフォワード!」

「へ? す、スロー……?」

 聞きなれない単語を言われ呆気にとられるさくら。

「そんなことも知らないのですか? では解説してあげましょう。ラグビーではボールを自分の前にパスするのは反則になるんですよ!」

 博識なあおいすら知らなかった事実に振袖小町は衝撃を受ける。もっとも、一般的な体育の授業でも行われるサッカーやバスケなどと違って、ラグビーは日本において競技人口はそれらほど多いわけではないうえに彼女たちはちょっと前までは一介の女子高生。ラグビーのルールなど知るわけがなかった。

 またもラグビーボール型爆弾はネガボットの手によって投げられたが、そこに思わぬ助っ人がやってくる。ボールは他の選手の手に渡る前に一刀両断され、上空で爆発した。その現象を発生させた張本人が、スキロスのもとにやってくる。

百合先生が誰を引き留めたのか、そして乱入者は何者か!?


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