第肆幕の拾捌
一件落着……ですが裏でも動いてます。
ネガボットにされた観客が路上で目を覚ます。
「……あれ? なんで俺外にいるの? ライブ……終わっちゃった?」
ライブが終わったと勘違いしている彼のもとに、仲間から連絡が来る。今回中止になったライブは急遽明日同じ会場で行うことになったとのことで、彼は安心して家路につく。
「りんりん! みんな!」
避難していたかんなが戻ってくる。
「りんりん、大丈夫だった? この前は無神経なこと言ってごめん」
「私もごめん、嫌なこと思い出させちゃったよね?」
「俺も悪かった」
さくら、蓮、かんなはかりんの前に立って頭を下げ謝罪するが、かりんの答えは……。
「ううん、いいよ。だって私がりゅいふぉんなのは紛れもない事実だし、そもそも私は生まれてから死ぬまでヲタで、そうじゃない私なんて、私じゃないから。悪意があってやったわけじゃないなら、謝る必要はないよ」
「……そうだよね! りんりんもあたしも、自分らしく毎日過ごすのが一番だよね! 人は人、自分は自分!」
かりんはさくらと蓮、そして今回の一件で特に罪悪感を覚えていたかんなとともに、人に何と言われようとも自分らしさを大切にする者同士、笑いあった。
「それから火宮さん、頼みがあるんだけどいい?」
名前を呼ばれたさくらはかりんの方を向く。
「私も小町部に入りたいんだけど、いいかな? 家庭科部は先輩たちには申し訳ないけど吸収合併ってことで」
さくらはその返事に即答する。
「もちろん! 大歓迎だよ! 部員としても、友達としても、これからよろしくね、木谷さん……ううん、かりんちゃん!」
あおい、アイリス、蓮、かんなも首を縦に振る。さくらはかりんに右手を差し伸べる。
「かりんちゃん……か。こんな変な奴だけどこれからよろしく、さくら、あおい、アイリス、蓮、かんな」
晴れてかりんは小町部の部員となり、がっちりとさくらと握手を交わす。
その日の帰り、かりんはさくらたちに連れられぼでばのキーホルダーを買ったエイトで同じものを買い、出てきたピンクのジャージのギタリストのキーホルダーを部員たちのお揃いとして学校用のカバンに付けることにした。
中止になったライブの代替で翌日に行われたライブは無事行われ、小町部と昨日の騒ぎに巻き込まれた観客たちは、卯月のインディーズとしての最後のライブを楽しんだ。
「みんなー、今日はありがとー!! メジャーデビューしても、応援よろしくねー!!」
歓声に包まれる卯月。
「最高だった!」
「一生卯月ちゃんについていきます!」
「メジャーデビューしても、輝きは変わりませんよね! これからも我々一丸となって応援しましょう!」
ファンたちはそれぞれ思いを胸に因幡卯月というアイドルがスターダムに駆け上がる姿を応援する決意を新たにした。
その日の夜。
廃研究所に今までは姿を現さなかった人物がやってくる。その人物はティーガーやプチッツァと同年代くらいの少女だった。
カルネロが出迎えた彼女は、まぎれもなくたった今まで秋葉原でライブをやっていた人物と全く同じ顔と背格好をしていた。だが、彼女の口から出た言葉はそうであるとは思えないものだった。
「キモヲタの相手……疲れた。全員くたばれ」
「だが、君のおかげで作戦は首尾よくいったよ。おかえり、ラパン」
12人目の幹部、ラパン。まさかの人物でした。




