第伍幕の壱
小町部、部活として始動。
熱狂の渦に包まれた因幡卯月のインディーズ最後のライブから一夜明けた月曜日。この日、生徒会室にさくら、かりん、かんなはいた。なぜなら、小町部を正式に部活として承認してもらうためである。先日セルペンテにネガボットにされた生徒会長の目黒をはじめとする小町部の部員でもあるアイリスを除いた5人の生徒会の役員たちが次々と申請書と、同時に出された各種書類に目を通していく。その光景に、小町部の3人は固唾をのむ。
「ど、どうでしょうか……?」
部長として勇気を出し、目黒に結果を聞くさくら。彼の答えは、申請書の右下に押された判子が証明していた。
「小町部の皆さん、これから頑張ってください。生徒会からも応援しますね」
小町部が彩羽高校の部活として承認された瞬間である。これから小町部は月、水、金の週に3日活動することが決まった。問題になっていた部室に関しても無事解決したのだが、これには1人だけいい顔をしていない者がいた。
それはなぜか、そして誰なのか。話は生徒会に行く前にアイリスとかりんの入部の報告も兼ねて桃香に相談に行った時にまで遡る。
「部室? それだったら去年限りでラグビー部が部員不足で同好会になったからそこを使ったら?」
あおいは生徒手帳を開き、「部室が使えるのは部活のみで、同好会は使用不可。部活は部員が5人未満の場合は同好会となり、部室を持つ部活が同好会になった場合は部室を明け渡さなければならない」、「空き部室がある際に新たに部活ができた場合は新たな部活が部室を使うことができる」と明記されているのを見つける。蓮はラグビー部が部員が規定人数を割ってしまったため今年から同好会になったことをすっかり忘れていて、あおいとさくらからジト目で見られてしまう。
だが、もしこれに最初から気づいていた場合、かりんは小町部にも入っていなければ振袖小町にもなっておらず、さらに言えばさくらたちの友達にもなっていなかったことは揺るぎない事実。世の中どう転ぶかはわからないものである。
「まあまあ、解決したからいいじゃん、あおいっち。とりま、空いた部室に行ってみようよ」
昨年までラグビー部が使っていた部室棟の3階の一番奥にある部室へと向かうが、その中は長い間掃除が全くされておらず荒れ果てており、他の複数の部活によって物置という新たな役割に変貌させられそうになっていた。その惨状には、開いた口が塞がらなかった。
部室がなければ校内で集まる場所がない。問題はまだあった。




