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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第肆幕「個性」
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第肆幕の拾漆

趣味に熱い情熱を燃やす少女がバトルヒロインになるとこうなります。

「さあ、かかってきなさい!」

 右手を前に出し、握った左手を腰に構えるかりん。テンションが高まっているのは火を見るよりも明らか。これにはさくらたちも唖然だ。

「ネガ!!」

 両手のサイリウムの色を白に変えてから、ネガボットはオタ芸のロザリオの要領で右手を振り上げてから回転し、道路に立っているかりんに向けて右腕を押し付けようとするが、ジャンプしてかわされる。

 空中で右脚を伸ばしたかりんは、そのジャンプした勢いでネガボットにキックをお見舞いする。その威力に、ネガボットは頭を押さえる。

「次はこっちから行くよ!」

 かりんはジャンプしてから空中で一回転し、倒立の状態で開脚して回転しながら連続でキックをネガボットに浴びせる。さながらどこぞの青いチャイナドレスがトレードマークの中国の格闘家である。

「ネガァ!」

「ゴメンネ!」

 倒れたネガボットに右手を手刀の形にして謝るかりん。ここまで再現するとは、さすがはコスプレイヤー、頭が下がる。

 立ち上がったもののよろめいているネガボットに、ダメ押しと言わんばかりに引き続き徒手空拳で戦うかりん。ネガボットにダメージが蓄積したころ、イナリの額の赤い石が輝きだす。同時にかりんの簪についた緑の水晶も光り、かりんの脳に白い着物を着た少女の声でネガボットを浄化して観客の男性を救う方法が伝えられる。

「魔物の魂は大詰めによって浄化され、元の人間の体に戻ります。今のあなたが使える武器である迅弓・萌葱に、私があなたに与えた木の力を宿し、魔物に注ぎ込んでください」

「チュートリアルはこいつを倒せば終わりってことだね!」

「あーもう……かりん! 頼んだよ!」

 彼女らしい例え方をしていることに、もはやツッコむことを放棄したイナリ。

「出でよ、迅弓・萌葱!!」

 斜め下にかざしたかりんの左手に、木の葉を巻き込んだ突風が吹き、それが緑の輝きを放つ弓、「迅弓・萌葱」を形作る。

「邪悪なるものよ、優雅に散華せよ! 一斉風靡!!」

 かりんは迅弓・萌葱をネガボットに向けて構える。右腕を引いていくにつれて、緑色の透明な矢が形成されていく。そのままかりんは矢を放ち、その勢いで木の葉と花びらの嵐を巻き起こしながら一直線に飛んでいった矢はネガボットを貫く。

 爆発四散したネガボットからは白い光があふれ出し、その光はAKIBAサブカルゾーンに向かい、地下のライブ会場で倒れている観客の口の中へと入っていった。被害に遭った街並みやライブ会場も元通りに戻っていく。ネガボットの作成に使われた振袖のカケラは、かりんが右手を高く空に向かって伸ばしてつかむ。

「かりん! それをボクの額に当てるんだ!」

 わくわくした表情でかりんはイナリの額の石に振袖のカケラを当てる。振袖のカケラが目の前から消えたことにかりんは驚くも、それは伊吹神社地下の衣桁にまた一つ新たな振袖のカケラが集まったことを意味していた。

「せいぜい今のうちに慣れあってなさい! ボクがぶっ壊してあげるから!」

 憎しみに満ちた叫びとともにプチッツァは消えていき、その直後にかりんは元の姿に戻る。

大逆転勝利。しかし本来ライブをやるはずだったアイドルはどこへ?

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