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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第肆幕「個性」
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第肆幕の拾

やってきましたライブ本番。しかしそこに忍び寄る悪の影。

「……行こう。それと、これも持っていこう」

 机の引き出しにしまっておいた七色に光る石をカバンに入れ、ライブ会場に出発した。

 同じころ、かりんが正気でなくなる前に決めた待ち合わせ場所である地下鉄の花ヶ咲駅にさくらたちは集まっていた。だが、そこにかりんの姿はなく、何度連絡しても反応はなかった。

「木谷さん、来ないね……」

「会って絶対に木谷さんに謝らないと……」

「あたしもりんりんに謝らないなんて無理! 今日絶対にりんりんに会って謝る!」

「俺も! これは俺にも責任がある!」

 事態の発端となってしまったさくら、かんな、蓮はもちろん、他の小町部の部員たちも気が気でなかったが、このままずっと待っていてはライブには間に合わない。後ろ髪を引かれる気持ちではあったが電車に乗ってライブ会場へと向かう。彼女たちが乗った1本後の電車に乗り、かりんは会場に向かった。

 目的地であるライブ会場の「ココナッツAKIBA」のほか、多数のサブカルチャーのグッズショップがある複合ビルでもある「AKIBAサブカルゾーン」に到着した小町部は、かりんがいるかもしれないとビル中を探すが会うことはかなわず、ラストチャンスは会場となった。

 約300人のキャパを誇るこの会場は、さくらたちが来た時点で既にたくさんの観客でにぎわっていた。それもそのはず、卯月がここでライブを行うのは今日が最後であり、これを機に本格的にメジャーデビューするためインディーズ時代の最後の雄姿を見るべくたくさんのファンが駆けつけていた。

「ここでいつも元気に歌ってた卯月ちゃんも、新たな舞台へと羽ばたく時か……!」

「今ここで卯月ちゃんを見届けられることを、この身が朽ち果てても誇りにしていきます!」

 卯月のイメージカラーであるピンクのド派手な法被を着ている者が複数人で最前列を陣取っていたほか、両手の指の間全てにサイリウムを持った某格闘ゲームのキャラの名前を冠した状態でスタンバイしている者、お手製の応援用の団扇を持った者もいて、ライブ初心者である小町部は面食らってしまう。しかし、開演時間が迫っていたため受付を済ませて着席する。

 今回さくらたちが手にしたチケットは会場の中ほどの席だった。が、まだかりんはその場には来ていなかった。

 その頃、かりんは秋葉原の駅から走ってココナッツAKIBAに向かっていた。だがその途中、プチッツァが立ちふさがった。

「ねえ、あなたに頼みたいことがあるんだけど、いいかな?」

 同年代とはいえ見知らぬ人から声をかけられおろおろするかりんに、プチッツァは耳打ちする。

「この前の、全部見てたよ。あたしの頼みを聞いてくれたら、今すぐAKIBAサブカルゾーンに連れてってあげる。それと……」

 翼を広げて空を飛んでみせるプチッツァに、かりんの選択は……。

 会場のすべての照明が消される。それからしばらく経ったあと、スポットライトがステージ上部の角からステージにある床の中心部分を照らす。しかし、そこに現れたのは……。

現れるのは誰か、当ててみてください。

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