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華のお江戸の振袖小町  作者: 水虎
第参幕「本心」
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第参幕の捌

侵入者は野放しにしてしまうと……?

 サッカー部の練習試合はすでに後半に差し掛かっていた。編入生の無双っぷりは続いており、態度も相変わらずだった。

「もうサッカー選手にはなれない私のやりたいことって……今はやっぱりそうなのかな。自分のしたいことをやるのが一番……。決めた!」

 その頃セルペンテは、自習室の鍵を破壊して床に無造作に転がっていた振袖のカケラを手に取っていた。

「さて、3つ目も探しに行くとするか。だが、人間の負の感情を集めるのもやらねえとな。さっそくこいつを使うとするか」

 MUJINAに校内にある2つ目の振袖のカケラの在処に案内してもらいつつ、セルペンテはネガボットの素体となる人間を探す。

 着いた先は生徒会室だった。セルペンテは生徒会室のドアをノックする。

「はい、何の御用でしょうか?」

 目黒が出てきて対応しようとする。が……。

「なるほど、こいつが持ち主か……。お? 素体が反応してやがる! おいお前! その感情、使わせてもらうぜ!」

 言葉通り、生徒会長を目にした途端にネガボットの素体に組み込まれたランプが点灯し始めたのだ。

「えっ、何言って……!」

「負の感情よ、その姿を顕現せよ! はっ!!」

 セルペンテは生徒会長に向けてネガボットの素体と振袖のカケラを投げつけ叫ぶ。それらは身動きが取れなくなった生徒会長の口から、生徒会室の外に出た黒い煙と合体して巨大な判子に手足が付いた姿のネガボットとなった。その両手は、右手は判子、左手は朱肉を模した形となっていた。

「よし、外でひと暴れしてこい! オレ様はこいつの荷物から振袖のカケラを探す!」

「ネガ!」

 ネガボットは校庭で暴れ始め、練習試合はコールドゲームとなる。サッカー部員たちは慌てて部室がある棟へと逃げだす。

「あれって、ニュースでやってた怪物!? 避難しないと!」

 このままでは巻き込まれると判断したアイリスは、ベンチから立ち上がり自分のカバンを置いてある生徒会室へと急ぐ。

 生中継がスタートした。残念ながら抽選で出撃の権利を逃した面々がセルペンテの作戦の進行具合を観戦し、それを肴に、今日も隻眼の男は楽しそうに酒を飲んでいる。今日は焼酎のようだ。

「おうおう、今日もまた派手にやってるなぁ! プチッツァ、お前も出撃したらこういうのをやれよ!」

「あいつらの仲良しごっこが終わりになればそれでいいの。それと、いつものことだけどあんた酒臭い。たまには禁酒したら?」

「そいつはできねえな。お前は未成年だからこのうまさはわかんねえか。もったいねえことしたよな、お前ら」

「……どうしようがこっちの勝手でしょ」

 中継映像では、ネガボットが校舎を破壊し始め、校舎からは生徒たちをはじめとするたくさんの人々が慌てて飛び出し、桃香や百合、唐木田といった教師たちが避難誘導をしていた。その光景を見て、スキロスは違和感を覚える。

「(ん? あれは……!)」

 スキロスは校舎から逃げていく人々の中に、既視感がある顔の人物がいることに気づく。

「(あの顔、どこかで……?)」

 彼は怪訝な目で画面を見つめることしかできなかった。ボヴィーニはスキロスが何かに気づいていることに気づき、波乱が起きる予感を覚えていた。

どうやらこの学校、悪と因縁がある人がいるご様子で……。世間は広いようで狭い。

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