第弐拾捌幕の拾肆
帰ってこなくていいアイツ達。
日本国内でも収監されていた保谷夕佳弁護士や活動家の馬込亜沙美といった社会的な地位を持つP&Lの信奉者が突然人間離れした怪力を発揮して拘置所から脱走し街で暴れ始めていた。
警察が取り押さえようとしたがものともせず、発砲されても弾丸を掴んで勢いを殺し、その場に落とす。二人は上空にある女だけの国を目指して障害物を蹴散らしながら進み始めた。一般の信奉者たちも彼女たちの後ろについてきはじめた。
蓮、かんな、幹夫、エリーが立ちふさがりながら人々の避難にあたるが、現在地上にいる中では最大戦力と言えるエリーですら手こずっていた。
「逃げて下さい! こっちです!」
「この力、まるで人間じゃないみたい……」
「うわっ!!」
幹夫がはねとばされる。
「こいつ! 俺が相手だ!」
蓮が保谷の両手を掴んで組み合おうとしたが、上手くつかむことが出来なかった。
「……手の形が人間じゃなくなってる……!?」
彼女たちの手は蹄のように変化していた。それでも手を掴もうとしたが、振り払われてしまい蓮はそのまま殴られてしまった。
「……この前さくらは勝手にボクのおやつの油揚げをうどんに乗せて食べたのに一言も謝ってくれなかった、この埋め合わせは絶対にしてもらおうと思ってた矢先にこんなことになって、ボクは今とっても腹が立ってる……」
これまでの振袖小町の戦いの遍歴や火宮家のペットとして生活しているときのこと、人間の社会を学んで得たことなど数々の自分語りを続けていた。振袖小町の戦いの数々だけであれば総集編に出来るような内容だった。
「いつまで話してるの! これじゃ処刑が始められない!」
「名目上ペットとなってからキツネの友達が出来なかったことが残念でならないけど、犬や猫はペットとして飼われていることが多くてここ最近顔見知りが増えてきたころだったからもっと仲良くなりたかった……この匂いは!!」
イナリが顔をしかめる。人間である他の面々にはまだ感じられなかったが、だんだんと彼の言っていた匂いがわかってきた。
「……何あれ!!」
「特撮の……怪人?」
カメムシのような姿でレディースのスーツを着た謎の怪人が辻元議員を引き連れ観衆をかき分けながら処刑台に近づいてきた。
「この特徴的な匂い……!」
「もしかしなくても……!」
「「亀井議員!!」」
特徴的な臭いを放っていたことから、誰がこの姿になってしまったのかはすぐに理解できた。
怪人が人波を通っていくにつれて、P&Lの信奉者の姿が動物……というよりも獣人というべき姿に変わっていった。処刑台の上からは、豚、ダチョウ、ピラニア、カミツキガメの獣人が確認できた。辻元議員はダチョウの姿に変わっていた。
動物だらけで大パニック、逆ウマ娘ですね。




