第弐拾捌幕の拾壱
恐怖は立派な感情。
〈飯番 紅花@cuscus_tea 私にとって本橋さんは永遠に悪でトラウマの元ですが、本当に救われた人がいるのなら頑張ってほしい。でも同じ過ちを繰り返さないようにしてほしい。心から反省して、戒めとしてほしいです。〉
〈飯番 紅花@cuscus_tea 想定してはいたけど、ショックが大きい。性根は変わってなかったんだなと改めて感じさせられた。〉
このツイートには、彼女のアカウントから見た本橋千花のアカウントのスクショが張られており、彼女からブロックされていることがはっきりと書かれてあった。第三者からのリプライにはやっぱりなという趣旨のものがいくつも付けられていた。
大学院で機械工学を学んだひなたは、その類まれなる才能を遺憾なく発揮した。その筋では知らぬ者はいないほどとなり、金丸ファウンデーションの技術部の主任に20代の若さで就任するほどだった。
「でも、私はただの技術者ではなかった」
妹が技術主任となったことを知った千花はすぐさま脅迫した。姉への恐怖から逆らう、拒否するという発想すら出なかった彼女は首を縦に振り、金丸ファウンデーションの技術を横流ししていた。
「え、それかなりヤバいじゃん!」
「ええ、自分でも恐ろしいことをしていたと今にして思えば感じてなりません、ですがあのときは姉のことが何よりも怖かったんです」
ちょうどこの頃振袖小町の活躍が始まり、彼女たちを見た千花の第一声を、ひなたはよく覚えているという。
「あの子たちは絶対誰か大人に働かされてる。あの子たちこそ私たちが保護しなきゃいけない」
「これまでの姉の傍若無人な行動から、これも一方的で勝手な思い込みだ、被害妄想を他人にぶつけてるだけだとは頭ではわかっていました。でも……どうしても怖かったんです」
さくらとひかりは手を差し伸べ、ひなたのそれぞれの手を握る。
「もう大丈夫ですよ」
「私たち、それにあおいたちもいますから」
「振袖小町さん……」
正体は知っているがあえて口にせず静観している卯月は彼女たちの自信がどこから来るのか懐疑的だったが、現実的にはそうならなければ自分も危ないためいざとなったら助けに出ることにした。
毒親ならぬ毒姉、振り払え、ひなた!




