第弐拾捌幕の拾
自暴自棄は失敗の原因。
〈飯番 紅花@cuscus_tea あなたにとっては「過去の過ち」、「若気の至り」であって、今のあなたにとっては私を苦しめた昔の本橋千花さんはいないのでしょう。私はこんなに過去に苦しめられているのに〉
〈飯番 紅花@cuscus_tea でも、ずっと伝えたかったけどできなかったことを一方的にではあるけれど言えた。すべての今いじめられている人、過去にいじめを受けた人が本当の意味で解放されますように〉
ドラスティックでセンセーショナルなニュースを耳にして居ても立っても居られない者が一人、伊吹神社にいた。
「……かんな、今からヘリ出せる?」
「気持ちはわかるけど……あたしらが行っても戦えないから処刑される人が増えるだけだよ?」
「蓮くん、私も行けるのなら行きたい。だが今は時を待つしかない」
幼馴染が公衆の面前で殺され、自らの半身ともいえる双子の妹は死ぬまで女だけの国にこき使われる、こんな未来はあってはならない。口ぶりこそ落ち着いてはいるが怒髪天を衝いていたことは誰が見てもわかるほどだった。
「じゃあ俺が代わりに処刑されに行く。あいつらは男を絶滅させるのが目的だから男が一人減るし好都合だよな」
「蓮くん……」
一言置いてかんなが叫ぶ。
「さくやあおいっちのこと信じてないの!? 一番信じるべきなのは蓮くんでしょ!? 代わりに処刑されるなんて言っても、処刑されたところで二人は絶対喜ばないし、一生後悔することになるのわかんないの!?」
「……!!」
「こんなんじゃヘリなんて出しても意味ない。少し頭冷やそっか」
かんなは背を向けて去って行く。
「……ちょっと一人にさせてくれ」
蓮はその場から離れ、一人で自分ができることを探し始めた。
姫は自分のアカウントに多くのリプライが来ていることに気づく。それは大半が「飯番紅花」と名乗る人物からの告発経由であった。
「何、昔私が誰かをいじめてたって言うの!? この人は何を言っているのやら……きっと変なアカウントなんでしょう。……ブロックする前に大事な部分を間違えてるからそこだけ指摘してあげましょう」
姫はスマホを手にしてささっと文章をリプライしてから、自分の批判をしているアカウントの経由元のアカウントをさも飛んできた虫を両手で挟んで潰すかのようにブロックした。
「これでよし。……?」
彼女の背に飾ってあった三日月型の結晶が彼女にもわかるように激しく輝きだし、光が彼女の全身を包む。そしてそのまま光は姫の部屋を飛び出し、あっという間に女だけの国の全てを包むまでになった。
眩い光が収まる。
「いったい何だったの……? これは……?」
ふと視界に入った自分の手に黒い毛が生えていることに気づく。だがそれは一瞬で消え、気のせいかと安堵する。だが部屋の窓ガラスに映った彼女は明らかに異形へと変化が始まっていた。
姫の心境が変わらない代わりに何かが変わっている。




