第弐拾捌幕の肆
兄弟は他人の始まり。
〈飯番 紅花@cuscus_tea @PandL_senka あなたにもいろいろあったとは思います。しかし、自己肯定感を失って今も苦しんでいる人間が最低でも一人はいることを自覚してください〉
〈飯番 紅花@cuscus_tea 自分が長い間苦しんでいる間にまさかいじめっ子がこんなに有名人になっていたとは思わなかった。それはいいけど元いじめっ子が清廉潔白、聖人君子面をするのがどうしても許せません〉
ひなたは自分の姉である姫がなぜこんな過激な思想にたどり着き、テロリストにまで身を落としたのかを語り始めた。この話には、卯月も一部語る側として参加していた。
「ごく普通の家に生まれた私たちはごく普通に育っていた。でも、違っていた部分もあった」
ここで彼女は悲しげな眼を見せる。
「私は小さいころから勉強ができて、小学校……3年生くらいだったかな。その頃に塾の先生が無茶ぶりで難関大学の入試を私に出してきたんだけど、ちょっと考えたら満点が取れちゃったんだよね」
さらっととんでもないことをやってのけていた
「そんな頭の良さと、学校中からラブレターをもらうほど異性と一部の同性から外見が人気だった。告白なんて何度断ったか覚えてないや」
「外見と頭だけじゃなくて、ひなたは性格やセンスもすごくいいよ。それは長い付き合いの私が保証する」
卯月からの補足で、ひなたのアイディアでイベント進行が円滑に進んだ、衣装が可愛くなった、予算の削減に成功したといった表に出る立場でありながら縁の下の力持ち的部分にいい影響を及ぼしたエピソードがいくつか披露された。
「ありがと」
内容に反して寂しげな口ぶりで話が展開されるが、卯月のフォローで少し笑顔を取り戻していた。
話を聞いていて思い浮かぶ顔がさくらたちには一人いたが、彼女ですら科目によって若干のバラツキがあるうえに高学年の時に高校の単元が一部できる程度が関の山で、当時の彼女に難関大学の入試を解かせてもさすがに少ししか点は取れなかっただろうとさくらは推測していた。
「それに対して姉は勉強だけじゃなくて何をやっても平均点、見た目も人を惹きつけるほどじゃなかった。まわりからは実の姉妹ではないのではないかと疑念を抱かれることも一度や二度じゃなかった」
子どもというのは残酷なもので、幼い頃の姫、本橋千花は頭脳明晰で容姿端麗な妹に近づきたいがために学年を問わず多くの人物に利用され、うまくいかないと多くは精神的なものだったが時に肉体的な腹いせを受けて涙することもあったという。
「この辺りだったかなぁ、私に対してのあたりがきつくなりはじめたの。とはいっても、二人きりだったり、見えないところでだったけど」
遠い目を見せて振り返るひなた。姉の性格が苛烈になったことにひかりは親友の豹変を重ね合わせていた。
嫉妬は人を狂わせる。




