第弐拾捌幕の弐
聴かせて、あなたの気持ち。
振袖小町としてのさくらとひかり、そしてひなたと卯月の顔写真が画面に映る。やっとのことで建国できた国を立った数日で崩壊させようとした彼女たちの処刑が決まったことに国内外の信奉者たちは沸き立っていた。残った振袖小町3名は国の運営に携わると発表されたが、「運営」という形で彼女たちが囚われている姿はわざと公開して日本への意思表示をしていた。
これまでの戦いの数々から既に多くに人々から支持を得ている振袖小町と、大ブレイクして今や国内で知らない人はいないといっても過言ではない国民的アイドルになり、国外にもファンが増えつつある卯月が処刑される、世界中から非難の嵐であったが姫は一切意に介さなかった。
最後におまけとして入国条件が緩和される一報が入ると、信奉者からは歓喜の声が再び巻き起こった。
さくらたちに用意されたのは使われていない部屋だった。あまりの人口密度のため無断で使っていた先客がいたが幹部という立ち位置にいるひなたの一声で彼女たちは撤退し、さくら、ひかり、イナリは収容された。
さくらとひかりが持つ簪と入国に使用した会員証はひなたが没収、去ろうとしたひなたの背に、質問が飛んでくる。なお、一般人である比奈と名目上は一般人にあたる卯月は別室に収容されたため振袖小町の正体は彼女に知られずに済んだ。
「ねえ、あなたはどうして私たちを助けてくれるの?」
「ボクも知りたい。ひなたさんはボクらの敵なの? 味方なの?」
無視してそのまま部屋を出ようとしたところに、引き留める声が飛ぶ。
「教えてあげていいんじゃない? あなたたち姉妹がどうしてこんなことになっちゃったのか」
「私も話が聴きたい。たとえあなたが私たちの敵だとしても、今のあなたはとても苦しんでる。だから今まで何があったのか私に聴かせてほしい」
会話は隣の部屋にいる卯月にも聞こえていた。懐かしいながらもあのころとは少し違った声に振り向いたひなたは彼女を部屋に呼び、二人はさくらたちと向かい合って座った。
「ねえ、菊池さんは?」
「寝てるみたい」
比奈は部屋でぐっすり眠っていた。というのも、元々の潜入で国内を歩き回って体力を消耗していたところに卯月がラパンとしての大詰め「異苦同音」を使い小声で子守唄を歌ったところ彼女を眠らせることに成功したからだ。
ひなたと卯月がゆっくりと、そして少しずつ言葉を紡ぎ始めた中、イナリは言葉にしづらい違和感を覚えていた。
「(ここまでバタバタしてたから、何か大事なことを忘れてるような……。それに、この近くからさくらとひかり以外の振袖のカケラの気配がする……)」
運営という形で国が保護、言い方ですね。




